ロベルトside1
ロベルト視点の話です。
これからところどころにロベルト視点が入ります。
※サブタイトルの綴りを間違える恥ずかしいミスをしていました!
ご指摘ありがとうございます。
改めさせていただきました。
私の名前は、ロベルト・サイダー。
サイダー子爵の次男だ。
現在は王都の第二騎士団の副団長を務めている。
第一騎士団は王城と中央大陸を守る要であるが、私たち第二騎士団は国民を守る要である。
私はこの仕事を誇りに思う。
だが現在、私は里帰りを終え王都への帰還の途中だ。
あまりに休みを取らないため、団長から里帰りでもしろと、長期休暇を言い渡された。
里帰りをしたところで、対して何かあるわけではないのだが……
仕方ない、団長命令だ。
そしてやはり何事もなく、暫く実家で過ごし、王都へと帰ることになった。
しかしその帰りに不思議な少女に出会うことになる。
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辻馬車に乗ればよかったのだが、体の訛りをとるため街道を自分の足で歩くことにした。
途中襲ってくる獣や、大型獣を倒しながらゆっくりと王都を目指していた。
すると少し先に犬型獣に囲まれた少女が見えた!
驚いたが、あわてて助けに入る。
少女の前に躍り出て、襲いかかってきた一匹をなぎ倒す。
すると実力差を感じ取ったのか、他の獣はそうそうに逃げて行った。
完全に周りに気配を感じなくなってから、少女へと向き直る。
少女は長い黒髪とこげ茶色の瞳をしていた。
まだ幼さが残る顔だちの中に、知性的な雰囲気を醸し出している。
少女のような、女性のような、その間の危うい色香が見え隠れしていた。
このような少女にそんなことを思うなど、騎士にあってはならないことだ!
だが私は暫く少女を眺めて黙ってしまった。
少女も驚いた顔をし、私を見ていた。
助けが来るとは思わなかったのだろう。
私と同じよう暫く呆然としていたが、我に返り話しかけてくる。
「すみません、あまりのことで呆然としてしまって。あの、危ないところを助けていただきありがとうございます」
声も少女の見た目通り、可憐であった。
その声に聴きほれ、返事を遅らせてしまう。
返事をしなかったからだろうか、だんだん少女の瞳が潤み、今にも泣きだしそうになった。
これには慌ててしまい、返事よりも行動で慰めてしまった。
座り込んでいる少女の目線に合わせ、しゃがみながら頭と柔らかな髪を撫でた。
さわり心地もよくいつまでも撫でていたくなる。
だがいつまでもこうしているわけにもいかない。
また獣が襲ってくるかもわからないからな。
「子供ながらにしっかりした挨拶だ。もう大丈夫だ、街まで送ろう」
この少女の親も心配しているだろう。
名残惜しいが、家まで送り届けてやろう。
「たいへん助かります!いつの間にかこの草原にいたので、ここがどこだかさっぱりでして…。あ、私斉藤まりあといいます。お名前をお聞きしてもいいでしょうか?」
送ることを言うと、少女は頭を撫でていた私の手を両手で握り、私だけが頼りだと言わんばかりに握りしめてきた。
力いっぱい握りしめているであろうに、まったく痛くない。
このようなか弱さで、危険なこのグル草原に一人でいたのか。
さぞ不安であっただろう。
そうと決まればいつまでも座っているわけにはいかない。
名残惜しいが、少女の手を離し、立ち上がらせた。
小さい彼女はあまりに軽く持ち上がった。
彼女はいったい何を食べているのだ!
吹けば飛ぶような軽さではないか!
街に着いたら美味いものを食べさせよう。
そう決意をし彼女を見ると、小首を傾げながら私を見ていた。
そういえば名を聞かれていたな。
失念していた。
「ロベルト・サイダー」
私は少女の質問に簡潔に答えた。
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少女、マリアとはエクスの街に着くまでいろいろ話をした。
口下手で始終無口な私を恐がらず、何度も話しかけてきてくれた。
普通の少女ではありえないことだった。
それが純粋に嬉しかったのだ。
なのでマリアから提供してくれる話題にはできるだけ答え、お互いの話をした。
マリアの話を聞いてわかったことがある。
どうやらマリアは中央大陸の者ではないようだ。
それどころか北や南、西や東の大陸でもない。
ニホンという小さな島国らしい。
聞いたことがないし、地図でも見たことがないので、本当に小さな国なのだろう。
以前噂で、小さな島では少数の部族が今だ中央と交流することなく人知れず住んでいると聞いたことがある。
たぶんマリアはそのどこかの部族の出身なのだろう。
マリアの格好は見たことがないので、民族衣装か何かだと思われる。
それに中央大陸を知らないなど、それこそ普通はありえないのだ。
他にも、マリアはその部族ではいいところ、いわゆる貴族のような家の出身みたいだった。
手入れされた髪に、傷がない肌。
それにいままで働いたことがないという。
だが何かの都合でか、マリア自身も働かざるおえない状況に陥ったそうだ。
今まで労働などしたことがないマリアが、それでも自分にできることを見つけて頑張ろうとした矢先に、魔法の誤発に巻き込まれ、このグル草原で迷っていたらしい。
話を聞いていて、つい目頭を押さえてしまった。
……かわいそうに。
大丈夫だ!私が必ず守ってやろう。
とりあえず、マリアが嫌がるまでは私が面倒を見ることを心に誓った。
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「ロベルトさん、ロベルトさん? あなたは今何歳なのですか?」
私の後ろを着いてきていたマリアが質問してきた。
そういえば子供のような見た目に大人のような知性を見え隠れするマリアの歳も気になる。
「26になる。お前は?」
すると、もじもじしながら答えてくれた。
「女性に歳を聞くのは無礼ですよ。……何歳ぐらいに見えます?」
しまった!
いくら子供といえど、女性に歳を聞くのはまずかったか!?
とくにマリアのように賢い子には失礼だったかもしれない。
「そうか、すまん……。見た目に反して言動がしっかりしている。12歳にみえるが……15歳ぐらいか?」
ある種これは私の願望だ。
マリアの言動は大人の女性に近いのもそう願う原因だ。
16歳で成人扱いなので、マリアがそのぐらいであれば、マリアを邪な目で見てしまっても1年ぐらいなら手を出さなければ許されるであろうと思ったのだ。
だがパッと見はやはり12~13歳ぐらいに見えてしまう。
「せ、正解で~す! 私の国は人種的に皆幼く見えてしまうのですが、さすがロベルトさんです」
その言葉に私は内心喜んだ。
つい嬉しそうな顔が表に出てしまったほどだ。
あぁ、彼女はもうすぐ成人する。
ならば多少口説いてもいいだろうか?
良かった。
これから彼女との仲をゆっくり深めていこう。
そう思っていると、前方にエクスの街が見えてきた。
「見えたぞ、あれがエクスの街だ」
彼女が私のそばを離れるまでに、口下手な私がどれだけ彼女を口説けるか……
歳の差もあるので少し不安だが、できる限り頑張ろうと思う。
以上、ロベルトの内心でした!
口に出せないだけで、結構いろいろ思ってますww
彼のこれからは、未成年なため手が出せない葛藤と、口下手なため上手く言葉に表せない気持ちが心の中で大暴れします。