崩れてはいけないバランス
翌日。
綾乃はいつも通り、清美と一緒に歩いていた。
綾乃の口が開き、
「そういえば、昨日北原が話してた伝説……」
「……?」
「あの伝説の続き、知ってるかもしれない……」
「『かもしれない』って、そんな曖昧に言われても……」
「小さい頃、何回も聞かされた話だから覚えてるはずなんだけど、なんか思い出そうとすると、頭が痛くなるんだよね……」
「……それ、なんかヤバイ病気なんじゃない?」
「うーん……」
わかんないと心の中で呟いた綾乃であった。
―――
授業中。
おかしなことが起こった。
ピタッと全てが止まったのだ。
綾乃は驚き、周りを見渡すと、龍也と清美以外の全員の動きが止まった。
人や動物以外の物音や風の音さえ聞こえない。
「どうなってるの……?」
と綾乃は呟く。
「始まったな……」
龍也は小声で言う。
「『始まった』って、何が?」
清美は聞く。
「後で話す。
それより、水澤!!
お前、この前やったこと、覚えてるんだろうな!?」
「あぁ、覚えてるけど……」
という、会話をしていると、突如、変な人の形をした物体が大量発生して、彼女たちに近づいてきた。
「なっ、何アレ!?」
清美は騒ぎはじめた。
「後で話す!!
いいから前にやったことをあいつらに向かってやれーーー!!」
と言われると、清美は黙っていうこと聞き、親指を重ねて、目をつぶり、
「水の壁!!」
と叫んだ。
そして、手から水が床に向かって噴き出し、その水は床を跳ね、壁のように綾乃たちを覆った。
そして、人の形をした物体はその水に当たると、1人、また1人と消えていった。
「すっ……、凄いね、清美!!」
綾乃は清美の力に驚いていた。
―――
「……っ!!」
3人は同じタイミングで机から起き上がった。
どうやら寝ていたらしい。
「おい、お前ら!!
何回起こしたと思ってんだ!!
特に、岡崎!!
お前、最近俺に怒られてばっかりじゃないか!!」
「すっ……、すみません」
「ンア゛ァ゛、もういい!!
とりあえず、俺の話を聞け!!」
といい、授業は淡々と進んでいった。
―――
放課後。
今日は3人で帰った。
清美は口を開いた。
「今日の授業中に起こったアレ、何?」
「……光と闇の力がバランスを崩すと、ああなるんだ」
「なんで?」
「言っただろ?
……『光と闇の力は強い』って。
釣り合わないとこっちまで影響を及ぼす」
「じゃあ、あの人の形をした物体は何?」
「岡崎の様子を見ると、光の力は発動していない。
おそらく、闇の力を持つ者の仕業だろう」
その時、綾乃の心が揺さ振られた。
(まさか……優菜!?)
「ねぇ、今日みたいなことをなくすためには、どうすればいいの?」
その後も清美の質問は続く。
「今、発動しているのは、闇の方だ。闇の力を持つ者の力を封印するか、それとも……」
龍也は少しためらった。
「岡崎がいる時には言いたくなかったが、光と闇の力を持つ者同士がいなくなることだ」
「……!!」
彼女は泣きそうになった。
「ごめん……急用を思い出したから……先に帰るね」
といい、綾乃は走り去ってしまった。
―――
家に着き、「ただいま」も言わず、自分の部屋に閉じこもり、号泣し始める綾乃であった。
やっとファンタジーっぽくなってきました。
今更ながらにこう思います。
小説を書くことって難しい!!