2話
◆2
家までパトカーで送ってもらえるのを断り、バスに乗って帰ることにした。またパトカーに乗るとか嫌だから。
バス停から家までの道を歩いていると、突然の夕立ちによる土砂降り。
(なんで!?天気予報じゃ雨は降らないって言ってたのに)
びしょ濡れになりながら走って帰宅をして、急いで先に風呂に入ろうとする矢先に、雷による停電で家の中が暗くなった。
(まじかよ!?これから風呂に入ろうとしたのに)
家が完全に停電になったため、風呂に入れず、作ってもらっていた晩飯も温め直せず、冷えた体のまま、ベッドで横になった。片付けたばかりの毛布を出すのはもう億劫だったため諦めて就寝することにした。
(さむい)
ーーーーー
翌日、朝起きたら非常にしんどい。
やっぱり、昨夜の影響で風邪をひいたみたいだ。体温計で熱を測ると、40.0℃
母親から学校に連絡をしてもらい休むことに。解熱鎮痛剤の薬を飲んで、安静にするために寝かされた。
ーーー
夕方、目が覚めたから起きて、枕元の体温計で測ると、薬がきいたのか熱が下がって38.0℃だった。それでも、やっぱりまだ高熱ではある為、体にだるさが残っている。
何も食べてないのを思い出したら、空腹なのを余計に感じ、キッチンに行こうとして、自分の部屋がやけに、見慣れない感じに気付いた。
何かがおかしい。
でも、机は変わらずにある。ゲーム用ではあるがテレビもある。テーブルもある。
あ、部屋の中が綺麗サッパリ片付けられている?
何があった?
うそだ、机の上のマンガが無い!
テーブルの上のゲーム機も無い!
まだ開けてもいないプラモとジグソーパズルはどこだ?
壁のポスターはある。
親に見つかったらヤバいあれやこれは?よかったこっちは問題なさそうだ。
しかし、この状況はなんで?
「おう、目が覚めたか。体の具合はどうだ?」
だれだ?は?学校の担任じゃないか?なんで家にいるんだ?
「よく分かってない顔をしてるな。説明してやるから、とりあえずベッドに横になるか、座れ」
担任に宥められて、しぶしぶベッドに座り、話を聞くことにした。
「昨日、警察から学校に電話で連絡があってな、お前がコンビニ強盗に間違えられたそうじゃないか。
それで、今日は40℃の高熱で休むと聞いて、さすがに心配になり、家庭訪問をさせてもらった。
見舞いに来て、様子を見るついでに、この部屋の状況が勉強に向かないのに気付いたから、勝手ながら片付けさせてもらった。
すまんな。捨てるような処分はしてないから安心しろ。まぁ、学生は勉強が本分だからな」
あんたかー!なにしてんだ!
確かに勉強が大事だけど!そうかもしれないけど!なんでだよ!勝手に片付けるなよ!
勝手に片付けられるまで汚くしてたはずはないんだけど、捨てられてないなら、文句を言っても大した意味がない。はぁ…あぁくそぅ。
こんなことになるなら昨日はパトカーに乗せてもらうんだった。
うなだれてると、担任の先生が体温計に気付いたのか
「起きてから体温は測ったのか?」
「あぁ、はい。38度ありました」
「そうか。まだ熱があるなら大事を取って明日も休め。
それと、今日の各授業内容のコピーを持ってきてやったから、もしも、熱が下がったらノートに書き写しておくように。
今日熱が下がらなかったなら、書き写すのはまた明日でもいいぞ。ただ、当然だがテスト範囲が含まれてて中間テストも近いからな。
それじゃ、もう帰るから。安静にしとけよ。お大事に」
(まじかー。休んだ分の皺寄せか。余計なことを。でも、とりあえずはお礼を言わないと。)
「あぁ、それと、隠すならちゃんと上手く隠せよ。」
(余計なお世話だ!)
変な事を言い残すからお礼を言い損ねてしまったじゃないか…