第十二話 荒らしの夜
―――――sideアリシア
これは夢なのかなぁ・・・?
「お・・・おがぁ・・ざ・・?」
だって悲しくて悔しくて寂しくてお腹空いて何もかもが嫌で・・・
「あかぁさ・・・・・」
そんな時にお母さんが現れてくれるなんて・・・・夢なのかな?
「おがぁざぁぁぁん!!」
「かぁざぁぁぁぁん!!」
私とお兄ちゃんは同時に教会の扉から現れたお母さんに抱きつく。
・・・・夢じゃない!優しい香り、暖かいお母さんの体、夢じゃないんだ・・・!!
「あらあらこの子達は。寂しくなかった二人とも?もう大丈夫よお母さんがいるから」
やさしく降り注いだお母さんの声にようやく夢じゃないと分かって私も、
お兄ちゃんもひたすらお母さんに泣きじゃくった・・。
「それにしても二人ともやたらやつれてるわね・・。
何か・・あったんでしょ?」
ぐぅぅぅぅ~~~~~
「・・・ふふ、とりあえずご飯食べましょ。
さっきから二人ともお腹の虫がなってるわよ?」
確かにお母さんが現れるまで鳴りすぎてもう鳴らなくなったお腹の虫が
ふたたび鳴り出してぐぅぐぅ鳴ってる。
お母さんは後ろに持った大きな鞄から黒光りしているなにか丸っぽい重そうな
ものを取り出した。・・確かあれって家にある暖かくなる器・・だっけ?
「か、母さんそんな大きなもの持ってここまできたの?というかこの暴風の中
どうやって教会まで来たの?川は!?決壊してるって・・・」
「ああ、あれね。いやぁあまりの強風に心配になって教会まで迎えに行こうと
思ったらいきなり渡ってる橋が壊れだして大変だったわ~。
まさか生きているうちに橋が壊れながらダッシュで渡りきるをやるとは思わなかったわ」
・・・笑いながら言ってるけどそれってとっても危険な事だよね?
「・・・あれ誰?」
「リオン君とアリシアちゃんのお母さんじゃない?ほらアリシアちゃんそっくり」
「・・・綺麗なお母さん」
今まではしゃいでいた子や話し合ってた子達がみんなお母さんを見て
ヒソヒソと話し合ってる。
「なんだありゃ!?すげぇベッピンの娘じゃねぇか!?」
「おぅ・・あの尻と胸・・最高だぜ・・げへへへへ」
ビスケットを奪ったおじさん達がお母さんを君の悪い目で見ていたけど
あまり見たくない。というかそんな眼でお母さんを見るな!
お母さんは黒い丸の物体に焦げた木の破片を入れて火を付けると木の破片が
うっすらと赤くなって次第に周りが暖かくなってきた。
次に物体に鉄の網を乗せてその上に器を置いてしばらくするとアマ~イ臭いが
周囲に漂う。
「室内で火鉢やるとあまりよくないんだけど暖炉があるくらいだし
あまり変わらないでしょ。
ポタージュスープが出来るまでとりあえずこの干し肉とパン食べちゃいなさい。」
鞄の中から大きな干し肉7つとパン5つを取り出して私達に渡して微笑むお母さん。
「あ・・あ・あ・・は、はむっ!はむっ!はむっ!」
「あむっもぐっもぐっもぐっ・・!」
夕食を取れなくてお腹が空いていた私達はたまらず干し肉とパンにかじりついて
頬をリスのように膨らませながらもぐもぐ食べすすめる。
「ふふ。よっぽどお腹が空いていたのね。ほら遠慮せずに干し肉も食べなさい」
必死にパンを食べる私とお兄ちゃんの頭をやさしく撫でて"ヒバチ"で温まったポ
タージュスープを木のお皿にトクトク注ぐお母さん。
そんなようやく安心できる一家団欒に一つの小さな影といくつか大きな影が迫ってきた。
「おい!お前リオンとアリシアの母親だな!?オレはあいつらにオレの分の
パンとスープを取られたんだ!だからそれをよこせよ!!」
私が次の干し肉を食べようと手を伸ばすとイグルがご飯を寄越せと
叫びながらやってきた。
さっき私達の分のスープとパンを食べたのにまだ食べるの?
