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馬車+戦闘=冒険?


いつのまにか、お気に入り数が100人を超してました!

皆様、ありがとうございます。




微妙な宿ともお別れして、目指すは王都です。



「ロベルトさん? どうやって王都まで向かうのですか?」


「辻馬車を使う。今から乗れば、夜には着く」



おお。

馬車ですか。

乗ってみたいと思ってました。

楽しみです!





***************




そして現在辻馬車内です。


なんだか本格的にファンタジーさを感じます。

冒険には馬車が付き物ですよね~。

……まぁ冒険などの危ないことはしませんけど。


馬車には結構多くの人が乗っています。

利用者数が多いのは、たぶん馬車というのは庶民の通行手段の代名詞なのでしょう。

庶民代表として、これからもお世話になります!


私は、中がちょっとぎゅうぎゅうなので、できるかぎりロベルトさんにくっついて周りの人と当らないようにしております。

そしてロベルトさんは私がくっついた時から微動だにしません。

何も言わないから、気にしてないのかと思っていましたが、岩のように固まって少しも動かないので、少しは意識しているようです。

申し訳ありません。ですがそんな反応されると、ますますからかいたくなってしまいますよ?

今は可哀そうなのでしませんけど。







ふんふんふ~ん♪

少し揺れていますが、野宿用毛布を畳んで簡易座布団をロベルトさんが作ってくれたのであまり痛さを感じません。

快適、快適。


そして斜め前の、若い女性二人組がロベルトさんをチラチラ見て、ついでに私に羨ましそうな眼差しを向けてきます。

ロベルトさん、やることなすこと素敵ですし、格好いいですもんね?

わかります。


ですが、お嬢さんがた。

今は私がロベルトさんを独占しているのです!

羨ましいでしょうが、譲りません。


腕をからませて、お嬢さんがたには牽制しておきましょう。

別に恋人でもなんでもないのですが、ちょっとジェラシーを感じたので。


ふむ、なるほど……

これが噂の独占欲ってやつなんですね?





それにしても、モテる男も大変ですね。

どこでも注目されて、なかなか落ち着けないでしょう。

まったく気にしていないところを見ると、普段からこんな感じなんでしょうね。

ッチ!


まぁですが私もちょっとだけ優越感を浸れましたので、ありがとうございます。

素敵な男性の隣で羨ましがられるのなんて、日本ではまずありませんでしたから。


いい体験ができました。











「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!」


!?

な、なんですか、急に! 悲鳴!?


「なんだ、どうした!」


「おい! 外を見てみろ! 大型獣が何体もいるぞ!?」


きゃぁぁぁぁ!

わああぁぁぁ!



なんだか馬車内が大混乱に陥ってます!

ど、どうしましょう!




「鎮まれ!!」


ピタッ!

しーーーーーん……



え!?

ロベルトさん、急にどうしたんですか!?

あなたそんなキャラでしたか?


鎮まりましたけど、鎮まりましたけどこれをどうするんです……?




「落ち着け。護衛が大型獣に応戦している。皆に被害はでない」


おおぉ。

立派です、ロベルトさん!

この混乱を鎮めるなんて、何者ですか?

慣れてるんですか?


「だ、だが大型が何体もいるのだぞ!? 護衛だけでしのぎ切れなかったらどうする? 今のうちに引き返して援軍を頼むべきでは!?」


おっと、中年のおじさんの意見に周り数人がうなずく。


「待て! そうしたら戦っている護衛の人が置き去りになる。見殺しになるんじゃないか? 一か八か護衛も隙を見て馬車に乗って全速力で戻ったほうがいいんじゃないか?」


さらに青年が切り返す。


……命の危険が迫っていますが、何だか会議みたいなことになってません?

さぁ、どうするロベルトさん!




「私も出る」


はい、だと思いましたーーー!

ロベルトさんが強いのは何となくわかりますけど、こっちは心配です!

大けがをしたらどうするんですか!?


「ロ、ロベルトさん……」


「心配するな。これでも第二騎士団に所属する身。市民を守らずして、何を守る」


そうです、あなたはキングオブいい人でしたね……

こんなのを黙って見ているはずがありません。


わかりました!

私は信じて待っていればいいんですね。

ロベルトさんは主人公です。負けるはずがありません!

そして今回私はヒロイン!

信じて帰りを待つ役です。

そう思って見守ることにします!


「わかりました。くれぐれもお気をつけて。ある程度したら、逃げるのも勇気ですからね?」


「ああ」


見つめあう二人。

なんだかラブロマンスの予感です。

ってそんなこと考えている時ではありませんでした!


「おぉ、第二騎士団の方ですか? なら安心だ! お願いします」


「任せろ」



そうして、ロベルトさんは自らの剣を持って馬車の外へと躍り出る。


皆の期待を背負って、さぁ行け! ロベルト!!


悪が滅びる日も近い!





って感じのテロップが後ろに見えます!

なんだか打ち切り最終回みたいなので、やめてください!



「素敵な人ね~? あなたの恋人?」


隣のご夫婦の奥様が話しかけてくれました。


えぇ、とっても素敵な方でしょう?

なんだか自分を褒められるより気分がいいです。

ですが残念。恋人ではありません。


「いいえ、残念ながら恋人ではないんです」



ちょっと、さっきのお嬢さん!

