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悪魔と子供~虐待と歩橋~  作者: 戌尾 昴
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虐待と歩橋

久しぶりの投稿です。とりあえずご覧ください!


 第二話…苦悩と静怒

 寅年9月30日――

 囲治吾弟児誓小学校の近くの歩道橋の上に4歳の男の子がいた。男の子は北方向の景色を見ていると何故か男の子は歩道橋から落ちた。

 そして現在の早朝――

 地泉の家の地泉の部屋では――

(地泉)「う~ん」

 地泉は悪夢に魘されていた。

(アガレス)『地泉! 地泉!』

(地泉)「…はっ!」

 地泉は誰かの御蔭で悪夢から覚めた。

(地泉)「…アガレス…お早う」

 地泉に取り憑いている悪魔=アガレス(分身体)。

(アガレス)『今日も例の悪夢……いや、あの日の事を……』

(地泉)「…あぁ、先週のあの日にまさか、俺の事件の犯人が姿を現したのだからあの時の事を悪夢で見ても不思議は無いけどな……」

(アガレス)『…それはそうと時間を見たら』

(地泉)「え?」

 現在の時刻…7時半

(地泉)「やべっ! 今日は早朝に調布のパトロールだった!」

 地泉は急いで服を着替えていた。

 少し時間が経ち特殊制裁班では心究、獅血、淨櫳の3人がいた。

(淨櫳)「…そう言えば陽と天雲は?」

 淨櫳が徳魔と天雲が居ない事を他の三人に訊いた。

(心究)「あぁ、あの二人ならラブホに行っているとさっき徳魔が連絡してきた」

 心究は徳魔と天雲の居場所を三人に教えた。

(二人)『ラブホォォ!』

 2人は徳魔と天雲がラブホテルに居る事に驚いた。

(心究)「先週の件の罰でラブホでのお仕置きだと」

(淨櫳)「いやぁ、でも例の件はあの時に落雷を受けてお仕置きは終わった筈じゃぁ…」

(心究)「あれは前戯で天雲の怒りが静まるのは最低でも7日間は治まらないからなぁ」

(二人)『……』

 2人は心究の話を聴いて茫然とした。

(淨櫳)「でも…ラブホで《いちゃいちゃ》して子供が出来れば《約束》よりも早く結婚する事になるのでは?」

(心究)「実は天雲の子宮は摘出されていて今の天雲は子供が出来ない体なのよなぁ」

(二人)『はっ!?』

(心究)「実は中学二年の時に――」

 その時、心究の携帯電話が鳴った。

(心究)「もしもし……地泉か……えっ! 分かった今すぐに辰岐摩病院に向う!」

 心究は電話を切った。

(獅血)「何があった?」

 獅血が訊いた。

(心究)「今さっき、地泉の知人の家が強盗犯に入られその家の家族三名が襲われ現在…辰岐摩病院に搬送中らしい…淨櫳! お前の思獣を使って辰岐摩しんきま病院に向いたい! 被害者の容体は一刻の猶予も無い!」

