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私は戦うダンジョンマスター  作者: もちもち物質
始まりのダンジョン
27/135

27話

 さて、今回のリザルトだ。すごいぞ。


 なんと、手に入った魂は、518698ポイント分。

 ごじゅういちまん。

 ゴジュウイチマン。

 てるてる坊主さん1体当たりに換算すると6500ポイント分ぐらい、ということになる訳だけれど、これは49人のそこそこのてるてる坊主さんたちの人数が多くて、そこそこ魂を多く持っていたから、ということだと思う。

 下っ端は下っ端並だった。親分てるてるは1人で30000超えてたから、あっぱれだと思う。というか、あれでも30000超えるんだ。

 とにもかくにも、前回までの分と合わせると、魂は残り797900ポイント分である。

 目標の百万までもう一歩、というところかな。




 一方、装備はあんまり充実していない。

 鎧も剣も1本も無い時点で、このダンジョンのメイン戦力達からブーイングが出るので仕方ない。アクセサリーがあったから、デスネックレスだけがご機嫌である。

 ……てるてる坊主さん達は全員、物理的な戦闘を得意としない人達だった。

 つまり、武器は杖。護身用のナイフがあったとしても、業物からは程遠い代物。

 そんな有様だから、てるてるマントとてるてるローブばかりがいっぱいになってしまった。

 ……いや、『魔石』がついた杖が49本、『天石』がついた杖が1本、っていうのは十分な収穫かもしれない。

『魔石』があれば、『リビングなんちゃら』の類をお安く生み出せるのだし、他のアイテムにも使えそうだし。


 道具もあんまり充実していない。

 理由は簡単、薬の類はほとんど全部、使い切られてしまったからである。

 最初の方であっさり死んじゃった人からは回収できたけれど、それでも『上級薬』が41本、という収穫。人数にしては少ないよね。


 けれど、久しぶりに現金がいくらか手に入った。

 金貨が12枚、銀貨が5枚。そして、よく分からない色をした不思議なコインが1枚。

 よく分からない色のコインは、鑑定したら『魔鋼貨』って出てきた。多分、すごくいいお値段する奴だ。百万円札とかそんなかんじなんだろう。多分。

 ちなみに、現金はほとんどがてるてる親分の持ち物だった。

 お金持ちだったんだね。




 そして、待望のスキル。

 こっちは大収穫、である。


 まず、唯一魔法じゃないスキルが《天佑神助》。てるてる親分が持っていた、『致命傷を浅くするスキル』だ。

 これは迷わず、私が習得した。他の面子は致命傷を受けても『合成』でギリギリ回避できるけれど、私はそういう訳にもいかないから。今後も致命傷を受けてやる予定は無いけれども。


 そして、後は全部魔法。

 《グリッター》、《ホーリースパークル》、《ラスターステップ》、《レイシャワー》、《グローバースト》、《ラスターケージ》、《シャインストリーム》、《スプラッシュ》、《ブリーズ》、《ヘイル》、《フリーズ》、《ラクトグランド》、《ブレイズアロー》、《ライトイレイザー》、《シャドウイレイザー》、《アイスピラー》、《ゲイルブレイド》、《オブシディアンウォール》、《ファイアフライ》……。

 ……とにかく、いっぱいだ。

 中には重複してる物もある。《スプラッシュ》や《ブリーズ》なんて11個もあるし、《グリッター》は25個もあった。

 こんなにいっぱい要らないよ!