しめたっ! って顔をするんじゃありません!


「そうなの? とても仲がよさそうだと思ったのだけど? まぁあなたの方がだいぶ年下みたいだしね。なら、兄妹……にしては似てないし」


「私は15歳(のような20歳)です! ロベルトさんには、少しわけありでお世話になっているんです。とても強い人なので、安心していていいですよ」


確信をもって言えませんが、多分強い。きっと強い。

……だってオオカミ?を倒してくれたのだって、目をつぶって見てませんでしたから!

でもこういう時は、みんなを不安にさせないよう、自信満々に伝えるのが吉です。


「あら、15なの? ごめんね? それにしても、お互い信じているのね? なら私も信じさせてもらうわ」


「えぇ、どんと大船に乗ったつもりでいてください!」


二人でニコニコしあいました。

その雰囲気に安心したのか、周りも肩の力を抜いています。


大丈夫、大丈夫!

他力本願ですが、ロベルトさんが何とかしてくれますよ!












外から喧噪が聞こえなくなって少ししたら、ロベルトさんは帰ってきました。


「終わった」


「あ、お疲れ様です。怪我はないですか?」


「ない。……御者、進めてくれ」


「は、はい! ありがとうございます。それではみなさん、進みますから、元の位置に座ってください」


馬車内は歓声をあげていたが、ロベルトさんは気にせず御者さんに掛け合いました。

口々に護衛の人とロベルトさんにお礼と賛辞を述べるのですが、ロベルトさんは我関せずで元の位置に戻ってきました。


う~ん、口下手なのも考え物ですね。

愛想がありません。愛想が。

今度日本人の特技、愛想笑いを伝授しましょう。


でもこの無口っぷりが、クールで格好いいということになるんでしょうね?

護衛の人より人気を取るとは……

護衛の人、可哀そうに。




こうして馬車は、また元のように走りだしました。






***************






周りが暗くなり、馬車前頭に付けたカンテラが目立つようになってきたころ、目的地の首都へと到着しました。

ふむ、少し時間をくってしまったから、予定より遅いですね。





あれ?

城門……でいいんですよね?の前に少し人だかりができています。

なんだか同じ鎧を着た人が多いんですが?


「我々の到着が遅いので、何かあったと思い、第二騎士団が出るところだったのだろう」


おお、ロベルトさんが私の疑問に答えてくれました。

あの鎧軍団は、第二騎士団の方たちだったんですね。

そりゃ同じ鎧になります。ある意味制服だものね?


でも出発前みたいで良かった。

無駄足踏ませるところでしたよ。


御者さんが鎧リーダーらしき人に事の顛末を話しているみたいですし、私たちはそろそろ解散できそうです。

あ、ほら騎士の人が来た!


「皆さん、ご無事で何よりです。特に被害はなかったので、このまま解散してくださって結構です。お疲れ様でした」


やったー。

よし、これからロベルトさん家に突撃です。

お腹も空きましたし、何か買って帰りましょう。








「ロベルト、まさかお前が辻馬車に乗っていたとはな。だがおかげで助かった」



鎧リーダーが話しかけてきた!


いけっ、ロベルト! 君に決めた!





いや、ここでふざけている場合じゃないですね…


というわけで、どちら様です?

いや、ロベルトさんのお知り合いだということはわかりますよ。

同僚さんですかね?


「ルーペか」


プフッ!

なんだか観察の時に使う道具の名前みたいな人ですね。

この世界の人は、名前で私を笑い死にさせる気ですか!


「詳しいことは、詰所で……って誰その子?」



気づかれました!

待って、待って!

まだあなたの名前で笑いそうなんです! 堪えているんです!


プルプルする私を余所に、ロベルトさんが紹介してくれました。


「彼女はマリア。暫く私が面倒を見ることになった」


「え!? お前がこんな小さな子を!? おいおいおいおい、団長になんて言うんだ? 制裁されるぞ?」


「彼女は15歳だ。すぐ成人する、問題ない。団長には私から説明する」


「何必死に言ってんだよ。にしても、15か~。見えないね。まぁお前がいいならいいけど、俺は。なら今からは無理だな。明日朝から詰所に来てくれ」


「わかった」


おおぅ、私は置いてけぼりです!

特に話せることもないので、別にいいんですけどね!


なんて考えていたら、目の前にルーペさん(ップ)がいました。


「こんにちは、お嬢ちゃん。お名前を伺っても?」


「あ、申し遅れました。私斉藤まりあ……じゃなかった、マリア・サイトウといいます。これからロベルトさんのところにお世話になります。よろしくお願いします」


「はいはい~、よろしく。俺はロベルトの同期のルーペ・プシです」





「っぶっは!!!!」


「ちょ、えぇ!? なんで!? なんでいきなり笑われたの!?」


「…お前の顔が愉快なんじゃないか?」


「そんなバカな!」



ご、ごめんなさい!

でも止まらないんです!


ゲホゲホゲホッ!ブフッ!


ひー! 不意打ちです!

名前がルーペだったので、それで終わりだと思ってました!

苗字込みの二段構造だったとわ!!


侮りがたし!異世界ミラの住人!(の名前)





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