(淨櫳)「分かった!!」

 心究と淨櫳は外に出ると既に五人が乗れるほどの龍がいた。それに心究と淨櫳は乗り辰岐摩病院に向った。

 その頃、徳魔はラブホで1時間に及ぶ天雲による体罰《鞭打ち》を受けていた。

(徳魔)「頼むからそろそろ……」

 徳魔は汗をかいていた。

(天雲)「まだまだ許しません!」

 天雲は笑みを浮かべるがその笑みは不敵な笑みだった。

(徳魔)「いや、だから、あの時のはさぁ――」

(天雲)「問答無用!」

 その時、徳魔の携帯電話が鳴った。天雲の罰は一時中断となり徳魔は電話に出た。

(徳魔)「もしもし…心究か…何! 地泉の知人が病院に搬送された! 分かった」

 徳魔は電話を切った。

(天雲)「如何したの?」

 天雲と徳魔は服を着ながら話し始めた。

(徳魔)「地泉の知人が強盗犯に襲われて…重傷らしい…」

(天雲)「…今回のお仕置きは此処までにしてあげるけど…この件を無事に全部解決が出来なければまたお仕置きするからね♡」

(徳魔)「分かった約束する! 必ず解決するから」

 徳魔がそう言うと天雲は笑みを浮かべて徳魔の腕に抱きついた。

(徳魔)「行くぞ!」

(天雲)「うん!」

 徳魔と天雲はラブホから出た。

 その頃、辰岐摩病院には既に心究と淨櫳が到着していた。そこに地泉も合流した。

(地泉)「悪い! 遅れて」

(淨櫳)「何していた?」

(地泉)「警察に協力してモンタージュ…と言うよりか強盗犯の特徴を伝えていた。…それよりもあいつ等は?」

(心究)「…二人ならICUに運んどいた」

 心究がそう言うと地泉はICUに向った。

 そして、ICUに居るのは女性が二人いた。

(地泉)「角花(すみか)……」

(淨櫳)「地泉…何があったか教えてくれないか」

(地泉)「あぁ、実は――」

 数十分前――

 地泉は調布のパトロールをしていると守護霊が居ない男性を見つけた。地泉はとっさに携帯電話を取り出し鏡魔に連絡した。

(地泉)「……一つお願いがある。今から送る顔写真がヒットするか確認してくれ!」

(鏡魔)(了~解~)

 そう言うと地泉は携帯のカメラ機能を使いその男性を隠し撮りして鏡魔のパソコンのメールに送った。

 数分後――

 鏡魔から電話がかかって来た。

(鏡魔)(そいつは20年前の連続空き巣犯で当時、一度は警察の事情聴取を受けたその時に家に遭った被害者以外の指紋と事情聴取で呼んだ男の指紋が一致したもののそれは被害者達が其の人は庭師で時々家に上がってもらったりしていた時に付いた物だと言い…男は解放された。その後、未だに犯人は見つからずにいた……それにこの男は先週の警備員殺害事件の時に監視カメラに映った人物の一人よ)

