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9話

 

◆9


 そうして、やはりというか、俺の母親から、夕飯を食べて行くように担任は勧められて、一旦は遠慮をしたが、形だけでの遠慮なのがバレてるのか、強引に引き留められたので、夕飯を食べてから帰っていった。


 …次からは勉強を理由に食べる時間をずらすか、もしくは、本当に散歩に出掛けるか


ーーーーー


 朝になり、朝食を食べ終えて、学校へと登校するための準備も済ませてから、母親に少し確認をしたい事があったのを思い出した。


「ねえ、母さん、昨日、どこからどこまでを聞いてた?」


「え?な、なんの事、かしら?」


「先生と話をしてる時に、ドアノブが動いてるように見えたから、母さんなのかなって。気の所為ならいいんだ」


「じゃ、じゃあ、気の所為なんじゃない?私は何も聞いてなかったわよ」


「うん。分かった。それじゃ行ってきます」


「はい。行ってらっしゃい…」


 特に拒絶するような感じはしなかったし、やっぱり恥ずかしいのだろう。後は当事者の二人に任せよう。


 学校に着き、HRの時も担任の態度は普段と変わらなかった。まぁ、普段と違う対応されても困るだけなんだが。


 授業を受け、昼休みになると、何故か急に他クラスの生徒が増え、クラス内の雰囲気が変わった気がした。やけにカップルが多い気がする。

 

 家だけじゃなく、ここでもカップルのイチャイチャを見なければいけないとか…何故だ。


 そんな心の葛藤なのか苛立ちなのか釈然としないでいると、今朝は絡んでこなかった悪友がやって来た。


「よう、恋のキューピッド」


「は?お前はついに壊れたのか。惜しい人を亡くしてしまった」


「昨日の今日でおまえがそんな冗談を言うとはな。ま、俺は心が寛大なんだ。そんな冗談は届かないぜ」


「いや、そこは突っ込むとこだろ。てか、この状況って、なんなんだよ。カップルばかりじゃないか?」


「ん?そうだよ。恋のキューピッドがいるからな」


「どこに?」


「だから、お前だよ。恋のキューピッド」


「まて、待て。どういう事だ?俺は何もしてないぞ?」


「だからだよ。まあ、順を追って説明するとだな、最近のニュースで話題のお前を見ようとして、この教室に他クラスのヤツが訪れる。だが、お前は居ない。どうして居ないの?って教室に入ってきて聞いてくる。そして親切に教える。またなにかあったらメールでね。ってなって、それがキッカケとなり交際が始まる。結果カップルとなり、今に至る」


「そんな…俺だけ置いてけぼり?」


「お前が台風の目になってるからだよ」


「台風の目ってなんだよ。俺は災害かなにかか?」


「違う違う。いいか、台風の目って場所は、風も雨も無く、雲も無い晴天になってる場所なんだよ。その台風の目の周囲が大変なだけなのさ」


「よくそんな事を知ってるな」


「お天気お姉さんが言ってた」


「そんな事だと思った。ちなみに、カップルの成功率は?」


「聞いて驚け。驚異の90%だ」


「確かに9割は多いな。それじゃ誰がカップルになれてないんだ?」


「それを聞いちゃう?カップル不成立はお前だけだ。あとは、担任のセンセ。もし担任のセンセが誰かと交際してたら、このクラスのカップル率は奇跡の99%だな」


(ま、じ、か。担任は表立って交際してるなんて言えないが、実質交際してるに近いじゃないか…いや、ホントになんでだよ…)


「あれ?俺だけって、おまえは?」


「お、それも聞いちゃう?聞いちゃう?よし、お答えしよう。俺にも後輩のカワイイ彼女が出来ました〜パチパチパチィ。あ、今度紹介するからな」


「やめれ。紹介なんてするな。彼女がいなくてカップルになれていない俺に追い打ちなんてするな」


「追い打ちなんて、そんなんじゃないんだけどな。自慢したいだけなんだけどな」


「だったら尚の事するな。くそぅこれでまだ、昼休みとか、勘弁してくれ」


「あれだな、他人の不幸は蜜の味って嘘だな」


「なんでだよ」


「ひがんでるお前を見ても楽しくも美味しくもない。彼女と一緒にいる方が万倍も蜜の味がする」


「…それって物理的な事じゃないよな?」


「ひがむな変態。不純異性交遊はダメだろ?」


「おまえからまともな意見が聞けるとは」


「よし。歪んでるお前に聖女な彼女を紹介しよう。きっと浄化してくれるぜ」


「やめれ。彼女が聖女って中二かよ」


「向日葵みたいに輝いてる満面の笑顔を向けてくれるんだぜ。聖女以外の表現がない。…あ、やっと来た。俺のカワイイ可愛いMy a girl。一緒に飯にしよ〜ぜ〜」


「舞い上がるって自分で言って…

もしかしてMy a girl?この場合、aは要らないんじゃなかったか?ま、いいや。どうでも。はぁ、もう帰りたい…」

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