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第十五話  ベラストニアの闘い 1

聖テオゴニア暦87年 風の国、べラストニア地方にて戦争が勃発。

敵は隣国"白の国"。


白の国の兵3万に対し風の国の兵数は2万。およそ1万もの戦力差は大きく風の国は

苦戦を強いられていた。


だが、兵力では明らかに劣る風の国だったが戦線は後退することなく戦争の

勃発から1年が経過した現在もなお戦争開始時からほとんど動いていなかった。


戦線が後退しないおかげかベラストニア地方の村や街は安全圏となっており

まだ活気があり、戦争物品や兵糧を素早く大量に入手することが出来るのも

兵力で劣る風の国が戦線を均衡で維持できる理由の一因となっていた。


そんな戦場の平原にある一団が馬を疾風のように乗りこなし駆け抜ける。


軍団の一番先頭の目つきの鋭い男を筆頭に戦場の一般兵や傭兵とは明らかに

違う高貴な気品の漂う騎士達が続く。


彼らが向かう先には白い旗を掲げるおよそ数千の兵。

平原に常駐していた白の国の兵士達。



その距離は既に1キロにまで縮まっているにもかかわらず白の国の兵達は

誰一人気づいていない。


これを見ただけで白の国の兵の錬度の低さが分かるようなものだった。



「全軍突撃!!

