ロベルトside6
今回は予想より期間を空けずに投稿できました!
やったね!ww
…え? それでも遅いほう?
ごめんなさい!
マリアが…行方不明…
「………」
「お、おい? 大丈夫か、ロベルト?」
大丈夫かだと?
大丈夫に決まっているではないか。
このようなことで取り乱していては、第二騎士団副団長など勤まるわけがない。
あらゆることを冷静に見極め、もっとも最善の指揮をしなければならない。
特に今は団長が留守の時だ。
私が指揮権を持っている。
いくら身内のことだろうと、取り乱したりしてはならない。
「大丈夫だ。私は取り乱したりはしない」
「そうか…? ならいいんだが」
よし、捜索班の指揮者を決めなければ。
団長はおられないが、私とルーペがいる。
どちらかが残って通常の任務をし、もう一人が捜索を指揮しなければならない。
ここはルーペに捜索に行ってもらおう。
こういう時に関係者が関わっては、私情を挟んでしまいかねないからな。
「ルーペ、お前が捜索に行ってくれるか?」
「え、そりゃいいが…いいのか?」
もう決めたことだ。
あまり惑わさないでもらいたい…
「ああ。よろしく頼む」
「…分かった。俺がきっちりマリアちゃんを見つけてくる」
普段は軽い性格だが、こういう時は頼りになる奴だ。
任せておけば安心だろう。
「頼んだ」
「ああ」
うむ、気を引き締めよう。
「では早速現場に向かってくれ。私も送り出す時まではいよう。…行くぞ」
「ほいほい」
今は獣の活動がおかしい時だ。
部下たちにも十分注意を促しておかなければ…
ガチャ
「……何故だ。出れん」
おかしい…
扉を開けたのに外に出れん!
「……お、おい」
「くっ! 反政府の新手の妨害行為か! このような時に…!」
問題とは重なってやってくるものだな!
これは魔術を用意た反政府の妨害行為に違いない…
この様な高度な魔術様式まで使えるようになっていたとは、上層部に報告しなければ。
「まじか…。やっぱりお前が行けよ…」
「な、何を言っている。妨害行為まで起こったのだ。やはり私はここに残らなければならない!」
団長がいない今、ここの責任者は私だ。
それを私情のためにないがしろにするわけにはいかない!
優先順位からして、やはり捜索にはルーペに行ってもらわなければ…
「違うよ……。 お前が開けた扉、それは掃除用具入れだ…」
………
「……」
「そりゃ、誰も外には出れんわな」
改めて、目の前の扉の中を見る。
確かに、そこには箒に雑巾、塵取りが小さな用具入れの中に綺麗に収まっていた。
外に出るどころか、人一人がやっと入る場所しかない。
…ふっ、ちょっと間違えただけだ。
やはり私も動揺していたようだ。
では、今度こそ行くぞ…!
ガチャ
「またしてもか!」
「……そこは便所だ。もう止めてくれ! 俺はそんなお前の姿、見たくない!」
私とて、こんなことはしたくない!
「だ、だが…」
「俺がここに残る! お前はさっさと探しに行って来い! この状態のお前が残っても全然役に立たないから!」
ルーペ……!
キツイ言い方だが、これは私のために言ってくれているのだな。
本来なら、今私がここを離れるわけにはいかないのだが、こうしてルーぺが気をきかせてくれている。
…ここは甘えた方がいいだろう。
確かに今の私が残っていても、役に立ちそうにない。
それよりも早くマリアを助けだし、安心して本来の職務に戻った方がいい。
すまない、ルーペ。
「恩に着る」
「いいから、早く行け。……あ、ちなみに、出口はこれな」
そういって、わざわざルーペが扉を開けてくれた。
さすがにもう間違えないぞ。
…間違える扉もないしな。
「早めに戻る」
「そうしてくれ」
その後は、振り返ることなく私は駆けて行った。
***************
「副団長、配置につきました!」
「よし、合図をだすまで待機していろ」
「了解」
あの後、部下を率いてマリアが居なくなったとされる林入口まで来た。
部下を整列させ、早々に捜索を開始しようとした時だ。
林から人影らしきものがこちらへと近づいてくる。
「……?」
「なんでしょうか?」
人影は大小の二つ見える。
あれは…
「マリア!!」
間違いない、マリアだ!
