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第五十八話 リオンとアリシアの親はソフィアだけじゃない。ここにもいたということだ!

「がぁああっ……痛い…っ痛い…っ!!…?いっ…いったいどういう……ことなの……?」

突然の、先程まで戦意どころか立ち上がる気力さえなかったソフィアのありえない行動と言動にに唖然となるローズを鼻で笑うように懐から取り出したダブルコンテンダーを脇腹を抑えながら苦しみ悶えるローズに向けて間をおかずに発砲し、弾丸はリオンを拘束していた触手の大本となっていた部分に命中し触手の締め付けが緩んだ。

そしてリオンも、拘束が解かれた瞬間に氷の矢で再び捕えようと迫る触手を攻撃しながら触手の包囲網から抜け出し母のもとへ無事到達することができた。

「母さん!母さん!よかった…無事で……本当によかった…」

(あぁ…リオンの髪の毛モフモフで気持ちいぃ~)


と、若干ソフィアの顔がだらしなく崩れて色々と残念なことになっているが無事母子の再会を果たしたが、一人取り残されたローズにその光景はまさに愛するエンディミオンとソフィアが抱き合うような光景に思えて一気に怒りを加速させた。


ローズは憤怒の表情で初撃で放った風の鉄槌を二人に振り下ろそうとするが横目で注視していたソフィアは未だ母の胸の中で泣きじゃくるリオンを引っ掴んであっさり避けてしまった。


「おのれぇぇ!おのれぇぇ!!返せ!私のエンディミオン様を返せ!どうせ貴女といても不幸になるだけなのだからその子供を私に渡して貴女はごみの様に死ねばいいのよ!」

「…何勘違いしてやがる。エンディミオンを返せ?リオンを渡せ?馬鹿じゃねーの、この子は俺の息子のリオンだし今更こんなに可愛くて献身的で性格もいい女のソフィアちゃん捨てる様なヤリ○ン馬鹿男なんざ関係ねぇよ。それと貴女といても不幸になる、父親のいない日の目を見れない子供とかほざいたが……リオンとアリシアの親はソフィアだけじゃない。ここにもいたということだっ!」

―――デデドンッ!!


「……貴方…何当たり前のこと言っているの?」

「……ここにも何も母さんしかいないんだけど?」

ある意味気合の入ったアサギの世界の漫画の下着の名前の少年のセリフを言ったのだが当然いくらそれっぽい技があるとはいえ魔法100%のこの世界で元ネタが分かる者がいるはずもなかった。

「…………………ねぇ…リオン貴方元ネタ知っているでしょ?何で突っ込んでくれないのよ!?好きでしょトラゴンホール?」

「……トラゴンホール……それってもしかして虚空が超野菜人になった後の話?その後の話は『何か違うのよね~』とか言って母さんが勝手に中断したんじゃないか。しかもあれって結局その後ブリーザ様の軍団の業務体系の話とブリーザ様がいかに素晴らしいかの講義になったじゃないか。」

何を言うか!あれほど上司として素晴らしい方はいないじゃないか!だってどんなに位の低い部下にだって敬語を使ってくれるんだぞあの方は!是非リオンにはエンディミオンのような節操無しではなく、あのお方のような宇宙最強の帝王に―――

「や、あいつナメクジ星人を虐殺したり略奪したりクソソンを爆発させたりで極悪人じゃん……」


…唯一元ネタを知っているであろうリオンにも丁度某ナメクジ星前までのお話しかまだしていなかったためソフィアが望んだ「母さんは超野菜人か!」という突っ込みは不発に終わり、結局勝手に顔を赤くして身悶えし、自滅することとなった。


「……くっ…何さっきから訳の分からないこと言っているのよこの女!さっさとその汚らしい口を永遠に開けないようにしてやるわ!」

「…くくくく…よかろう、やってみろ。このソフィアに対して!」



ローズの言に嘲笑を浮かべて見下すように体を尊大に仰け反らせて挑発をする。


リオンもアリシアも最初こそエンディミオンを恐れて隠しながら育ててきたが今は二人とも学校にも通っているしべラストニア戦争の時も強くたくましく生き抜いた。それに二人は父親がいないことを最初こそ不安がっていたようだがいつしか父親なしでも寂しがることもなく立派に育ってくれて俺も誇りに思っている。


否!父親はヤリ○ンのエンディミオンにあらず、このアサギこそが二人の父親だ!



「どうでもいいからさっさと消えなさいよこの灰かぶり!」

「テメェこそその醜悪な蛇顔をとっとと視界から消せよ。何だその泥で作ったかのような化粧は?斬新的だな?減速リダクション時間クロック

暗黒の刃を飛ばしてくるローズに対してソフィアは周囲100メートルに減速空間を作り出すとリオンを抱えたまま後ろへ宙返りしながら避けて、通りの端にある樽にまで近づくとさっきまで戦意を完全喪失していた母の変わりように未だ状況についていけていないリオンをその後ろへ隠れさせて、再びローズの方へ突進するかの勢いで駆け出していく。