それにお母さんが用意してくれたものまで奪おうというの?
「そうだ!俺たちもそのガキにやたら硬い焼き菓子を取られたんだ!
親としてその責任は取ってもらわねぇとなぁ!」
イグルに続いておじさん達がお母さんに気持ち悪い目つきでにじり寄ってくる・・・。
この人たちはお兄ちゃんからビスケットを奪ったのになんでお母さんが責任を
取らなくちゃいけないの?
こんなの絶対におかしい・・。おかしいよぉ・・。
「だからさっさとその干し肉とパンを全部よこs
「そうだな、俺たちと今晩遊ぶってことでチャラn
「――――黙れ。ぶち殺すぞ・・・」
お母さんの、今まで聞いたこともないような冷たい声で場が完全に凍りつく。
しかもお母さんの毎日見せるやわらかい優しい顔が、氷のように冷たいまるで
汚物やゴミでも見るかのような顔になって、あまりの怖さに私とお兄ちゃん
ですら震えて動けなかった。
あれだけふてぶてしい顔をしていたイグルはお母さんの冷たい声を聞いたら
赤い顔を青くさせて少し震えだした。
…普段のイグルからじゃ想像も出来ない怯えた顔になってる・・。
そして、いやらしく笑ってお母さんににじり寄ってたおじさん達はお母さんの
急な変貌に目を点にして固まって動かない。
「なんなのですか騒々しい!いったい何が…アサギ……さ・・ん?何なのですか
その干し肉は!?他の子供達がいる前で自分の子だけにご飯をあげるのは
やめなさい!不平等です!!」
騒ぎに気づいてやってきた先生はイグルとおじさん達とお母さんの間に割って入って
さっき私達を叱った時以上に厳しい顔つきでお母さんに問い詰めたけど
「シスターさん。貴方も少し黙って貰えますか?」
一見やさしそうだけど声が明らかに冷たいお母さんの声で先生は口を開けたまま
一言も発さなくなっちゃった・・・。
お母さんは一見可愛らしく首を傾げにっこり笑っていたけど目がまるで笑って
なくてむしろさっきの『黙れ』より怖いよぉ・・。
「まず、ブタガキ。「な、!?オレ様はいぐr」飯とられたっつってんなら
なんでそんなに大きな声を上げる気力がある?お前さっきからやたら飛び跳ね
回ってたよな?お腹空いている割には元気なこと。
あと歯に挟まってるパンくずを何とかしてから出直して来い。」
お母さんに冷たくいわれたイグルは急いで口に手を入れてパンくずを処理するが
もう既に先生を含めみんなに見られた後だった。
「な・・・なんてこと・・・!イグル、貴方は私を騙しあまつさえ被害者であるリオn」
「シスター。私は黙れと言ったはずですが?」にこり。
お母さんの冷たい微笑みと共に自分を騙したイグルにカンカンになった先生は
一瞬で顔を赤から青に変えて押し黙って、イグルはあまりにも冷たいお母さんの
声に半泣きになってさっきから「すん・・・すん・・っ」と泣きだしてうつむいてる。
「そしてそこのオヤジ達。」
急に話を振られたおじさん達がお母さんの声にビクッとなって先程のお母さんを
舐めるように見ていた目は何処へ行ったのか、お母さんの冷たい迫力に押されて
腰が引けてる。
「お前らも同じだ。口の下に俺の作ったビスケットのクズが付いてるぞ。
だらしねぇ。しかもそこのお前のポケットに俺が買ってリオンに渡した布袋が
あるのはどういうことだ?あぁ?」
おじさん達の口元を見るとビスケットの欠片が確かに付いていた。
「こ・・この布袋がガキのものって証拠が何処にあるんだよ!?これはオイラが
市で買ったものだってのに!!あまりでたらめ抜かしてるとぶん殴るぞこのアマ!!」
お母さんにいい詰められたおじさんは急に怒り出してお母さんの胸倉を掴んで怒声を浴びせた。
私は怒声をあびせるおじさんが怖くてその場にしゃがみ込んで耳を押さえて
うずくまってしまった。
――――でも・・
「おらぁ!このあm・――ボグッ――・ぐぼっ!!」
「汚い顔近づけんな。ショタと美幼女、美少女の顔面至近はいいが酒臭い
おっさんは趣味じゃねぇんだよ。それとなんだっけか?『市で買ったもの』だっけ?
