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Hope World 〜願いが叶う世界〜  作者:
自覚~仲間探し編~
6/13

宣戦布告と仲間の過去

 その日の夜。


 綾乃は夢を見た。


 ―――


「ここ、どこ?」


 綾乃は周りを見渡した。


 そこは全てが真っ白だった。


 地面も空も川も木々も海も……。


 そして、そこに2人の人物が現れた。


 1人は綾乃の誘拐犯、もう1人は……、


 ……優菜だった。


 ただ、様子がおかしい。


「優菜?」


 それにも気付かず、綾乃は優菜に話し掛けると、


「……あなた……誰……?」


「……えっ?」


 綾乃は驚いた。


(信じたくなかった。……けど、優菜は、やっぱり……)


「状況を把握できたかな、岡崎綾乃さん? 彼女は、記憶喪失なんだ」


 男が言うと、続けて、


「あぁ、済まない。自己紹介が遅れた。

 俺の名前は葛西(かさい)(まさる)。ある研究をしている。何をしているかは言えないが」


 葛西の言葉が不意に切れ、そしてまた、続ける。


「ここは、まだ未完成だが、Hope Worldだ。

 そして、ここに宣戦布告をする。

 ……世界征服をな」


「せっ、世界征服……?」


「用は済んだ。……おい!」


『何でしょう?』


 空間の上から声が聞こえた。


「彼女の力を完全解放しろ!」


『しかし、それは彼女の体に支障があります』


「……大丈夫だ、俺を誰だと思ってる!!」


『……失礼しました。では、完全解放します』


 そう言うと、何やら呪文のようなものが空間上に鳴り響いた。


 綾乃はそれを聞くと、耳鳴りが鳴った。


 時間が経つ毎にどんどん激しくなっていく。


「……っ!!」


「なるほど……、闇の力が増える呪文を唱えると、光の力が減るのか。

 いやー、実に興味深い」


 そう言うと、葛西は笑いはじめた。


 綾乃は耳鳴りに苦しめられながら前を向くと、優菜の体から、黒い、よく漫画やアニメなどで出て来そうな気迫みたいなものが流れていた。


「……優菜?」


 綾乃はその姿に驚いていた。


 優菜は口を開き、とっても小さな声で何かを呟くと、優菜からその気迫みたいなものが綾乃に向かっていく。


「きゃあぁぁぁあ!!」


 そして、綾乃は闇に呑まれていった。


 ―――


 翌日。


 綾乃と清美は風花の家に行った。


(昨日のあの夢、なんだったんだろう?)


 綾乃は深く考え込んでいた。


 清美はそれに気付き、「綾乃?」と声をかけても返事をしなかったので、しばらく話し掛けなかった。


 ―――


 風花の家の前。


 綾乃は考え込みすぎて、風花の家の前を通り過ぎ去った。


「綾乃!! さっきから何、ボーっとしてるの!? もしかして、今日の目的を忘れちゃった?」


「いや、忘れてはいないんだけど、考え事してて……。……ごめん」


「いや、別に謝らなくてもいいんだけど。とりあえず、インターホン、押すよ?」


「うっ、うん」


 ピンポーン


『はーい』


「清美です。風花に会いに来ました」


『私が風花です』


「……へ?」


『お母さんの声を真似してみた。……どう?』


「めちゃくちゃ似てる! 全然見分けつかなかった! ねぇ、綾乃!?」


「うん」


『……あっ、ごめん。今からそっちのドアを開けるね』


 ―――


 風花の部屋。


 風花がドアを閉めると、


「……説明してくれない? 昨日、アレを貰った後、おかしなことが何度も起こったんだけど」


 と、急に真面目な顔になった。


「ごめん。話すよ」


 そう言ったのは、綾乃だった。


 ―――


 綾乃と清美は今までの経緯を全て説明した。


 風花は真面目な顔で2人の話を聞いていた。


 ―――


「そんなことがあったんだ……」


 驚く風花に清美は、「うん。……夢みたいでしょ?」と自慢気に話す。


「うん」


 と、浮かない表情をして答える風花。そこに、ピンポーンと、インターホンが鳴った。


 2人の会話が切れた。


「はーい」


 風花は、インターホンのカメラを覗くと、そこにいたのは、男だった。


「おっ、男!?」


 風花は驚くと、胸の辺りの位置の服を強く握り、息が荒くなり、ついには倒れてしまった。


「風花!!」


 清美は即座に風花のところへ駆け付けた。


 綾乃は、インターホンのカメラを覗く。


 そこには龍也が立っていた。


「きっ、北原!? 何でアイツが!?」


 綾乃がそう言うと、清美は玄関へと向かった。


 ―――


 玄関前。


 清美は泣きながら、「馬鹿!!」と叫んだ勢いで北原にビンタをした。


「何で、あれ程『来るな』って言ったのに来たの!?」


「すっ、すまない」


「その言葉1つじゃ足りない程、今、大変な事が起こってるんだからね!!」


「わっ、悪かった……」


「帰って」


「……え?」


「『帰れ』って言ったのが聞こえなかったの!? 早く帰って!!」


 と清美は怒って大声で叫ぶと、龍也は状況を把握出来ず、ただ清美の言うことを聞き、帰って行った。


 ―――


 風花の部屋。


 ピクッと僅かに風花の右手が動いた。


「うっ、うぅ……」


 彼女が唸ると同時に起き上がると、先程玄関で叫んでいた清美が戻って来た。


「風花は……?」


 清美が綾乃に聞いた。


「今、起き上がったところ」


「心配かけてごめん」


「いいよ、気にしないで。それより、こっちこそごめん。……男の姿を見るだけでも駄目なのに……」


 清美は風花に土下座した。


「あの……、1つ聞いていい?」


 そこに綾乃が入ってくる。


「何で、男が駄目なの?」


「……話すよ。いいよね、風花?」


 清美が聞くと、風花はうなずいた。


 ―――

(清美の目線)


 去年の夏、あたしたちで海に行ったの。


 でも、そこで、ナンパされたの。


 当然、あたしたちは、断ったわ。


 そしたら、男たちが無理矢理あたしたちを引っ張って……


 その後、いろいろ飲まされたり、脱がされたりして……


 とにかく過激で……。


 最後には、殴られた。


 本当に怖かった。


 それから、風花は男を見ると、その事を思い出してしまうようになった。


 ちなみに、あたしは海を見るのが怖くなった。


 ―――


「…………」


 綾乃はただ驚いていた。


「ごめんね、変なことになっちゃって」


 風花は謝った。


「大丈夫」


 綾乃は返し、


「「……じゃあね」」


 綾乃と清美はそう言って、風花の部屋から去っていった。


 ―――


 その後、風花は1人で泣いていた。


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