(地泉)「…成程…有難う」

 そう言うと地泉は電話を切った。

 男性は住宅街に入るとある一軒家に向うと直ぐに中を調べていた。

(地泉)「…また、空き巣でもする気ですか」

 地泉は時効犯に声を掛けた。

(男性)「何者だ!」

 時効犯は護身用のナイフを取り出し地泉の方に振り向いた。

(地泉)「俺は特殊制裁班の陸海 地泉だ!」

(男性)「特殊制裁班?」

(地泉)「まぁ、簡単に説明すると法では裁けない者達を裁く組織さ!」

(男性)「俺を裁きに来たのか」

(地泉「あぁ」

(男性)「そう簡単に裁きを受けるかよ!」

 そう言うと時効犯は地泉の腹にナイフを刺した。

(男性)「へっ!」

(地泉)「…それで死ぬとでも」

(男性)「!」

 腹を刺された地泉は平気な顔をしていた。

(男性)「これならどうだ!」

 時効犯は刺したままナイフを上に上げた。

(地泉)「そう言うのは効かないのよねぇ」

(男性)「ば、化け物!」

(地泉)「…てめぇは既に地獄に行く事は決定しているがお前には寿命まで生きて生涯を尽くして罪を償いな! 被害者達の気持ちを知りながら!」

 そう言うと後ろからアガレスの分身体が現れると時効犯の腕に正三角形の痣が現れた。

(男性)「ぐっ!」

 時効犯は地泉にナイフを刺したまま後ろに下がった。

(地泉)「てめぇが犯行を起こせばその痣が反応してお前の体に激痛を与える。それにお前は寿命以外で死ぬ事は許されてはいない。詰り生き地獄さ」

 地泉はそう言いながら刺さっているナイフを抜いた。

(地泉)「お前の生き地獄後もお前には地獄に堕ちる…お前は空き巣をした時点で生涯生き地獄…天国に逝ける確立は0だ! お前が結婚をしても…永久に…」

 そう言うと地泉はその場を去った。

 数分後――

 地泉が角を曲がるとある家から覆面を被った男に出くわした。

(地泉)「! 何をしている!」

 覆面の男は持っていたナイフを地泉の脇腹に刺した。すると、地泉はその場に崩れた。覆面の男は地泉が来た方向へ逃げて行った。

(地泉)「…ふぅ」

 地泉は平然と起き上がるとナイフを抜いた。

(地泉)「この家から出て来たよなぁ」

 地泉は家の表札を確認した。

 《風柾【かざまさ】》

(地泉)「!」

 地泉は慌てて家の中に入った。

(地泉)「くそっ!」

 中に入ると女性が二人と男性が一人倒れていた。

(地泉)「…これは――」

 地泉は怒りを抑えながら拳を強く握った。

 そして、現在に戻る――

 辰岐摩病院のICUが見える場所に地泉と淨櫳、心究がいた。

(心究)「彼女達は君の何だい?」

 心究が地泉に訊いた。

(地泉)「…彼等は俺にとって大事な人達です。…俺が中学3年の時に彼女が話しかけて来て……」

 数年前の5月――

 地泉は自由広場の椅子に座って空を見ていた。

(少女)「ねぇ、お兄ちゃん何しているの?」

 其処に女の子が声を掛けて来た。

(地泉)「いやぁ、暇でなぁ」

(少女)「お兄ちゃんは高校生なの?」

(地泉)「いやぁ、中学生だよ」

(少女)「今日は平日だよ、如何して学校に行かないの?」

(地泉)「…俺は自然と戯れている方が良いの…俺には一寸した能力があってなぁ」

(少女)「能力?」

(地泉)「…見せてあげよう」

 地泉は右手を出すと手から火や水、風、氷、雷等を掌から出して見せた。

(少女)「すご~い」

 女の子は歓喜していた。

(地泉)「俺は自然の力を使う事が出来るが当然の如く鍛練する事で能力は強化できる」

(少女)「他にもいるの?」

(地泉)「俺の母親の家系が使えるが俺はその中で2位だよ」

(少女)「すご~い」

(地泉)「…唯、一つ欠点がある。俺の力は自然そのものにも影響を与える可能性がある。…例えば怒れば地震を発生させてしまう…だから、俺は学校に行かない…俺の力が他の者に迷惑を掛けるといけないからな」

(少女)「じゃぁ、お兄ちゃんは逃げているの?」

(地泉)「……」

 地泉は女の子の問いに反論出来なかった。

(地泉)「…そう言えば君も小学生だろ…如何して学校に行かない?」

(少女)「私は学校で苛められているの」

(地泉)「如何して?」

(少女)「……私のパパが公務員だから」

(地泉)「…君はお父さんの事は好きか?」

(少女)「うん! パパのこと大好き!」

(地泉)「そうか、なら苛めから逃げずに学校に行けば苛めをしていた者達も何時かは苛めをしなくなるさ」

(少女)「本当?」

(地泉)「あぁ、無くなるさ! それでも、苛めが続くなら俺に相談しに来い! お兄ちゃんが助けてあげる」

 そして、月日が経ち地泉の中学の卒業式前日――

 自由広場の椅子には地泉と女の子が椅子に座っていた。

(地泉)「…角花ちゃん、お兄ちゃん…この先、君と会えなくなるかも…」

(少女)「! 如何して?」

(地泉)「…お兄ちゃんね、ある組織に勧誘されていて仕事で君と会えなくなるかもしれない」

(少女)「お兄ちゃん、遠くに行くの?」

(地泉)「…いや、組織の拠点はこの調布に置くらしいけど…組織のルールに《特別な事情が無い限り関係者との接触はしない》と言うルールが存在していて君と…こうやって会う事も出来なくなる…ごめんな」

