3話
◆3
次の日の学校は予定通り休み。
昼過ぎには平熱に近い体温になっていた。
退屈だ。だからといって勉強する気は起きない。
ーーー
夕方になり、今日は何もないと思っていたら、チャイムがなり、今日も担任の先生がやってきたので迎え入れた。
昨日と同じように体調を心配してくれているのと、授業の内容についての話をしてくれた。
話を聞きながら同じクラスの他の誰かでも良かったんじゃないか。なんであんたなんだと、不思議に感じてはいたが、クラスの担任で、一応は警察も絡んではいるからと、勝手に納得した。
母親が買い物から帰ってきて、2日続けての見舞いとしての家庭訪問で、このまま帰ってもらってはいけないと、母親が夕食に誘った。…俺は帰ってほしかった。
担任は帰ってから食べますと、一度は断ったものの、結局は自炊が出来ないからと喜んでいた。
夕食中は母親と先生がやけに親しげに話をしている。不思議に思っていると、顔に出てたのだろう。
昨日の熱を出して寝ている間の俺の部屋の片付けを、2人でしていたと弁明をしだした。そして、その時に同じ出身地で、年も近いからとか、なんとか。
イチャイチャしてる感がする。父親がなんか不憫だ。いや、早く帰ってこないのもいけないのか。
しかし、この二人は俺をほったらかしにして盛り上がるのはどうなんだ?
食べ終わったら担任は礼を言い、帰っていった。
担任が帰ってから少しして、父親が帰ってきた。
なんだ?やけに慌ただしい。なんなんだ?
「体調はどうだ?良くなったか?大変だったな。詳しく話が出来なくて済まないが、出向先から続けて急遽海外に出張になった。中々家に帰って来れなくて本当に悪いな。
出張から帰ってきたら話を聞かせてくれよ。どんな話か楽しみにしてるから。
おっと、クライアントの意向でな、もうすぐに出ないといけない。着替えなどの必要な荷物は後で送ってもらうことにしてる。
外にタクシーを待たせてるから、もう行くからな。
怪我や病気に気を付けろよ。なにかあったらすぐに飛んで帰ってくるからな。と言いたいが、現実的には無理だからなぁ。ハハ」
なんか顔を見に来た。みたいな感じのまま、慌ただしく出て行った。電話だけでよくない?母親にそう思いを溢したら、
「警察署から帰ってきた後、風邪で寝込んだのだから、心配してたのよ。
それもコンビニ強盗に間違えられるなんて事だったから余計にね。さ、まだ病み上がりなんだから早く寝なさい。
明日は学校に行けるわよね?」
まぁそんなもんかと納得し、明日の準備をして、ベッドに潜って寝た。
こうも立て続けに色々あったから、明日は何もないといいなと思いながら。
ーーーーー
「おい、起きろ。朝だぞ」
ん?誰だよ。母親でも父親でもない声で起こされた。今は何時だ?まだ6時前じゃないか。だれだ?こんな時間に?なんなんだ?
寝ぼけ眼で相手を見たら、担任じゃないか!?
は?なんであんたに起こされるの?
一気に眠気が飛んだ。
「学校に送ってやるから早く支度をして、朝飯を食べなさい。」
意味が分からない。あんたは俺の父親かよ?
「ちゃんと朝飯を食べて学校にこれるか心配だったから、確認にきた。来週は中間テストもあるからな。そしたら、お父さんが急遽海外に出張と聞いてな。余計なお世話かもしれないが、今日までは面倒を見るよ」
ホントに余計なお世話だ。
確認だけなら電話だけでもいいだろうに…
何故か一緒に朝食を食べるも、その間はやはり目の前で、二人が親しげに話をしている。
父親が急に海外出張になったから寂しさを忘れさせてくれるからなのだろうか。まあいいんだが。