第3話 その2−2
コウ・ウエルズ。彼はどんな経緯で反乱軍を纏めたのか。
それはサイバークロウが中国の陸軍、海軍セキュリティーを奪う前に遡る。
香港。光と闇が交差する町。賑やかな屋台に彼はいた。
[おやじ!激辛チリ湯麺一杯な。…………クーッタマンネーナー。この辛さ。やっぱ香港はこうじゃなきゃ。俺はいつも帰ったらココなんだよな。香港の台所。屋台。居るだけで情報が入る]
[ナア。最近うるさくないか?ボス][アア。不可能な事ばかり要求する。軍事機密を盗めなんて。誰がやるんだ?]
[なんだと?軍事機密を盗むだと?確かに最近は巧妙な悪党が多くなった。少し接触してみるか]
[ナア。お前らハッカーか?]コウは近くの男に接触した。[教えらんねーな。金次第よ]男は丸を作った。[アア。礼儀だよな。ただで教わろうなんざ考えちゃいないぜ。取引をしよう。俺がその軍事機密を盗んでやるよ。で報酬はお前らの口座に。わかるだろ?][悪かねーな。乗ろう。その掛け。耳を貸せ。……………なんでもよこの香港の裏社会にサイバークロウ。つまりテロ組織があるのさ。ホレ、地図だ行ってみなよ。行ったらな、祖国統一。それが合言葉だ。乗るか?][当たり前よ。おやじ!老酒だ。契約の証しに盃を交わそうぜ。流儀だろ?][名前は?][コウ・ウエルズ。義兄弟。お前は?][サントス。中国陸軍の立派な三等兵だ][宜しくな。サントス。ンジャマ行ってくら。期待しとけよ]
次の日、コウは教わったポイントへ行った。
[船着き場か。昔から言うもんな。流通は海から。犯罪も海からなんて。サテ、マグロ漁船でも釣りに行きますかね?]
指定された場所は船だった。
[コンコン][合言葉を言え!][祖国統一!][ガチャッ]少しだけ扉を開け訪問者を見る。[オウオウ。邪魔するでー!]扉に足を滑らせ強引に開ける。[なんだ!お前!][誰がオマエだよ!依頼者だよ!お客様!わかる?][用件は?][イヤナニ。なんか美味しい餌があるなって。マグロ釣りの。あんだろ?][無いことは無い。着いてこい。案内する]警備員は案内する。奥の奥のそのまた奥に。両側にはライフルを構える者がいた。[随分なお宝だな。手も出やしない]警備員は無視した。
[着いたぞ。この奥だ]船の行き止まりで警備員は足を止めた。顎で行けと合図する。[待てよ。アノ〜………ボスの名前は?][キム・レインだ][ありがとよ。シッシッ向こう行きな。取引の話だ]
[キム様。お初にお目にかかるな][依頼者か?][イヤナニ。貴方がね軍事機密を盗めなんて言うもんですからね。ぜひ私をと。参った訳でしてね][そうか?報酬は1奥香港ドル。どうだね?仕事しだいでは上げるが][お任せ下さい。ンジャマ、サインなんてしちゃいます?][よかろう………なんだ?サントスって][古い友人ですわ。義兄弟に金をと。香港の流儀ですわ][宜しい。契約しよう]
コウ・ウエルズは現場を後にし電話をした。
[国家主席。ヒットしました。サイバーテロ集団に。連中、海軍の軍事セキュリティーを狙っています。どうします?][明け渡そう。仮にだが。ダミーを作っておいた][主席。知ってますか?マグロは大きな魚は狙わない。何故ならそこに群れる雑魚が旨い事を知っているから][なるほどな。引き続き頼むぞ。こっちも動くまで待とう][了解。任務続行します。必ず彼等のシッポを掴みますから]
続く