00.プロローグ
初投稿です。
どんな感想でも頂けると本当に嬉しいです。
鏡に映った自分の顔を見るたび、神を呪いたくなる。
俺の名前は斉藤津井、27歳。中卒で職歴なし、親の脛を齧って生きる引きこもりニートだ。
最後に外に出たのは、数ヶ月前にゲームを買い溜めした時くらいだろうか。
その時も人の目が怖くて、ずっと下を向いて歩いた。会計は持ち歩いていた紙とペンで済ませた。怖くて声を出せる気もしなかったら。
そんな俺の唯一の生きがいはゲームだ。
努力が報われる世界。やればやるだけ強くなれる世界。現実と違って、裏切らない世界——。
「——クソがァッ!!」
だが、さすがに理不尽にはどうしても血が昇ってしまうものだ。
初見殺しのワンパン技で全装備ロスト。
画面に無情にも映し出される『YOU DIED』の文字。
数十時間かけて揃えた装備が全て泡に帰した。
画面を睨みつけ、俺は乱暴にパソコンの電源を引っこ抜いた。
ブチッ。
理性の糸が切れる音がした。
荒い息を吐きながら、真っ暗になったモニターを見つめる。そこに映っているのは——もうみたくもない醜い自分の顔だった。
手入れも髭剃りもとっくの前に辞めてしまった。伸び切った髭と荒れた肌。ジャンクフードばかりの生活で浮腫んだ顔。
例えるなら、ゲームに出てくる不細工なオーク、そのままだ。
中学の頃は、良くチビゴブリンと呼ばれてからかわれた。
最初は、背が低いからだと思っていた。でも、ある日鏡を見て。気づいてしまった。嘘や誇張でもなかったって。悪意のない言葉が一番刺さるものだ。
努力はした。牛乳を浴びるほど飲み、運動に励み、なけなしの小遣いで洗顔料も試した。
だが2年半の歳月が証明したのは、残酷な真実だけだった。
周りが美男美女に成長していく中、俺は「清潔感のある痩せ細ったゴブリン」になっただけだった。
他人の視線に耐えられなくなって、学校に行けなくなった。そしてそのまま中退。
外に出ることすら、今でも怖くて極力はこの部屋から出たくない。親にも合わせる顔もないしな。
ただこうして、今の俺、引きこもりニートが作られた経緯って訳だ。
落ち着くためとはいえ、過去の事も思い出すのも久しぶりだ。良い記憶なんて小学生の頃ぐらいしかない。
しばらくして冷静になった頃、抜いたコンセントを入れ直す。
パソコンの起動を待ちながら、俺は暗い部屋でぽつりと呟いた。
「……なあ、神様。女神様でも誰でもいい」
両手を合わせて目を閉じる。
「もし来世があるなら——、せめて普通の見た目ぐらいにはしてくれてもいいんじゃないか?」
もしからかわれなければ、周りからあんの視線を向けられなければ。
自信をなくして親と目も合わせられないような、こんな情けない人間にはならなかったはずだと。
自分にも原因があることだって、薄々気づいてはいる。 本当は身体は不自由もなく、心身ともに万全ではないにせよ。
こうして生活、生きてはいける。
広い世界を見渡せば、自分は恵まれている部類にさえ入るのだろう。
でも、周りにいる誰もが、なぜか自分よりずっと恵まれているようにしか感じられない。 そして心の底から、「見た目さえ良ければ……」と信じ込んでいる自分も、確かにそこに存在している。
”これ”さえあればと。
ピッ……
パソコンの起動音が鳴った。
だけど不思議な事に目を開けると部屋の電気が、代わりに消えていた。
「…え?」
停電? いや、違う。モニターだけが光っている。
しかもそこに映し出されていたのは、見慣れたログイン画面ではなく——真っ白な、何もない画面だった。画面が、脈動するように明滅してる。
「故障でもしたのか…」
次の瞬間、モニターから白い光が溢れ出した。
部屋全体を飲み込む、眩いほどの光。視界が真っ白に染まり、体が浮き上がるような感覚に襲われる。
「うわっ、ちょ——」
声にならない悲鳴を上げる間もなく——意識が、途切れた。
真っ暗なゴミ溜めのような部屋から人影が消え、パソコンの明かりだけが残されていた。
ここまで読んでくさって本当にありがたいです。
良ければ正直な評価を貰えると本当に嬉しい限りです。
必ず感想や評価を糧にして、物語をもっと良く、面白くします。




