第6話 2人からの連絡
いつもより短くてすみません。
「…もうお昼の時間、何食べようかな?」
SBOからログアウトをしたボクは時計を確認した。
11時56分、お昼ご飯の時間になっていたようだ。
「ログインしたのが大体8時半ぐらいだったはずだから、3時間半も向こうにいたのか…
というか、向こうでもボクってすごい特殊な状況になってるんじゃ無い?」
だって、アレ絶対に隠しイベでしょ。それを始めたばかりのnoobがやるべきではないよ、絶対に。
さらにリアルでも、性転換と言うアタオカな状態になってるんだよ?
うん、絶対におかしい。
「そんなことは置いといて、何食べよう。」
何があったけな、と冷蔵庫を漁っていたらマスタースフィアに通知が来た。
「紫音からの着信だ。もしも~し。」
『ヤッホー、紫音だよ〜。というか、声かわいい!』
『俺もいることを忘れないでほしいな。』
「え、翔琉もいるの?」
『ああ。というか本当に可愛い声になったんだな。』
姉弟そろって、声を可愛いって言ってくるのか。
『というか、文はもともと中性的な声してたしな。』
「イワナイデ…」
『あ、あぁ。すまん。』
地味に気にしてたんだよ…
『ところで文くん…今は文ちゃんだけどやってる?』
「やってるって、何を?」
『もちろん、SBOだよ!』
「あー、うん。やってるよ。うん。」
自分の状況を思い返しながら答えると、何とも歯切れの悪い感じになってしまった。
『文、何があった…』
「それがね…」
そこから状況説明をした。
その結果、2人の反応は…
『『向こうでもすごいことになってるのか(ね)』』
と呆れているものだった。
自分が二人の立場でも呆れると思うなぁ…
「ともかく、この状態にうまく乗っかって武器と装備をゲットできてるから良いよね。」
『文ちゃんがそう思うなら良いんじゃない?』
『紫音は文に甘いな…
文、俺は一応警戒をしておいたほうが良いと思う。
話を聞く限りだと特に何かがあるとかはないが、念の為にな。』
「ありがとう翔琉。
一応警戒しておくね。」
あ、ご飯。冷凍のカルボナーラがある、ラッキー!
『そうそう、私たち今荷造りをしてたんだけれど、明日ぐらいに終わりそうなんだ!』
「てことは明後日に来れそうなんだね。」
『うん!だから明後日は家にいてね!』
明後日、何もないはずだからね。
強いて言うなら、SBOを進めてるぐらいかな?
「わかった、遅れたりするときは教えてね?」
『そうするね、詳しい時間とかも伝えるね。』
そんな会話をしながら、カルボナーラをレンジで温めていると、翔琉が質問を投げてきた。
『なぁ、文。』
「どうしたの?」
『お前の話し方ってそんなんだったか?』
「え、話し方?」
『翔琉?何を言って… 確かに今までと違う。』
『紫音も気付いたか。』
「ちょっと待って。ボクの話し方って何か変になってるの?」
突然のことに頭が追いつかなくなっていく。
自分では何も分からない。それが違いというもの。
『文、お前の話し方、言ってしまえば女の子だぞ。』
「そうなの!?」
『今の反応は前に近かったけど、それでも女の子になってる。
何処かで聞いた話なんだが、精神ってのは身体によっていくらしい。』
「どこで聞いたの?」
『そこは覚えてないが… ともかく、今の文の精神は身体、つまり女性に寄っていっていることになる。』
「そんな…」
『ただ、俺はそこら辺の専門家ではない。
文のスピードが速いのかはわからん。』
「…」
『…』
沈黙の時間が流れる。静かな部屋の中にレンジの終わった音が響いたのだった。