新しい仲間と新しい能力
その後。
風花と炎明は、手を繋ぎながら学校の校門を出たときだった。
「ねぇ、炎明」
「……ん? 何だ?」
「あのっ、そのっ……」
「何だよ、そんなに戸惑って……お前らしくもない」
「えぇっと、これ、プレゼントなんだけど、どっちがいい?」
そう言って風花がポケットから取り出したのは、2種類のイヤリング――炎の形と稲妻の形――だった。
「んーー……じゃあ、炎の方。元々そういう形が好きだし」
そういうと、炎の形をしたイヤリングを手に取り、早速、付けていた。
その後、2人はいつも別れる交差点で別れて、その後、風花はある公園に行き、そこの砂場に残りのイヤリングをそこに置き、その場を立ち去った。
―――
その頃。
綾乃は龍也と一緒に帰っていた。
「……ねぇ、北原」
綾乃は龍也に話し掛ける。
「何?」
「最近、変な夢を見たの」
「『夢』……?」
「うん……」
そう言うと、綾乃は夢の内容を龍也に話した。
―――
「ふーん。……向こうから仕掛けてきたのか……」
「……まぁ、そういう事かな……」
「それにしても、まさか幼なじみが敵だなんて、お前も随分苦労してるんだな」
「……。あっ、そうだ。1つ聞きたいことがあるんだけど」
「……? 何だ?」
「あたしとその幼なじみで心の中で会話とか出来たんだけど……、あれって何なの?」
「……後で、説明するよ」
そう言うと、彼は立ち去った。
―――
その夜。
学校では真面目なキャラを気取って、黒いフレームの眼鏡を掛け、寝癖など1つもないような髪型で、いつも本を読んでいる彼――土田光成――は、夜になると、髪の毛もツンツンにし、眼鏡ではなくコンタクトになり、彼は完全に不良と化する。
その彼は、意図的に風花が残りのイヤリングを置いた、あの公園の砂場にいた。
「何だ? これ……」
彼は、稲妻の形をしたイヤリングを見つけた。
辺りを見渡し、誰もいないことを確認すると、
「……違反だが……いっか」
そう言うと、光成は、イヤリングを付けた。
その直後。
スタッスタッ……
後ろの方から、足音が聞こえた。
その音に怯えてすぐに物陰に隠れる光成。
しかし。
「そんなとこで何隠れてんだ?」
すぐにバレてしまった。
男の声だった。
このまま隠れても埒が開かないと確信した光成は、物陰から出てきた。
「チッ……、寄りにもよって、転校生か……」
そう呟いた光成の目線の先には、龍也がいた。
「いつもは真面目なキャラを気取ってたのか……。それにしても物凄いギャップだな……」
小さい声で言ったはずが、
「おい、聞こえてるぞ」
「……あぁ、わりぃ。早速だが、頼みがある」
「……?」
「明日の放課後、学校の屋上に来てくれないか?」
「……ハ? 頼みって……それだけか……?」
「あぁ、それだけだ」
「何だそりゃ……まぁ、いいけど」
「じゃあ、そういう事で」
そう言うと、龍也は去って行ってしまった。
―――
翌日の放課後。
屋上には、岡崎綾乃、水澤清美、草野風花、日高炎明、そして、北原龍也と土田光成がいた。
「よし、全員揃ったな」
龍也が言い、続ける。
「まずは、話してない奴に話さないとな」
と言い、あの伝説のことを説明した。
―――
龍也の話が終わって、光成が口を開き、
「……で? 結局、俺たちはその力を利用する奴らをボコボコにすればいいのか?」
「……土田くんがそんな言葉を使うとは思わなかった」
清美は小声で、(龍也以外の)誰もが思ったであろう事を、ボソッと呟いた。
清美が呟いた言葉を完全に無視し、「まぁ、そういう事だ」と龍也は答える。
「……あたしたち、あんたが転校してから今までの期間でこの中にいる人の中では一番長いんだけど、まだ分からないことが沢山あるんだ。……あんたが知っていること、全部教えてくれない?」
綾乃が清美の肩を組み、そう言うと、
「……わかった」
龍也が言うと、続けた。
―――
石を持つ者と俺たち術者が共通して持っている力がある。
それが輪だ。
輪は、石を持つ者同士、術者同士、また、石を持つ者と術者同士で使うことができる。
そして、その能力は、……心の中で会話することだ。
それと、その力を使うには、『誓いの言葉』を言わなければならない。
例えば、「離れても、ずっと一緒だよ」……とか。
―――
最後の例のセリフ。
あれは綾乃と綾乃の幼なじみ――優菜が言った、『誓いの言葉』。
優菜が引っ越すときに、車の窓に隔てられながらも、2人は手と手を合わせ、
「「離れても、ずっと一緒だよ」」
そう泣きながら言った。
それから2人は、心の中で会話ができるようになった。
―――
綾乃は、ふと、優菜との別れ際の時を思い出した。
(さっきの例のセリフ……)
綾乃は、何か考えていた。
(……気のせいか)
そう吹っ切れていると、話は前に進展していた。
―――
「……じゃあ、やりますか」
龍也が言う。
「せーの!!」
「「「「「「離れても、絶対忘れません!!!!」」」」」」
全員が声を揃えると、一瞬、頭が硬直してしまったような感覚を覚えた一行であった。
―――
帰り道。
[ねぇ、綾乃]
早速と言わんばかりに輪を使うのは、風花である。
[……何?]
[前から思ってたんだけど]
[……?]
[上手く行き過ぎじゃない? ……だってさ、仲間がこうも簡単に揃うのって、不自然じゃない?]
[……確かに]
[仕組まれてるのかも]
[……考え過ぎだよ]
[……そうかな?]
[そうだよ]
[……そうだね]
そんな会話をし、夕日を見て浮かない表情でため息をする風花だった。