 地泉は女の子の頭を撫でてその場を立ち去ろうとした。

(少女)「待って!」

 その時、女の子は地泉の腕を掴んだ。

(地泉)「…如何した?」

(少女)「…私と結婚して!」

少女は顔を赤くして更に左胸部分を握り締めて決心した表情で地泉に告白した。

(地泉)「! いや、それは」

 女の子の大胆発言に地泉は少し困惑した。

(少女)「駄目?」

 女の子は可愛い目で地泉を見つめた。

(地泉)「…じゃぁ、君が結婚出来る年齢になった時に此処で再会しよう! その時に気持ちが変わっていなければ結婚しよう」

(少女)「うん!」

少女は満面の笑みを浮かべた。 そうして、地泉と女の子は別れた。

現在に戻る――

 地泉と心究と淨櫳は辰岐摩病院の待合室の椅子に座っていた。

(淨櫳)「…そうか…」

(心究)「……」

(地泉)「俺にとってあの家族は特別だから…」

(淨櫳)「一つ訊くけど父親は如何して助けなかった?」

 淨櫳は地泉に訊いた。

(地泉)「それは……」

(心究)「…何か事情があっての事だろ…詮索はしない方が良い」

 心究は淨櫳に詮索しない様に伝えた。

(淨櫳)「…そうだな」

 淨櫳は地泉にそれ以上は訊かない事にした。

(地泉)「…少し、屋上に行ってくる」

(心究)「あぁ」

 地泉は椅子から立つと屋上に向った。地泉が見えなくなると心究の携帯電話が鳴った。

(心究)「班長からメールか…成程ね」

(淨櫳)「何だって?」

(心究)「え~と《心究は地泉と一緒に病院に残って様子を監視する事…淨櫳は獅血と一緒に強盗犯の手掛りを見つけろ!》だとさ…」

(淨櫳)「了解!」

 淨櫳は辰岐摩病院から出た。

 翌日――

 徳魔と天雲は強盗犯の足取りを確認していた。

(徳魔)「…強盗犯は地泉を刺すと地泉が曲がった方向に逃げた……この先は警備員殺人事件の犯人が壊した監視カメラが在る方向か…」

 徳魔と天雲は警備員殺人事件の時に活躍した監視カメラが在る方に向った。

(徳魔)「…雪、鏡魔に《例の監視カメラの事件当日の映像を手に入れて欲しい》と伝えてくれ!」

(天雲)「了解!」

 天雲は鏡魔に連絡した。

 その頃、淨櫳と獅血は獅血の能力を使い情報を集めているが一向に犯人の手掛りが見つからない。そこで獅血は見方を変えて鳩に話しかけた。

(獅血)「なぁ、鳩さん、被害者の女の子の中学は何処だ?」

(鳩)『確か…角花ちゃんは彪登中学校ひゅうとちゅうがっこうだよ』

(獅血)「有難う」

 鳩は飛んで行った。

(淨櫳)「「なぁ、何で女の子の中学校を訊く訳?」

(獅血)「…この事件は何か大きくて小さい感情が隠れている様な気がして…取り敢えず、中学校に行くぞ!」

(淨櫳)「あ、ああ」

 そして、淨櫳と獅血は彪登中に向った。

 数十分後――

 淨櫳と獅血が中学に着くと学校の校門から陽と雪が出て来た。

(淨櫳)「あれ、如何して?」

 淨櫳が二人に如何して中学校に来たのか訊いた。

(徳魔)「…被害者が地泉の事が好きならば同じ中学校に入学する筈だから…来て調べた」

 徳魔は淨櫳と獅血に自分達が中学校に来た理由を教えた。

(淨櫳)「…そうか」

 淨櫳と獅血は納得した。

(徳魔)「調べたら面白い事が分かった」

(獅血)「面白い事?」

(徳魔)「被害者が中一の時に中学三年のある男子生徒が告白したらしい…だが、当然の如く被害者は拒否をした。だけど、中学を卒業の後もストーカーの如くに被害者に付き纏ったと言う話を聞けた。…一応、警察もストーカーに注意をしたらしい」

(淨櫳)「そいつが犯人か?」

(徳魔)「…いや、流石に其処までは分からないが状況証拠を照らし合わせると自然とそうなる」

(獅血)「どういう事だ?」

 獅血は徳魔に訊いた。

(徳魔)「一つ目は犯人の逃走経路を確認する事と告白をした男性が住んでいる方向に合致する。二つ目は犯人が地泉を刺した事だ。普通ならナイフを刺さずに逃げる筈だ。犯人が被害者と地泉に接点が在る事を知っていなければ刺さないからな……それに刺すには動機がなきゃ起こさない物だ」

(獅血)「…確かに」

(徳魔)「…お前らは病院に行って地泉の様子を見ていてくれ! 俺達は特殊制裁班の逃法犯認証係に行って今から監視カメラの映像を確認してくる。分かり次第、メールで伝える」