我ら王女陛下の忠実なる騎士"ウィンド・ナイト・ロード"に勝利を!」

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」


戦闘の騎士団長の雄叫びと共に騎士達は奮起し剣を構え前方の敵へ向ける。




「な、なんだなんだ!?」

「敵軍の奇襲か!?」

ようやく騎士団の存在に白の国の一部の兵は気づいたが未だ戦闘の準備すら

出来ていない状態だった。


それもそのはず、白の国の兵のほとんどはならず者や傭兵がほとんどで正規の兵は

この常駐所にいない始末であった。


「「風よ、我らを遮る全てのものを切り裂け」」

一字一句の乱れもない完璧な一斉詠唱によって騎士達の剣から轟音と共に風の刃が

放たれ一直線に白の国の兵へと向かっていく。



「う、ウィンド・ナイト・ロードだぁぁぁぁ!!」

「嵐の騎士団か!?全軍後退ぃぃぃ!!」

「な、なんで風の国のトップクラスの兵団がこんな最前線にぃぃぃ!?」

「ぎゃぁぁぁ!!腕がぁ!俺の腕がぁぁ!!」


前方に迫る風の国のシンボルが着けられた甲冑を身にまとう騎士団とそれから

放たれた風の刃を見た兵達は恐慌し、目を白黒させパニックに陥ってしまった。


その後、皆我先にと逃げ出し白の国の兵団は完全に統率を失ってしまった。


背を向け逃走する白の国の兵に風の刃は次々と襲い掛かり敵兵の腕を、足を、首を、

胴を切り裂き、第二激目の豪風によって敵兵ごと巻き上げられ吹き飛ばされる。

その様はさながら嵐。


風に歯向かう全てのものは無惨にもバラバラにされ空に放り出される。

まさに"嵐の騎士団"のその名そのものの光景がそこには繰り広げられていた。





「団長、敵兵全員の殲滅が完了しました。」

「うむ、こちらの被害は?」

「馬が2頭やられましたが兵に損傷はありません。」


団長が騎士の話を聞きながら目を向けると足に深々と矢が刺さった馬が2頭足を

引きずってなお、戦場に向かうかのごとく歩き出そうとしている。


「小隊長、言葉が間違っているぞ。"兵士2名が負傷"だ。

早々にこの2名の勇敢なる我が騎士達を女王陛下の下まで送り届けよ。」

「はっ!了解しました。」


小隊長は騎士団に入隊して日が浅いのであまり知らないのだがこの

ウィンド・ナイト・ロードは戦馬も錬度が高くその様はまさに一人の騎士のようで

ある様から馬に対しても騎士団員の一人として扱うようになっている。


負傷した馬を連れ王都へと向かう小隊長を見送り今度は敵兵の死体の山が築かれた

戦場を見ながらウィンド・ナイト・ロード騎士団長、プロトゴノスは物思いに耽る。



―――――それにしても、白の国。


かの国は何年も前から内部で汚職が横行し民には重税を課し腐敗が進んでいたと

聞く。

そして8年前のアンドラダイト公爵家の反乱と同時に各地で内乱が勃発及び過激化。

それによって大陸一を誇っていた白の国の国土は内乱前の3分の1にまでなって

しまった。


普通であればこの状況で近隣諸国と同盟を結ぶ、もしくは内乱に乗じて

攻め込まれぬよう不可侵条約を持ちかけるはずなのだが、あろうことか白の国は

宣戦布告もなしに風の国に攻め込んできた。


自国の内乱すら解決していないのに、だ。


あそこの王の考えがまるで分からない。

何か勝算でもあれば別だが内乱軍どころか風の国まで敵に回したこの状況は

どう見てもただの無謀な馬鹿としか思えなかった。



それに対して内乱を起こしている反乱軍

――――いや、"銀の国"は我が国に同盟を申し込んできた。


我が国はそれに了承し現在では風の国と銀の国で白の国への挟撃作戦を実行して

おり白の国は全く身動きが取れない状態となった。

おかげでこの地方の少し離れた村や街はまだ活気がありこうして兵糧や物品に

困らず戦場へ行けるのだからありがたいものだ。


私は騎士団長という立場から一度銀の国の王、エンディミオン殿と御会いした

ことがあるが彼はなかなかの好青年で出来た人物であった。


我が敬愛する女王陛下との同盟会談での第一声が

『元とはいえ我が国の者たちが貴国に対して行った非道、無礼に対し謝罪

申し上げる。そして我が国に対しこうして会談の場を開いて下さり大変感謝する』

と頭を下げた時にはその場にいた全員が口を開けて唖然としていた。


今までの歴史で反乱軍との同盟というのは相手方の統率者はならず者のような

者が多く、大抵要求をいうだけでこちらの見返りを全く考えない無理難題や

ただ兵糧を、武器を寄越せとまるでこちらを属国か何かのように述べそのまま

帰ることが多かったが開口一番が謝罪というのは今までの歴史上でも

エンディミオン殿が始めてであった。


まぁ彼は元々貴族、それも公爵家なのでその辺は分かっていて当然か…。



会談は順調に進み

"各国の方面の敵を迎撃する"

"風の国は銀の国に物品武具を与えるかわりに食料を一定数納める"

…等々というもので決着がつき、本格的な同盟へと乗り出した。


だが、同盟内容の"食料を一定数納める"というものに内乱中なのにこちらに回す

食料があるのかと枢機卿が問うた所、なんでも銀の国では新しい農業方法を

行い作物も早いスピードで品質のよいものが取れることから爆発的に食料が

確保でき、こちらに回す分にはなんとかあるとのことだった。


それに興味を持った陛下は新農業方法を教えれば収める食料を減らすという

条件を出しエンディミオン殿に聞き出そうとするとその条件を飲み我々は

新農業方法を知ることができた。


試しに会談から少したってそれを試してみると確かに例年に比べ農作物の

成長速度や採れる量も上がり肝を抜かされた気分だった。



他にもかの王は我が国に対して

"教会での全ての子供の基礎教育"、"子供の無償食事提供"などといった様々な

提案や助言を述べた。


我が国はそれに対しすぐさま実行、するとかの王が述べたとおり平民の中でも

飛び抜けで優秀な人材が見つかる見つかる…。



後に女王陛下がエンディミオン殿に『これを考案したのは貴殿なのですか?』と

問うと『これらを考え出したのは…私の妻です……』と目を悲しみに染めた

ような表情で顔を伏せながら答えた。


確かエンディミオン殿が反乱を起こしたきっかけは恋人を白の国国王に狙われ、

それから逃げ出したことで王や多数のものから追われることになり最終的には

エンディミオン殿の手が後一歩というところで王宮側にお腹に宿した子と共に

殺されたのがこの反乱の引き金だったはず。


―――まったくあの白の国の王は何を考えているのか…。

仮にも自国の公爵の妻と子を殺害し民衆には重税を課し、関係のない内乱に手を出す

気がなかった我が国に手を出して。


あの国の王は魔王か何かじゃないのだろうか?





「団長!大変です!!」

しばらく物思いに耽っていたが騎士の呼び声と共に戦場の思考へと切り替える。


「どうした中隊長。」

中隊長は非常に緊迫した顔で団長に報告を伝えようとしたが如何せん彼自身が状況を

よく飲み込めていない、そんな感じがした。


「何というか…説明が難しいので要点のみ伝えますが、

上空に黒いドラゴンが突如現れました!!」



「な……に…?」

書き方を当初やっていた一度ペンを持ってレポート用紙に書いてから

PCで打つ…やり方に変えたら結構調子良く書けました。

しばらくこれでやってみようと思います。…時間かかるけど。

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