もう一人の影は、残って捜索をしていたらしい護衛の者だろう。
声に反応し、マリアが私を見た。
目を見開き、一瞬固まる。
その後…
「ロォベェルト゛ォさ゛ーーーん!!」
今までに見たことない泣き顔と、大きな声でマリアは私へと駆けてくる。
そして、そのまま胸へと飛び込んでき、縋り付いて泣き続けた。
普段の落ち着いた雰囲気は見当たらない。
そこには、年相応の少女がいた。
そうだ…
出会ってからも、私はマリアの不安定な部分を見ていない。
彼女はいつも必要以上に自分を律している。
まだ子供の域を出ていないというのに。
怖かったであろう…
心細かったであろう…
それでも笑顔を絶やしたことがなかった。
それが今、全ての感情を表にだし、縋り付いてくれている。
これほど嬉しいことはない。
あぁ、私はマリアにとって、必要な存在なのだと、感じられた。
マリアは恐ろしい目にあったというのにな。
すまない…すまない。
だが、私が守ろう。
きっと、きっと、守ってみせよう。
泣き続けるマリアを腕に抱き、撤退の合図を送りながら、確かにそう思った。
***************
結局、捜索をせずに帰ってくることとなった。
拍子抜けはするが、大がかりな捜索をして下手に獣たちの気を荒立たせずに済んだのはよかった。
第二騎士団詰所へと帰り、各班が片づけをしていた時だ。
ルーペがやって来た。
「お帰り~」
「あぁ、戻った」
今だ私の腕の中で寝ているマリアを見て、首尾よく済んだことを悟ったのだろう。
特に詳細は聞かれなかった。
「団長も帰ってきてるから、マリアちゃんをどこかの部屋に運んだら、団長室に来いよ」
何? もうお戻りになったのか?
意外に早かったな。
団長は普段行き先を告げていくのだが、今回はただ出かけてくるとだけ言って出て行かれた。
それは、行き先を言えない、ということだ。
ここ最近で重要なことといえば、あの国宝関連しかない。
多分、見つかった“黄色き果実”のことで出かけられたのだろう。
なので、お帰りは明日になるやもと思っていたが…
まぁ、うれしい誤算ではある。
今回のマリア行方不明事件は、大型獣の襲来のせいだ。
団長にも意見を仰がなければと思っていた。
「わかった。すぐに向かおう」
「おう、俺は先に行っておくぞ」
その後、後の片付けは部下たちに任せ、マリアを客間へと運んだ。
医務室に運んでもよかったのだが、あそこには多くの騎士が出入りする。
…よからぬことを考える輩が出てきてもいかんからな、うん。
マリアをベットに寝かし、しばし寝顔を見る。
よかった…
マリアが無事で、本当に良かった…
安堵が心を埋める。
だが、いつまでも見つめているわけにはいかない。
団長へと報告に行かなければ…
「では、行ってくる。…安心して眠れ」
聞いていないとはわかっているが、そう声をかけて部屋を後にした。
***************
「団長、ロベルトです」
「よし、入れ」
団長の許しが出て、私は部屋へと入った。
部屋の中には団長とルーペがいた。
私を合わせて三人ということは、やはり国宝による獣の行動について話し合うようだ。
「ご苦労だった、サイダー。私が留守の間に何やらあったようだな」
「はい。今からご説明いたします」
私はルーペと確認しあい、今日のあらましを報告した。
黙って聞いていた団長だが、私たちが話し終えると重いため息を吐いた。
どうやら、相当にお疲れのようだ…
「ふぅ…。まいったものだな」
「…お疲れですね、団長」
一応ねぎらいの言葉を送っておこう。
「まったくだ。ここ最近は立て続けに何かが起こる! 迂闊に出かけてもいられないとはな」
「はは、そっすね」
確かに、問題が多いな。
今の状況で、あまり留守にされては困るかもしれない。
だが、今回は…
「…お前たちも察しているやもしれんが、今日私が出かけていたのは、“黄色き果実”の所だ」
やはりか…
ということは、団長は実物を見てきたということだな。
「魔法具関連は専門外でわからないが、外見上は特別な何かには見えなかった。…だが、確かに、妙な存在感はあったな。何の変哲もないのに、何故か強烈な違和感。まったく…見ていて気味が悪かったぞ」
変哲もない…だが違和感は感じる。
一見矛盾しているようだが、実際団長の感想そのままのものなのだろう。
この人の感は鋭い。
やはり凄まじい魔法具だったのだ。
私が現物を見るようなことがあるかはわからないが、その時はそれなりの覚悟を決めて見なければ。
魔法のたぐいのものは、人を飲み込みやすい。
とくに封印されていたほどのものだ、その力も尋常ではないだろう。
…見るような事態にならないことを祈る。
「それにしてもだが…行方不明であった少女」
「はい、何か?」
マリアの事だろう。
だが、団長が気にするようなことはないはずだ。
大型の襲撃があったことは、団長も気になさるとこだろう。
それで少女が一人行方不明になったことは、確かに大変なことだ。
しかし既に無事見つかっている。
行方不明の件は解決と言っていい。
今団長が気になさることと言ったら、今回の大型襲撃の原因が魔法具であったかどうかだと思うのだが…
それ以外で何か気になることがあっただろうか?