(淨櫳)「了解!」

 淨櫳と獅血、徳魔と天雲は別れた。

 その頃、病院では地泉はICUにいる二人の女性を見ていた。

(地泉)「角花ちゃん…」

 地泉は暗い顔で見ていた。

 特殊制裁班の逃法犯認証係に徳魔と天雲が到着していた。

(徳魔)「鏡魔…確認を出来るか?」

(鏡魔)「えぇ、きよみちゃんの言う通りに準備しといたよ…」

 そう言うと逃法犯認証係のパソコンの画面に昨日の午前中の映像が映し出された。

(徳魔)「…やっぱり、人通りが無いなぁ……」

 徳魔がそう呟くと映像に一人の男性が映し出された。

(徳魔)「覆面は被っていない……それにこいつには守護霊がいない…雪、例の卒業アルバムを見せてくれ!」

(天雲)「うん!」

 天雲は鞄から一つの卒業アルバムを徳魔に手渡した。すると、徳魔は卒業写真の中から一つの生徒を映像の人物と確認した。

(徳魔)「…こいつに間違えない!」

その男の名は波風 光人【なみかぜ みつと】と言う人物だった。

(徳魔)「鏡魔はこの映像を調布署に伝えてくれ!」

(鏡魔)「了解!」

 そして、徳魔は淨櫳に伝えようとメールを打っていると映像に何かに気付いた。

(徳魔)「…一寸、待って! こいつは!」

 徳魔の表情が一変して険しい顔に変わった。

 その頃、辰岐摩病院の待合室では淨櫳と獅血が心究と地泉に事件の詳細を教えた。

(地泉)「…そうか」

 地泉は少し暗い表情だった。

(心究)「それで、犯人は特定されたがその先は如何する?」

(淨櫳)「そうだよなぁ、俺達の組織のルールの一つに《時効になっていない事件には協力するのは良いが犯人に俺達のルールは適用されない》と言うのがあるからなぁ」

(地泉)「……」

 心究と淨櫳が悩んでいる時に地泉の拳は強く握っていた。

(獅血)「……地泉、これ」

 獅血はある物を地泉に投げて渡した。

(地泉)「これって、若しかして」

(獅血)「あぁ、それは風柾 角花の携帯電話だ。今日の早朝に班長と天雲が被害者の家に入った時に天雲が持って来て、中学校であった時に俺に渡された」

 獅血が説明しているのに地泉は角花の携帯電話のメールを調べていた。

(地泉)「…それらしきメール……と言うよりメール全てが無いぞ!」

(心究)「…まぁ、犯人だってそれ位の知恵はあるか」

 四人が暗い顔をしていると突然、角花の携帯電話が鳴った。

(地泉)「うわぁ!」

 地泉が驚いて携帯電話を開くと誰からかのメールだった。

 (件名…鏡魔です。 本文…今頃、被害者のメールを調べて探していた頃だと思います。さっきまで徳魔から頼まれて犯人のメールアドレスを調べていました。これが犯人のメールアドレスです。……)

 メールには犯人のメールアドレスが記されていた。

(地泉)「これで何とか……!」

 次は地泉の携帯電話が鳴った。画面を見ると徳魔からだった。

 (件名…作戦 本文…作戦についてだが……)

 徳魔のメールには作戦内容が記されていた。

 そして、夜中の十時――

 自由広場にはカップルと波風 光人がいた。

 (波風)「話って何だろうなぁ」

 波風は携帯の《メールボックス》には風柾 角花からのメールだった。

 (件名…お話があります 本文…お話があります。今日の十時に自由広場の丘で待っています。 風柾 角花❤)