「お情けでエンディミオン様に付き合ってもらったのに勘違いをしている身の程知らずな下女!」

「ふん、ただの人間ごときがこのソフィアを下女だと?エンディミオンにお情けで付き合ってもらっていた?何を勘違いしているのだね、この私にとって…最強の力

時間制御を持つソフィアにとって貴様ら人間は皆等しくモンキーなんだよぉぉぉ!!」

ローズの放ってきた暗黒の刃を錬魔術で強化した拳でぶん殴って叩き落し、素早くダブルコンテンダーの空薬莢を排出して上着のコート内側に某筋肉ムキムキマッチョマンの変態が最終戦で大惨事大戦で装備していたような弾丸ベルトから弾を取り出し、素早く次弾装填をすると何の躊躇いもなくローズへぶっ放した。だが、ローズも初撃で銃の威力に油断して易々と攻撃を受けてしまったがその攻撃力と脅威を身をもって体験したため今度は強化させた暗黒の触手を盾に二発の鉛玉を防ぐ。

が、しかしその後ろから凶悪な表情で薄ら笑いを上げながら突っ込んでくるソフィアには全く予想外だったようで一瞬で懐に入ると驚きに目を見開いたローズの顔を

振り抜いた右手でまるで上からぶん殴ったハンバーガーの様にペシャンコに変形させて殴り抜け、さらにその腹部へローキックをかましてまるでピンポン玉のように

その体をバウンドさせた。


ちなみに、その姿を…ローズの顔を変形させるほど殴りつけたソフィアの闘いを見たリオンは『あれ?こういうのってアリシアが友達からよく聞くっていう

‶女同士のドロドロした闘い‶になるかと思って最初はそれっぽかったのに今じゃただの喧嘩みたい…』と場違いなことを考えていたが、テンションが異常に高くなって悪役っぽいセリフを言うようになった母は大概勝ってしまうのである意味安心もしていた。

……ただ、出来ればあんなに美しいのだから先程までのローズに怯えて泣いていた母の方が何だか女の子っぽくて可愛らしい雰囲気の方がいいんだけどなぁ…と思わなくもなかった。


「SOFIYYYYIIIII――――!!そんなボサボサの頭振り回して何なのテメェ?お化けなの?妖怪ボサボサボッサーなの?冥界に帰れよ」

「ごほっ!ごほっ…っ!!…こ、このぉぉ!!闇の刃よ!あの下女を切り裂きなさい!ダークウィンド・スラッシュ!」

「何だその読書しちまいそうな、なまっちょろい攻撃はーー!!」

ローズが再び放ってきた暗黒の刃をソフィアは妙な奇声を上げながら魔力を纏わせた拳で殴りつけて相殺し、何か思いついたかのような表情でニヤリと笑うと後ろへ

飛び退いて何故か月の位置を確認してからコートのナイフをジャラリと取り出して不敵な笑みで立つ。


「そういえば…君は知っているだろうか?この世界は、我々が立っているこの大地は実は球体でね。そしてその球体は回っているのだよ、常に同じ速さで同じ方向へ…日を…太陽という火の玉の周囲をね。だからこそ昼と夜が存在する」

「なにを…何言っているのよ?この世界は平坦な大地で世界の果てでは永遠の闇に繋がる奈落の滝があって、太陽神と月神がそれぞれ昼と夜を支配しているから昼と夜があるんじゃない!やっぱり貴女は邪教徒だったのね!?エンディミオン様を誑かす悪魔の使い―――」

星の自転と公転。これについては僕とアリシアも聞いていて、でも教会の教えとは違うから一回質問したら灯りを使っての実演及び日食、月食について聞いて理解したから知っているけど、『世間様では認められない考え方だから口外するのはやめなさい』といわれて今まで黙っていた。…でもその話をいましたっていうことは………あれをやる気なのだろうか?

リオンはただ樽の上で座って偶々持ってきていた宿題をやりながらその闘いを現代のテレビを見ながら宿題をする子供の様に遠い目をしながら眺める。…要するにアサギに変わったことで色々と台無しになって緊張の糸が切れてしまったのだ。ぶっちゃけ早く終わってアリシアを探したいというのが本音だった。


「ふん……所詮は中世の科学知識しかない遅れた人間…いや、このソフィアの足元にも及ばない古い人間か。まぁよい、最近時間制御について面白いことが分かってね。時間制御は訓練すれば特定のモノの動きだけを選択して減速させることも可能なのだよ。そこで…」

既に戦闘から宿題へ意識が移ってしまっている息子のことなど知らずにソフィアは思わせぶりな表情でナイフをローズへ投げつけた。


「無駄よ!貴女の気持ち悪い時間の魔法で加速させてすらいないただのナイフなんてこの闇の力で防ぐまでもないわ!」

しかもローズとソフィアとの距離は10m以上あり、ナイフも放物線を描いて飛んでくるため予め投げることが分かるナイフなど横に移動して避けることは簡単であった。現にソフィアの放ったナイフはローズの横を虚しく飛んで行きそのまま地面に力尽きようとしている。それを見てローズはソフィアを小ばかにしたような表情をしたが逆にソフィアのその表情は罠にかかった愚か者を見るかのように不気味に、そして凶悪に嘲笑している。


「チェックメイト。減速アクセル公転ドラップ

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