「最近のお前たちの報告は聞かせてもらっている。だからこそ、妙に感じる」
「妙?」
どこかおかしなところがあっただろうか?
「確かにここ最近は獣たちの活動がおかしい。…だが、それでも、マリアというこの娘は獣に遭遇しすぎている」
………
言われてみれば…
私と出会った時も、大型ではないにしろ獣に襲われていた。
こちらに来て三週間が経った。
いや三週間しかたっていないのに、こうも獣に襲われるのは確かに異常だ。
まだ大型が異常な行動を起こしだして、そう時は過ぎていない。
そのため襲われた人の数は少なく、妙な噂もまだ立っていないはずだ。
なのにたった三週間でマリアは何度獣に襲われた…?
一度目は、犬型獣だった。
二度目は、王都に向かう馬車が大型に襲われた。
三度目は、遠足に行ったところで大型に襲われた。
一度目は外にいれば遭遇するのはそう珍しくはない。
だが、大型に遭遇することが、こうも頻繁に起こりうるのだろうか…?
おかしい。
これでは、街の外に出るたびに獣と遭遇していることになる!
これはどういうことなんだ…
「そういや、そうだな…。ロベルト、お前気づいてたか?」
「…いや」
私が大いに狼狽していると、団長が自分の思考をまとめるかのように続けた。
「考えたのだ…何故彼女はこの短期間でこうまで獣と遭遇するのかを。…これが偶然? それにしてはできすぎている。…なら意図的か? ではどういった意図を持つ。獣の行動をおかしくさせ、わが大陸を混乱に陥れるための他大陸の間者…いや、この方法では悪目立ちしすぎるし危険すぎる。ならば反政府の自爆的行動か? それにしては、彼女自身、身を守る行動をするし、実際助かっている」
当てはまってはいない。
私は微かに安堵した…
団長が言うことを吟味すれば、マリアの行動は国にあだなすような者ではないようだ。
そうだ、マリアがそのようなことをするはずないではないか。
団長もそう思っての発言なのであろう。
「…だが、これと酷似している例を、最近聞いたな」
最近、よく似た例…
まさか…!
「突如戻ってきた、巨大な力を秘めし獣を集める魔法具。そして、突如魔法の偶発的事故で現れた、多くの獣と遭遇してしまう少女。彼女がこちらに来た時期と、大型たちの異常行動の始まった時期も……多少のずれはあるが、概ね近い。……ここで一つの仮定が浮かぶ」
それでは…マリアは…
「……彼女と魔法具。何がしかの関係があるのでは?」
マリアと魔法具の関わり…
マリアは最初、本人もよくわかっていないことでこちらに来てしまったと言っていた。
話を聞く限りで、私はそれを魔法関連の事故だと思っていた。
だが、その原因が魔法ではなく、魔法具でもあり得るのではないか?
もしそうなら、この問題に、マリアは全くの無関係ではいられない。
「だが、今の段階では全て憶測にすぎん。ただ単に、本当に運が悪く、獣と多く遭遇してしまっただけかもしれん」
………
そうであればいい。
そうであれば、少なくともマリアに危害は及ばない。
だが、関わりがあれば、上の方たちはマリアが何も知らなくても根掘り葉掘り聞きたがるだろう。
そして無理に故郷を探し出そうとするのでは?
少なくとも最近まで魔法具があったと思われる場所なのだから。
故郷が見つかるのはいい。
マリアの悲願だ。
しかしマリアとて、帰りたくとも帰れない故郷の事を色々聞かれては、精神的に病んでしまいかねない。
最悪、部族の秘密を探ろうとしていると思われ、自分の一言で部族が侵略されてしまうと考えてしまったら…?。
…私はマリアを助けたつもりで、その実、窮地に立たせているのではないだろうか?