 と書かれていた。

 光人が丘を上るとカップルがそれを見ていた。

(徳魔)「…お前の方に行ったぞ!」

 カップルは変装した徳魔と天雲だった。

 そして、光人が丘の頂上に着くとそこには角花の影が見えなかった。

(波風)「あれ?」

(地泉)「まぁ、久しぶりだねぇ、後輩君」

 其処に居たのは地泉だった。

(波風)「! テメェは確かに刺して死んだ筈じゃぁ」

(地泉)「…この通り、ピンピンしているよ」

(波風)「だったら、もう一度刺すだけだ!」

 そう言うと光人は地泉に再度、ナイフで腹を刺した。

(地泉)「それが」

 地泉の腹からは血が出ずに地泉の表情は平然としていた。

(波風)「ど、如何して…」

 光人は驚きを隠せずにいた。

(地泉)「俺は自然を使う能力を持っていて……お前が刺す前に体を液体状に変えただけさ」

(波風)「化け物!」

(地泉)「…さてと、何故、風柾家全員を刺した」

(波風)「…それは、俺の告白を断った」

(地泉)「…一つ訊くがお前にとって女性とは何だ?」

(波風)「俺にとって女は奴隷さ! 最高の玩具だ! 女は男の言う通りに動けば良いのさ! 女は男に抱かれるのが一番の幸せだからな!」

 光人の顔は歪んだ笑みを浮かべていた。

(地泉)「…そうか」

 地泉は怒った表情で光人に巨大な炎を放った。

(波風)「!」

 地泉の攻撃を光人はかわした。

(地泉)「避けたか…」

(波風)「お前は本当には怒っていない!」

(地泉)「ほぉ、如何してそう思う?」

(波風)「お前の攻撃には感情が入って無い!」

(地泉)「…感情か…確かに俺は感情を表に出した事を一度も無い!」

(波風)「それでは角花を守る事は……」

(地泉)「俺は感情を出さないのではなく、感情を出せないのだよ……感情を表に出せばこの日本と言う島を全て呑みこむ超ド級の大津波やマグニチュード百万の最大級の大地震を引き起こす事が出来るが力だ! 俺が感情的になれば仲間に大迷惑を掛けちまう…だから、俺は感情を表に出さずに全てを守るとずっと前に決めた約束だ! 今の俺はお前を殺したい感情を抑えて此処に立っている」

 そう言いながら強風を放った。

(波風)「!」

(地泉)「…俺は大事な人を守る為なら手加減はしない!」

(波風)「…だったら、如何して角花の傍に居なかった!」

(地泉)「約束の為だ……と言っても俺はパトロールの途中で角花の家や学校を見て回った。時々だが角花の様子を確認したが接触はしない事にしていた。…俺はあいつとの約束を守らないと男が腐る!」

(波風)「……」

(地泉)「俺は角花の事を一番に愛している! お前は俺達の心の痛みが分かるか!」

(波風)「それなら、俺が失恋した時の心の痛みは分かるのかぁ!」

(地泉)「分かりたくないね! お前の痛みなど唯の甘えだ! 人が死ぬ事や大事な居場所が無くなる時の痛みとは全く違う!」

 そう言うと地面に氷を張った。

(地泉)「…お前は角花の事を奴隷と言うがあいつにも家族がいて大切な物が沢山ある!」

 そう言うと地泉は地面を滑り一瞬で光人との距離を縮めて光人の首を鷲掴みして思いっ切り地面に光人の頭をぶつけた。そして、光人は気を失った。

(地泉)「…お前は俺が角花と約束をしなくてもお前の告白を断っていたのは明白だ!」

 そう言うと地泉はその場を去った。

 翌日の早朝――

 辰岐摩病院のICUには未だに角花と角花の母親は眠り続けていた。それを地泉はICUの外で見守っていた。其処に徳魔が声を掛けて来た。

(徳魔)「一寸、良いか?」

(地泉)「何かあったのか?」

 地泉と徳魔の二人は待合室に行った。

(徳魔)「実はあいつの預金通帳から三十万円が引き出されていた。…大金は風柾の家から盗んだ金だったがその金はある者に脅迫されて渡したらしい」

(地泉)「その者って…! まさか!」

(徳魔)「あぁ、光人にも名前を言わなかったが通称を言った。その名は《ブリッジデビル》と……」

(地泉)「奴の正体は分かったのか?」

(徳魔)「いや、それが正体は未だに謎のままだ」

(地泉)「…そうか」

(徳魔)「だが、今回の件でブリッジデビルの居場所が少しは特定出来た」

(地泉)「それは」

(徳魔)「この調布市内に居る事は分かった!」

(地泉)「灯台下暗し…俺の身近な人物があの時の犯人なのか」

(徳魔)「さぁな、まだ詳しい事は俺にも分からないが俺の勘でも身近な人物とは分かる」

 その時、徳魔の携帯電話が鳴った。

(徳魔)「もしもし、雪!」

(天雲)(今日の約束忘れたの?)

(徳魔)「忘れて無いよ 直ぐに行く!」

 そう言うと徳魔は電話を切った。

(徳魔)「…残り二十分か…急がないと! 地泉、済まないけど急ぎの用件が……」

(地泉)「分かっているから急いだら」

(徳魔)「済まないな!」

 そう言うと徳魔は急いで天雲との待ち合わせ場所に向った。

(地泉)「……」

 地泉は再びICUに戻った。

(地泉)(……絶対に見つけ出す!)

 地泉は角花を見て拳を強く握った。


 恋人の一件は解決した! だが、地泉の時効事件は未解決のまま! 角花は今も眠り続けている! 次回は遂に地泉の事件が動き出す! 角花は目を覚ますのか!?


 悪魔と子供~虐待と歩橋~第二話 完


 悪魔と子供~虐待と歩橋~第三話 続く――


事件が遂に本格的に動き出す!

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