 いっぱいある魔法を適当に割り振っていった。

 これだけ種類も数もカブりもあると、もうデスネックレスとホロウシャドウだけに集中させるのも馬鹿らしくなってくる。

 それでも一応、統一はしておこうと思って、大体『水と光はデスネックレス』『火と地と闇はホロウシャドウ』『風はファントムマント』みたいに振り分けた。

 カブってる奴は、あればあるだけ全員で習得。

 私も《スプラッシュ》《ブリーズ》《ファイアフライ》《グリッター》《ゲイルブレイド》を習得。

 ……それから、1つ、例外として《ラスターケージ》……てるてる親分さんが使ってきた、光の部屋を作る魔法、あれは私が習得した。

 だって、どう考えてもあれ、『ダンジョン外で使えるダンジョン』みたいなかんじなんだもん。


 ちなみに、魔法を使う事に不安はあったけれど、ぼちぼち使えた。ポータブルトラップ部屋である《ラスターケージ》も、ちょっと疲れるけれど運用できそう。

 ……けれど、やっぱり、デスネックレスやホロウシャドウと比べると、魔法の出力が弱いかんじ。

 やっぱり、適材適所、っていう事なのかな。




 スキルの振り分けも終わったし、これ以上ダンジョンを改築する予定も無いし、とりあえず、休憩しながら今後の予定を立てよう。

 ……具体的には、『町へ行く』ための。




 いつも通り、豆のスープと野菜と果物を食べながら、地図を広げる。

 ……これから私は、『第二のダンジョン』を構える場所を探すのだ。


 魂100万ポイント分で手に入るのは『迷宮の欠片』。

 ダンジョンを作りたい場所に設置して念じれば、その場所(深さはある程度決められるみたい)に、そのダンジョンの『玉座の部屋』ができる。

 ……つまり、私は第二のダンジョンを作ろうと思ったら、とりあえず、『第二のダンジョン建設地』へ赴かなければならないのだ。

 この時点で、私は『このダンジョンから出る必要がある』のだ。


 そして、どうせ外に出なくてはいけないなら、ここでこの世界の人間の暮らしを見ておきたい。

 新たにダンジョンを作る訳だから、より人間を呼び込めるような立地に建設したいし、そのためには人間の暮らしをある程度知っておく必要がある。

 お宝のバランスを考えるにしても、この世界の人間の間でのお宝の市場価格を調べた方が良いし、この世界の人間がどの程度までの危険なら冒すのかも調べておいた方が良い。

 案外、外に出てやるべきことは多いのだ。

 ……あんまり、アウトドア派じゃないんだけれどなあ。




 てるてる軍団の攻撃も打ち止めだろうし、しばらくはまた暇になる、はずだ。

 けれど、流石にこのダンジョンをトラップだけで守るのは少し不安。

 なので、私は『町に行く準備』の手始めとして……『お留守番係の作成』を行う事にした。


 外へは、リビングアーマー君とデスネックレスとファントムマントとソウルソード達は連れていく事にした。

 逆に言えば、ファントムマント1枚とソウルナイフとホロウシャドウを置いていく。

 デスネックレスとホロウシャドウのどちらを置いていくか迷ったのだけれど、より『単品で仕事ができる』方を置いていくという基準で選考。

 ……しかし、ホロウシャドウ君はともかくとして、ファントムマントとソウルナイフは、『装備モンスター』だ。特にファントムマント。

 リビングアーマー君ならファントムマントやソウルナイフを装備できるんだけれど、ホロウシャドウ君がそれをやると、ホロウシャドウ君の持ち味が損なわれてしまう。

 それに、ホロウシャドウ君だって、潜むための影はあった方がいいわけである。

 ……ここから導き出されたのは、『新たなモンスターの作成』だった。




 作れそうなモンスター、かつ、装備モンスターを装備できそうなモンスター、そしてできる限り強い方が良い……と考えていった結果、『リビングドール』を生み出す事にした。


『リビングドール』。その名の通り、生きた人形である。魂5000ポイント分也。

 磁器でできた白く滑らかな体躯は、私よりも少し小さい。多分、身長150cm無いかな。

 生み出されてふわり、と10cmぐらい宙に浮いたリビングドールは、首を傾げつつ私を見ている。

 ……いや、見ている、というか……この人形、本当に真っ白な磁器だけでできているから、顔面はゆで卵のようにつるんと……こう、つまり、のっぺらぼうなのだ。

 ちょっと、寂しい。




 てるてるローブを改造したワンピースドレスを着せて、ファントムマントを着せて、ソウルナイフを握らせて、陰にホロウシャドウ君を潜ませて……リビングドールを一通り装備で固めた。

 これだけでLv1のリビングドールがガーゴイル相当に強くなるのだから、やっぱり装備の力は侮れない。


 それから、リビングドールに余っているスキルオーブを与えて、一通り魔法を使えるようにしておいた。

 リビングドールは、リビングアーマーと対称的に、魔法に適性のある魔物だ。魔法の威力は、デスネックレスやホロウシャドウと同等を期待できる。

 逆に、物理的な攻撃はあんまり得意じゃないらしいから、あくまでもソウルナイフはハッタリ程度、或いは、ソウルナイフ自らが動くという事を隠すための装備、ぐらいに考えている。


 ソウルナイフが単体で戦う事も考えれば、リビングドールの武器も必要かな。

 魔法を覚えさせたついでに、戦利品の中から杖を適当に見繕って与えてみた。

 リビングドールは数度、杖を振って……多分、気に入ったのだろう。杖を胸に抱くようにして、ぺこん、とお辞儀して見せてくれた。


 そして、最後の仕上げ。

 リビングドールの瞳として、作った人工ルビーを嵌めこむ。

 それだけで、なんだか意思の疎通がしやすい気がするというか、なんとなく落ち着くというか。

 それに、磁器の白い肌にルビーの紅い瞳がきらり、と映えて、中々綺麗な印象。うん。いいと思う。

「これからお留守番、よろしくね」

 リビングドールと握手すると、リビングドールは幾分嬉しそうに、こくこく、と頷いて見せてくれた。




 とりあえず、リビングドールを置いておけば、野良冒険者程度ならなんとかなるだろう。多分。

 ダンジョン内のトラップは全て、私の意思で発動する『任意発動』にしたし、ちょっと増やしもしたし。

 最悪、駄目そうなら馬を飛ばしてすぐ戻ってこよう。




「じゃあ、行ってきます」

 モンスター達に見送られながら、私は装備モンスターや馬と共にダンジョンを出る。

 ダンジョン1Fに出たら、馬にまたがる。乗馬の訓練はしていたし、馬とも仲良くなっているし、何も問題は無い。

 ……とりあえず、今日私が向かうのは、『テロシャ村』。

 このダンジョンから馬で10分と掛からないぐらいのご近所さんである。

 それでも、この世界に来てから初めての外出だ。

 気を引き締めていこう。


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― 新着の感想 ―
うっま「久々に外に出れた・・・」
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