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7話


◆7


ーーーーー


 朝になり、目覚ましのアラームで起き、顔を洗い、母親に声をかけ、学校に行く準備を済ませると、母親にもう一度声をかけて、布団の中から手を降っているのを確認すると、家をでた。朝飯は食べる気分では無かったが、昼メシまではもつだろう。


 教室に入ると騒がしかったのが、一瞬、シン…と静になる。なんだ?と不思議に思い、自分の席に着くと、悪友が声をかけてきた。


「よう、テロリストの主人公。気分はどうだ?」


「だれがテロリストの主人公だ。たちの悪い冗談はやめてくれ。今回のは笑えんぞ」


「おう。すまん。さすがに無神経だったか。悪かった。しかし、災難だったな。もう出てきても大丈夫なのか?まだ休んでても良かったんだぞ?お前の椅子は温めておくからよ」


「ぞうりじゃないんだ。座ってもいいが、無駄に温めるな。ところで、さっき変に静かになったが、なんかあったか?」


「お前だよ。テレビを見てないのか?あぁ、あんな状況じゃテレビなんか見ない、か…」


「あ?あんだよ?テレビ…って。もしかして、あれか?は、は、は。いや、まさかな…」


「お、思い出したか?いや〜あれは心にぐっときたね。涙を流しながら『テロリストなんて消えてしまえ!こんな世界なんか滅んでシマエ!』ってさ」


「ぐふ…やめてくれ。あの時の事はよく覚えてないんだ」


「まぁ、だろうよ。普段こうやってお前を見ている俺でも、テレビで見ていた時は、お前が別人かってくらいに取り乱していたからな。だから、みんなはどう接したらいいか、分からなかったんだよ」


「そんなにか。はぁ、やっちまったかな」


「そうでもないぜ。まさに悲劇の主人公をしてたからな。ちょっと前の強盗からの華麗なクラスチェンジだ」


「やめれ。思い出させるな。…あ」


「俺も言ってみたいぜ。『テストなんて消えてしまえ。こんな学校なんか滅んでしまえ』ってさ」


「ほほう。そうか、そうか。お前だけは、テストを受けないで済むように課題を追加しようか?」


「げ。センセ。やだなぁ。ただの冗談じゃないですか。こいつをからかう冗談ですよ」


「からかうのは止めておけ。今は大丈夫そうにみえても傷心中に変わりはないんだ。


 ついでだ。みんなにも言っておく。この度は非常に不幸な出来事が起きた。テレビでも報道があったように、こいつのご家族が亡くなられた。それも極めて理不尽な理由でだ。


 争い事そのものは無くせないかもだが、こんな悲劇は二度と起こしてはいけない。あってはならないんだ。全員席に着け。これより黙祷を行う。…黙祷」


 黙祷をした。目を閉じ、意識すると色々と思い出す。

本当に、色々と。


『「怪我や病気に気を付けろよ。なにかあったらすぐに飛んで帰ってくるからな。と言いたいが、現実的には無理だからなぁ。ハハ」』


「おい、大丈夫か?」


 肩を揺さぶられ、担任に声をかけられた。


「なにがですか?黙祷してただけじゃないですか」


「おまえ、泣いてるぞ」


 は?そんなわけは…涙が、流れてた


「今日はもう早退しろ。送ってやるから。すまなかったな。無理に登校してもらって。登校するように言ったのも、一応の規則だったからなんだが」


 担任がそう言ってくれた。言われた通りに今日は帰ろう。来たばかりなんだが。


「みんな、聞いてくれ。黙祷だけで涙が流れるくらいにこいつは傷付いてるんだ。だから、今日のところはもう早退させる。だが、この状態で、一人で帰らせるわけにはいかないから、俺が家に送り届ける。なので、その間は自習な」


「もう帰れるのか。イイなぁ」


「なら、俺と代わるか?」


「イヤだなぁ。冗談だよ。代われるわけないだろ。悲劇の主人公」


「やめれ。代われるなら代わってほしいよ。全く」


「荷物は持ったか?引き継ぎがあるから、悪いんだが、職員室まで来てくれるか?」


「分かりました」


「じゃあな」


 悪友に手を振ってこたえ、担任の後を付いて教室を出た。


 職員室で担任の引き継ぎを廊下で待っている間に、家にいる母親に早退をする事と担任に送ってもらえる事を電話で伝えた。


 そして、担任に家に送り届けてもらった。

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