高瀬莉音について
第1章
<Side:杉山哲>
高瀬莉音は、俺が中学2年の時、同じクラスに転校してきた。
俺は男子軟式テニス部だったし、彼女も女子軟式テニス部だったので、大会で存在は知っていた。
その強さはこの地域で知らない人間はいなかったし、なにより美人でかわいらしかったから、転校してくるって知った時は、男子部でも話題になったんだ。
知らなかった。
まさか、彼女が勉強もできるなんて。
しかも、俺が唯一得意にしてる選抜合唱だってすぐに選ばれてきたし、選抜陸上選手にだって、夏には選ばれていた。彼女は誰にでも笑っていたし親切だったから、すぐに学校中のアイドルになった。中にはよく思わない女子だっていただろうけど、それ以上に、彼女と楽しそうに過ごす女子のほうが圧倒的に多かったし、学校の野郎どもの半分は彼女の虜だっただろう。
包み隠さず話すと、俺だって、その中の一人だった。
秋になるころ、俺は、高瀬に告白をした。
今まで振られた人数は何人だ、とか、たくさんの噂を聞いていたけど、俺は彼女と仲のいい5人グループにいたし、嫌われてはいないだろうなっていう自覚もあった。振られたとき、、、そんときはそんときだ。っていう潔さだって持ち合わせている。返事は、俺にとって舞い上がるほど嬉しい返事だった。
でも、彼女は、初冬にあった合唱祭から2週間くらい経った頃から、学校にこなくなった。何かあったのかきいても、答えてくれなかった。一体何があったのか。