第3話 その2−3
コウ ウエルズは陸軍三等兵サントスと共にサイバークロウの依頼を受けた。中国海軍のセキュリティーを盗め。無謀とも言える作戦が始まった。
[マグナムか。これなら目立たなそうだな。さて、追手を蹴散らしますかね][そっすね。イヤーしかし機密捜索官とはねー。恐れ入りましたわ][シークレットだ。世の中には知らぬが仏なんて話もあるんだよ][コエーコエー。で、どう盗むつもりで?][ダミーを用意した。いわゆる騙しだ。まあいい。見とけって事よ。手始めに刈っちゃいますかね?]
二人はカフェの裏口の武器庫を出た。
ドタドタドタッバターン![ヘイ!マスター!奴は何処だ?][ホヘッ?知らんのー][奴だよ!居たろ?トレンチコートにバンダナの。恰幅の良い。何だっけ?コウ ウエルズ。そうコウは何処だ?][♪迷子の迷子の飼い犬君。貴方のお探しはワシですかい?っと♪][テンメーッ!]
ガシュッ!
[ショーダウンだ。オヤジ。ジュークボックスのリクエストだ。カントリーミュージックを]二丁のマグナムを構えるコウ。
[やるか!コノヤロウ!][イヤまだだ。サビまで待てよ]
スチャッ!クルクルクルッ!ナイフを構える追手。数は四人。来いよと手で合図する。[コウさん。加勢しますわ。あんたといると稼げそうだ]背後からサントスが構える。[一人ノルマ2つか。容易い。サントス!遅れを取るなよ][行くぜ!野郎共!]飛びかかる追手。
[ヒョッヒョッ!ホイッ!ワンダウンだ!]足を滑らせ強引に蹴りあげるコウ。[ガチャッ!パパーン!]蹴りあげた一人に照準を合わせる。[グフッ!速い!トリガーの引きが見えない]ズシャッ。[ヒューッ!ヤルネー。見てらんねー。流石だ]サントスはトンファーを持っていた。
ドスッドスッ![アバラ突き!]足をグンと下げ二人纏めて突き出す。[カッハッ!ウグググッ]踞る追手。[終わりだ!頭頂突き!]二人の追手の頭にトンファーを当てる。[ピギュアーッ]倒れる二人。[後は一人か?俺の獲物で構わないな?][少しは踏んばって下さいよー。しょうがないな。あげますよ]
[あまり暴れるなよ。お前ら!店の備品は弁償だからな][オヤジ!あんたは呼んでないよ。テーブル借りるぜ]二丁拳銃を天井に放り投げ丸いテーブルをクルッと回るコウ。
足に追手の首を巻き付け、床に投げ飛ばす。落ちてきた二丁拳銃を回し足で追手を踏みつけ構える。[ゲームセットだ。音楽も終わる時間だ。アンコールは無いぜ。キム レインに伝えとけ。立ち去れ。ダウンした奴は後で郵送しておく。着払いでな][チッキショー!覚えとけよ!お前ら!帰るぞ。いつまで倒れてるんだ!お前ら!][ヒッギィーッ]
ダッダッダッダッ!
[ッタクお前らな!商売上がったりだ。帰んな][すまねーな。オヤジ。ホレ。リクエスト代だ。アンコールは他でやるさ]コウはカウンターにコインを投げた。[十ドルかよ!ヤレヤレ。店じまいだな]
[で、コウさん。何処に行くんです?][お前は残れ。仲間を集めて欲しい。奴等に対抗する同士を。香港決戦と洒落込もうや][で、その部隊名は?][香港決起軍。通称、反乱軍だ。忙しくなるぜ][アノ〜………コウさん。戻れないんですかね。人間は][ン?何の話だ?][イヤナニ。昔は良かったなって。昔の香港はもっと殺伐としていた。中国が手を出したからおとなしくなっただけで。おかげさまで義理も人情も買い取られましたよ][それもあるな。奴等が手に入れたい物は軍事セキュリティーではない。古きよき香港かもしれんな。サントス。幸せなんてそんなもんだ。目の前にあるうちはわからない。本当に欲しい物の真実なんてそんなもんさ。釈迦力になって働いて機械に使われ人に使われ。奈落の果てが過去の遺産さ。進化とは悲しい性だな][そうですね。コンクリートジャングルをさ迷い、たどり着いた先が違犯やらねつ造やら。愚かな生き物ですわ。だから釈迦力になっているルーキーを応援したくなる。そんなもんですかね?][そうだな。さて、俺は中国に帰る。軍事セキュリティーのダミーを貰いにな。いずれまた会おうな。サントス][その時はまたお世話になりますわ]
時は流れ、南条 司 達が海軍セキュリティーを奪回する事となる。
[動いたか。連中?][エエ。その様ですね][我々も行こうか。盗まれた栄光を取り戻しに][言ったじゃないですか。あの時。ついていくって。やりましょうや!コウさん][ウム。反乱軍!出撃!狙うわサイバークロウ!行くぞ!野郎共!]
その日、ネットの社会で陸軍の軍事セキュリティーが奪回された。反乱軍の結託で。
公にはなっていないがサイバークロウ、反乱軍、そして日本にいる、ステラ部隊。彼等の物語は闇に葬られた。彼等の墓標と共に。
第3話 完結。
次回、HEAVY METAL 新章。ステイマン推参。