「報告やお前たちの態度からして、とても良い娘なのだろう。…だが、彼女と魔法具の関係をはっきりさせなければならない」
「団長…」
「ふ、心配するな。もし関係があるとしても、悪いようにはせん。魔法具が集まるまでは協力を願いでるやもしれんが、無体をしいるつもりはないし、させるつもりもない」
そうだ。
団長は女性たちの地位的向上に力を注いでいる。
ならば、立場的に弱いマリアも守ってくださるだろう。
「もし…もし、そうであれば。その時は、団長。よろしくお願いします」
「ああ、任された」
私は団長に深くお願いをした。
マリアを、マリアの大切なものを、私が壊したくはないのだ。
「ロベルト、そう心配すんなって! 団長もこう言ってくれているし、今悩んでも仕方ないだろ?」
ルーペ…
そうだな。
今考えても仕方ない、か…
「それにしても…。お前からしたら、上の者は大層信用がないのだな? ふふ、あの人たちも時には国のために非情なこともするが、今回はお前が考えているようなことはせんだろう」
「そう、ですか…?」
「ああ。何せこの問題は最後まで極秘だ。他国にも、もちろん自国の民にも悟られてはならない。そのような状況下で、大それたことはなさらないさ。まぁ、全ての魔法具が集まるまでは全力を注ぐだろうが、それはあくまで穏便に平和的にだ」
団長の話を聞いて、すこし安心できた。
そうだ。
心配のあまり、暗い方向に考えすぎた。
…団長の言うことを信じよう。
「よし、ではこれからのことだ。彼女と三つの実は関わりがあると仮定して考えるぞ。…現在の獣の異常行動は、その魔法具が原因と思われる。我々の今後の行動は、第一騎士団の魔法具探索の補助…ようは魔法具関連と思しき情報の収集と民が混乱しないための情報操作になる」
「「了解」」
「…本当は、魔法具の情報を持っていそうな彼女に直接聞きたいのだが、今はやめておこう。隠しているのか、本当にわからないのか、判断は付かないが、今だサイダーへと話していないということを聞いても答えてもらえないだろう」
私たちに私たちの事情があるように、マリアにはマリアの事情がある。
当然、離せないことも話したくないこともあるだろう。
彼女の部族の問題もある。
そうやすやすと他人に話すことなどできないはずだ。
「とりあえず、サイダー。お前は、本当に彼女と三つの実が関わりがあるのかを探れ」
は? 探る…?
私が、マリアに対して密偵のようなことをするのか?
それは…いやだ。
「団長…それは」
「拒否は認めん。彼女に危害が及ばないよう交渉するためにも、こちらも情報が必要なのだ。今のところ彼女の情報は彼女からしか手に入らん。共に住んでいるお前が適任だ」
冷静に考えても、団長の言っていることは正しい。
だが、どうしても抵抗がある…
「何も犯人を追いつめろと言っているのではない。お前が日々の生活をしていく中で、会話し、彼女の様々なことを知る。…恋愛の初歩段階もそうだろ」
れ、恋愛!?
何を急におっしゃっているのだ!
「そ、そそ、そんな。恋愛だなんて…」
「おいおい、ロベルト。何恥ずかしがっているんだ? すでに一緒に住んでるくせに」
う、うるさい!
それはただ、行き場のないマリアに場所を提供しただけだ!
「ふむ。では探っているではなく、仲良くなるに言い換えよう」
「お、団長、それいいっすね! …別名、 【君の全てが知りたい】 大・作・戦!」
そう言うと、ルーペはゲラゲラと笑い出した。
なんて不快な奴だ!
後で覚えておけよ…
「それで、その肝心の少女はどうしている? 少し話をしたいのだが」
「あ、別室で寝かせています」
あれから時間もたった。
もう起きているかもしれないな。
「起きたかもしれないな~。ロベルト、見てこいよ」
「そうだな。では団長、起きていましたら、こちらに連れてきます」
「ああ、そうしてくれ。…それにしても、あの時の少女が、とはな(ボソ)」
ん?
最後の方、何か聞こえたような…
「団長? 何かおっしゃいましたか?」
「いや、なんでも」
「そうですか…」
まぁいい。
それより今はマリアの方だ。
起きているだろうか…?
廊下を歩きながら、先ほどの事を考える。
ルーペはあのように茶化した言い方をしていたが、実際どうだろうか?
いや、悪いほうに考えるのは私の悪い癖だ。
とにかく、団長やルーペの言うとおり、親しくなることだけを考えよう。
…それは私の本意でもあるしな。
では、マリアの所へと行こう。
一気に書いたものを、数日かけて空いた時間少しずつ修正しながらの投稿です;
後日改めてみた時、手直しをするかもしれません。
ですが、話は変わりませんのでご心配なく!
今後もそういったことがあるかもしれませんが、お許しください;
そして続きは来年になると思います。
年末で会社が大忙しだーいww
では皆様、よいお年を~