じゃぁなんでその袋に"リオン"て刺繍が入れてあるか30文字以内で説明しろこら」
胸倉を掴んでいたおじさんを蹴り飛ばしてすれ違いざまにポケットからお母さんが
ひったくったお兄ちゃんのビスケット袋には大きく『リオンは私の嫁』と刺繍がしてある。
それを見たおじさんたちは「ぐぬぬ・・」といって何も言えないで悔しそうな顔をしている。
どうでもいいけどお兄ちゃんとお母さんが結婚したらお嫁さんになるのは
お母さんの方じゃないのかなぁ・・?
「さ、て。お前らさっき責任って言ったな?食べ物の恨みは何とやらというし
あのデブみたいに教会支給のパンならともかくリオン個人の食べ物を奪い取ったの
だからその責任取ろうか?俺がいた場所じゃぁ責任の取り方は一人指2本を代償として
責任を取るっていうのがあったなぁ・・。そういえば」
「に・・・にげろぉぉぉぉぉ!!こ、殺される!!」
「この女人間じゃねぇ!!悪魔の化身だーー!!」
冷たく笑いながらお母さんが腰から大きなナイフを取り出し玩びながら今度は
おじさん達ににじり寄るとおじさん達は一様に顔を青く染めて悲鳴を上げながら
我先に教会から逃げ出していった。
「そして、シスター。」
「は、ハィィィ!!?」
お母さんの冷たい呼びかけにシスターは声が裏返ってる・・・。
「自分の子供が明らかにお腹を空かしている。しかも他の子達まで空かしているなら
まだしも、リオンとアリシアだけが明らかにぐったりしてお腹が鳴っているそんな中、
子供の親なら当然食べ物をあげると思いますけどね。
直接見てない私にはこのブタが何を指して盗ったといってるのか分かりませんが大方
リオンとアリシアの話も聞かず、こいつらの言い分だけ聞いて二人を叱ったのでしょう。
何故神聖術とやらの嘘を見破るあれを使わなかったんですか?」
「い・・いや、あれはよっぽどの事がない限り使わn」
「では私の名前を聞くのはよっぽどだったんですね?」
「も・・・申しわけありませんでした・・・!!」
お母さんに睨まれるや否や先生は直ぐに謝って結局神聖術を使って事件の真偽を
調べると速攻でイグルが嘘を付いたのがバレてイグルと先生に嘘をついた子は倉庫に
締め出しを喰らって一晩中先生の監視を受ける事になった・・・。
「ふぅ・・お腹一杯~♪」
「お母さん、ありがとー」
空腹から脱した私達はお母さんに抱きつきながら"ヒバチ"で暖を取っている。
他の子も最初はあの冷たい声の影響で震えていたけどいつの間にかお母さんに
慣れて一緒にヒバチで暖まってしきりの話をかけてきた。
「それにしてもリオンのかーさんさっきはかっこよかったよなぁ!」
「わ、私は少し怖かったけど・・。でもアリシアはいいなぁ~こんな綺麗な
人がお母さんだなんて」
「え、えへへへ・・」
「ねぇ!リオンのお母さん、何か面白いお話してよ!」
「お話かぁ・・。どんなのがいいかしら?」
「う~~ん・・。かっこいいの!!」
「かっこいいの、ね。それじゃぁこんな話はどうかしら。200β年~~」
―――――side浮浪人
くそ!あの銀髪女のせいで教会にいられなくなっちまったじゃねぇか!!
