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私は戦うダンジョンマスター  作者: もちもち物質
魔銀の道とグランデム城
60/135

60話

最初にやった事は、『魔銀の道』への移動。

そして、そこからすぐ馬を飛ばして、グランデムの都へ走る。

夜中の月明りだけが照らす道なき道を進んで進んで、ある程度まで進んだら、《ラスターステップ》で光の階段を作って、グランデムの都の遥か上空へ。

そして上からダイブ。《ブリーズ》等々で減速しながらそのままグランデムの城に向かって落ちていく。

最後は地面に《グランドラクト》を使って、地面を凹ませ、《スプラッシュ》の応用で水のクッションを作り、そこに着地する事で衝撃を緩和。

……我ながらダイナミックな方法で、グランデムの都に侵入してしまった。


グランデムのお城の屋上に到着したので、そこから人目を忍びつつ、目的の部屋の窓の近くまで行く。

ある程度近づいたら、後は柱を伝ったり、壁を渡ったりしながら(壁に影が落ちていれば、ムツキ君が私を支えてくれたりする)、私は無事、『ラビ下級武官』の部屋に到着した。

窓から部屋の中に入ったら、早速、『迷宮の欠片』を植えて、ダンジョンを作る。

……ん。

『魔銀の道』の時と、かなり勝手が違う。

もっと抵抗が大きい。固い。動かせない。

これは……かなり……。




そうして出来上がったダンジョンは、当然だけれど……部屋のサイズそのまま。

というか、部屋そのままだった。

ただし、部屋の片隅には砂時計型の魂入れがあり、床には魔法陣が広がり、小ぶりながらも玉座があって、壁掛け鏡もある。

……そして二度目になるけれど、部屋そのまま。

玉座の向かい側にはベッドがあるし、小さな机と椅子もあるし。

けれどここはダンジョンだ。れっきとしたダンジョンだ。迷いこんだら死ぬのだ。死ぬというか、殺す。うん、こんなところに迷い込んでくるような人が居たら、本当に殺さなきゃいけないのだけれど。


とりあえず、扉には鍵を掛けて、扉と窓付近にトラップをいくつか仕掛けておく。

万一のことを考えて、入り口には巨大スライムを設置。

巨大スライム50個分のでっかい毒スライム。

毒草を食べ続けたスライムだから、当然のように毒である。

毒の他、侵入者をスライムの中に閉じ込めたり、ドアをむにゅっと閉じたりできる子なので、こういう所にはいいと思う。

……ただ、この子を1体設置したら、部屋ダンジョンの大半が、埋まった。

まあ……このダンジョンは、魂回収用でしかないから……仕方ないか。




7割方がむにむにむちむちになってしまったダンジョンだけれど、すぐに出て、次の目的地へ向かう。

次の目的地は、薬屋。

グランデムの都の、ありとあらゆる薬屋である。


夜が明けるまで、町の片隅で縮こまってやり過ごして、日が昇ってグランデムの人達が活動を始めたら、私も行動を開始しよう。

グランデムの兵士達が『魔銀の道』に差し掛かるのは多分、もうじきだろう。

あまり時間が無い。急がなくては。




「この店にある薬を、あるだけ下さい。毒消しもあれば、全部」

これから私がやることはとても簡単な事だ。

薬屋に駆け込んでカウンターに白金貨を乗せる。

そして、薬を買い占める。

それだけの簡単な作業だ。

「え、ええ、あるだけ、薬を……かい?」

「もうじき兵士達が戻ってくるのです。鳥文には負傷者多数、とありましたので。……これでは足りませんか?」

目を白黒させる店主の前に、もう一枚、もう一枚、と、コインを積んでいく。

「え、あ、大丈夫だ。分かった、薬だね。……あるだけ、となると、最高級薬も、でいいのかい?あれは高いけれど……」

「ええ。お願いします」

多少ぼったくられても構わない。どうせお金には困ってないし。


どんどん散財していきながら、薬を買い占めていく。

ありとあらゆる業種の店を覗いて、薬を買っていく。

……中には売ってくれない人も居たけれど、そのぐらいどうでもいい。

どうせ、その程度の量で治せる人なんて、たかが知れてる。




『精霊の魂を回収する』ためのダンジョンは設置し終えた。

ということは、次に私がやるべきことは、国を滅ぼすこと。

つまり、このグランデムの都の人間を殺していけばいい、ということ。

……手段は問わない。

別に、ダンジョン内で殺さなきゃいけない、という条件でも無い。できればダンジョン内が良いけれど、一々あの小さなダンジョンに人をおびき寄せたり運んだりするわけにもいかないし。

では、どうやってグランデムの人間を殺すか、と考えて……私は結論を出したのだ。

『大規模な毒殺』と。




まず、井戸を押さえる。

国の一般人達を殺すには、井戸水に遅効性の毒を入れておくのが一番いいだろう。

それから、傷ついて帰ってくる兵士達には遅効性の毒入り回復薬を配ればいい。

ついでに、王城の食糧庫にも忍び込めれば万々歳だけれど、そこはもう期待しない。

何よりも大切なのは、大多数の人が気づかない内に毒物を飲ませてしまうこと。

毒を飲む前に怪しさに気付かれてはいけない。警戒されちゃいけない。

多くの人が毒物を飲むまで、あんまり無茶な動きはしない方針で行こう。

逆に、多くの人が毒物を飲んでからなら、そのあたりを知られても大丈夫。

だって、毒消しも一緒に買い占めてきたから。




薬屋を回りながら、適当に様子を見つつ、井戸に毒を投げ込んだ。

ちなみに、毒は、テオスアーレの地下にあった奴を使っている。

ラベルに『2日から4日程度の遅効性』ってあったし、ダンジョンの鑑定機能で鑑定してみてもそんなかんじの内容が読み取れたので、躊躇なく使っていこうと思う。




薬を買い込みに買いこんだら、宿を1部屋とって、そこで次の作業に移る。

すなわち、薬に毒を混ぜる仕事。

ちまちまと瓶を開けて、毒を入れて、瓶を閉めて……。

……という作業を繰り返す。ちまちまと。それはもう、ちまちまと。

精神的に疲れるけれど仕方ない。

薬が枯渇しているよりは、たくさんあった方が楽しいはずだ。


ちなみに。この時にはもう、グランデム軍は『魔銀の道』を抜けるところになっていた。

ということは、今晩か明日の朝には着くだろう。

……その時、私の薬が火を吹く。

グランデムは原因不明の死者をたくさん出すことになる。

兵士も一般人も、多くの人が死ぬだろう。

気づいた時にはもう遅い。

きっとその頃には、私の他の働きもあって、グランデムはチェックメイトを掛けられた状態になっているはず。

そしてグランデムの崩壊は、精霊の死でもある、はず。

……精霊1体からどのぐらいの魂が手に入るか、今から楽しみ。


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