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Hope World 〜願いが叶う世界〜  作者:
自覚~仲間探し編~
3/13

「伝説」が招いたこと

 HR(ホームルーム)が終わった直後。


 清美は綾乃のところへ来て、

「ねぇねぇ、綾乃。

 転校生の目って、なんか変じゃない?」

 と聞いて来た。


「うん。あたしもそう思う」


 綾乃の返事は早かった。


 彼女は何か、考え事をしているようだった。


 ―――


 授業中。


 綾乃はテレパシーのようなもので優菜に話し掛けようとしたが……。


[……怖い……怖い……

 あたしは……誰? 誰なの?

 ……怖い……怖い……

 隣にいる男の人は何者?]


 綾乃は戸惑った。


[……優菜?]


[……怖い……怖い……

 この頭の中から出てくる声は何? 声の主は誰?

 ……怖い……何もかもが怖い]


「優菜!!」


 授業中にも関わらず、心の声が漏れてしまった。


「岡崎!!

 さっきから何でボーとしていたあげくに叫ぶんだ!?」


「すっ……、すいません……」


(まさか、優菜……記憶喪失!?)


「もういい!!

 廊下で立ってろ!!」


 ―――


 昼休み。


 綾乃と清美は転校生に呼ばれて、屋上へと向かった。


「話って、なんだろう。

 まさか……、告白!!??」


 清美は話し始める。


「そんな訳ないでしょう。

 そのはずだったら、なんで2人同時に呼ぶ必要があるのよ」


 綾乃は真っ向から否定した。


 ―――


 屋上。


「ねぇ、2人は伝説とか信じるの?」


 転校生――北原龍也――がいきなり話掛けてきた。


「伝説……か。考えたことがないな」


 清美は答える。


「いい?

 今から話すことは全部、本当のことだから」


 龍也はそう言うと、目をつぶり、淡々と話し始めた。


 ―――


 太古の昔。


 ある地方では、不思議な能力がある石が6つ発見されていた。


 1つは光、もう1つは闇。


 この2つは、あまりに巨大な力なので、人の目に封印していた。


 もう1つは草、もう1つは水、もう1つは炎、もう1つは雷を操る力を宿った石だ。


 その石を全て集めると、何でも何回でも願いが叶う世界――Hope World――に行けるんだ。


 ただし、その石は1人につき1つまでしか持つことができないが、その1つの石が持つ力を使うことができる。


 だから、願いを叶えたい人は皆、石を持つ者を誘拐したんだ。


 そのうち、それを悪用する奴も現れた。


 そして、その行動に危機感を覚えた能力者は、3部族しかいない術者の手によって、その石を封印したんだ。


 俺はその部族の内の1つの子孫だ。


 ―――


 話を終えると、龍也は目を開けた。


 そして、続けて、


「今、その Hope World に行こうとする奴がいるんだ」


 と言う。


「……なるほどね。

 だから、昨日あたしはああなったんだ」


「そう言うこと」


「ちょっと、あたしだけ話が読めてないんだけど!!」


 龍也と綾乃の話に清美が割り込む。


「だいたい、なんでそれをあたしと綾乃に言うの?

 あたしたちに関係あるの?

 ていうか、綾乃がいう『ああなった』ってどういうこと?

 昨日、あたしと遊べなかったのと、関係あるの?

 あと、その Hope World に行こうとする奴がいるから何?」


 質問攻めの清美に戸惑う龍也。


 しばらくして、


「その答えは3つある。

 まず、1つ目と2つ目の答えは、

 水澤さん、君が水を操る力を持つ石を持っているからだ」


「もしかして……これのこと?」


 と言い、耳につけた雫の形をしたイヤリングを見せた。


「あぁ、それだよ。

 で、3つ目と4つ目の答えは……」


「あたし、昨日、誘拐されたの」


 綾乃が割り込んできた。


「ふーん。

 ……て、えぇーーー!?

 ゆっ、誘拐!?」


「……そんなに驚く?」


 驚き方に引く2人であった。


「5つ目の答えは、君たちの力を悪用するかもしれないからだ」


「ふーん」


 清美は納得し、会話が途切れた。


 ―――


 放課後、屋上で。


 清美と龍也がいた。


「そういえば、その力の使い方、わかるの?」


「あぁ。

 じゃあ、俺の言う通りにして」


 そう言われると、清美はうなずいた。


「じゃあ、まず目を閉じて。

 両手の親指だけを重ねて、両手を前に伸ばして。

 そこから水が出てくるのを創造してみて」


 清美は龍也の言う通りにした。


 そうしたら、


 プシュッッ


 と中途半端に蛇口から出てくる水のように出てきた。


 そこで、


「水鉄砲をイメージしよう」


 という、アドバイスが加わった。


 そうすると、


 プシュー


 と言う音が出てきたので、思わず目を開けた清美は、


「うわぁ!! てっ……、手から、水が出てる!!」


 と驚いた。


「どう?

 ……これが君の『力』だよ」


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