なんだよ指2本って、小娘が生意気いいやがって!・・・・それにしてはまるで
それを体験したかのような据わった眼をしていたが・・・いやいやっ!
あんなどこぞの貴族のお嬢様みたいな女がそんな狂気の沙汰をやるわけがねぇ!
あ゛ぁ~~~!!それにしてもこのままじゃ気がすまない。
なんとかあの女を拉致でもしてさっきの分も含めて思う存分犯してやらないと
気がすまない!!
こうなったらあの女やガキ共が寝静まった後こっそり教会に入ってあの女を
縛り付けて女のガキ2匹を殴りながら犯してやぜ!今に見てろ!!
とにかくあの女はまだ寝付いていないみたいだな。教会に明かりが灯ってるし。
それにしても外は寒いっ・・・!
くそ!それもこれも全部あの女のせいだ・・。
明かりが消えて寝付いたら覚えてろよ。くけけけけけけ・・・・。
全然教会から明かりが消えないんだが・・・もしかして明かりを灯したまま
寝てやがるのか!?
丁度窓がいい位置にあるから覗いてみると起きている銀髪のあの女が見えた。
どうやらガキどもになにか話してるらしい。
いったい何の話をしてやがる!さっさと寝ろよ!!
・・・どれ・・・?
『「・・・殺してやる・・。」「何ぃぃ?」「殺してやる」
「おいおい、マジかぁ?」「貴様らまとめて殺してやる」
「ふん、貴様ごときクズがこの俺に立ち向うだと!?はん!笑わせる!!」
リュウオウは馬鹿にした表情でリックを見るがその一瞬の隙をついてリュウオウの
懐に入り込み「心臓爆散波!!」手でリュウオウを貫き心臓を握りつぶしたリック!
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!ぎ、ぎざま゛ぁぁぁぁぁーーー!!
ごのげどぉーーー!!」
飛散するリュウオウの臓物の肉片と吹き上がる血と共に断末魔を上げるリュウオウ!!
だが、リックの攻撃はまだ終わっていなかったのだ!!
「くくくく・・。油断するからそうなるんだよカスが!!おらおらおらおらおら!」
断末魔を上げるリュウオウに手に仕込んだ何十本ものナイフを次々に突き刺すリックぅ!!
「どうしたぁ!?あ゛ぁ!?」動かなくなった
リュウオウの顔を笑いながら蹴りつぶすリック。・・・だが!!』
・・・・・あれ?最初はてっきり子供に聞かせるもんだからもっと御伽噺っぽい
やさしい物語と思ってたんだけど明らかに『殺す』だの『クズ』だの暴力的な、
さらには殺人的な描写まで出てきてるのはオイラの気のせいだろうか?
『~~~ということで、宇宙の帝王シュウインを倒したレッドは最後に人間を
滅ぼしましたとさ。めでたしめでたし」
明らかにめでたしじゃねぇじゃねえか!!なんなんだよこいつ!
人間滅ぼしてめでたしの話を子供にするとかどうかしてるだろ!?
絶対ガキ泣き喚いているだろ!!
『すっげ~~!レッドかっこいい!!』
『「人間がいるから世界は汚くなる!」このセリフいいよね!』
『・・・母さん・・。もっと柔らかいお話にしようよ・・。』
おい、最後以外ガキにうけてやがるぞ!?というか最後の唯一反論した奴あの女のガキかよ!
『ね~アリシアちゃんのおかぁさん、次は恋のおはなしして~』
しばらくあのバイオレンスな話で盛り上がってたがガキの一人が恋愛の話を
聞かせるようにいってきた。
ふう、恋愛の話ならまともな話のはずだ。どうせ何処かの姫様と王子が魔王を
やっつけて結ばれましためでたしめでたし~、だろ?
そらさっさと話して眠くなって寝てしまえ!
そう思ってた時期がオイラにもありました・・・。
『「この浮気もの!あの女とは別れたって言ったじゃない!!もういいわ
・・・貴方を殺して私も死ぬ!!」
「落ち着いてくれ美代子・・!違うんだ・・・誤解なんだ!」
包丁を持つ美代子を宥めようとする幸一、しかし美代子の包丁は一閃と共に幸一の
心臓へと深く突き刺さりました。
「あはははははははははははははははははは!!これで永遠に一緒よ!幸一!!」
そして美代子は幸一の首を包丁で切り取りバックに詰め込んで~』
『わぁ~~!ミヨコかっこいい~~!!』
どこがかっこいいんだ!?どこが!!?明らかに怖いだろそんな女!!
なんか・・この女と関わると碌なことが起きない気がする・・。
・・・くそ!もう空が白んできやがった…!!今日のところは出直すか・・。
だが、いつか覚えてろよクソアマ!!
―――――side アリシア
まぶしい光に眼を覚ますと違和感だらけ。いつも朝に包まってるはずのフワフワの
羽毛布団が無くなっている。木のすっきりした香りのする私とお兄ちゃんのお部屋が
何故か木と石でできた机と椅子、前にはおじいさんの銅像の部屋に変わってる・・?
―――――そっか・・。昨日は教会に泊まることになって・・・それで・・・?
そうだ!お母さんが来てくれて・・・来て・・。
「・・・お母さん・・?」
でも、どこにもお母さんがいない。
教会を一周見渡してもお母さんの姿が見当たらない。
「おかぁさん・・?・・・昨日の・・・お母さんは・・・夢・・だったの?」
昨日、ご飯をとられてイグルに騙された先生に叱られてビスケットをおじさんに
取られたけど突然やってきたお母さんがご飯をくれて・・イグルや・おじさん
・・・に・・怒って・・くれた・・のは・・・。
・・・・夢、だったのかな?
現実のお母さんは私達の前に現れなくて昨日の暴風で・・・・・いやだ・・・・
「おかあさん・・・どこ・・?どこにいるの・・・?ねぇ・・・返事してよ・・・」
やっぱりあれは夢で・・お母さんに会えなくて・・・。
そう思うと胸が苦しくなって涙が溢れて視界が滲む・・。
「・・う・・うう・・お・・おかぁさ・・
「あら、アリシアおはよう。どうしたの泣き出しちゃったりして?」
教会の扉が突然開いて柔らかな、昨日の冷たさなんかどこにも感じさせない、
いつもの朝の声が教会に響き渡った。
振り返ると・・・朝日に反射して輝く銀色の髪。
その銀色を見ると私と同じ髪の色なのに恋しくて恋しくて、気が付いたら銀色の
髪の先、お母さんに抱きついていた。
「っ・・?どうしたのアリシア、突然抱きついたりして?もしかして私が来たのは
夢だとでも思った?」
そうだ、お母さんは私が寂しいと思った時にはすぐに駆けつけて側にいてくれる。
「たとえアリシアが魔王城に連れて行かれてもお母さんは必ず駆けつけて魔王を
ボコボコにリンチして連れ戻すわ」
ここが私の唯一の帰る場所・・。
だから、私もいっぱいの笑顔で「私も!お母さんとずっと一緒だよ!!」
教会の朝日に照らされる銀の親子の抱き合う姿はとても神秘的なものに見えて
その場を起きて見ていた子供達はしばらく一言も発せずただそれを見続けていた。
「それと、仮に家が嫌になって家出しても地の果てまで追いかけて連れ戻すから
その辺よろしく~」
―――帰る場所・・というより檻・・だよね?お母さんって。




