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(四)-8

「お仕事中に無理言って申し訳ございません。私は大路秀美と申しまして出版社で編集をしています。隣のこちらは、鬼龍院剛毅先生、本名は平等(たいら)汎人(ひろと)さんです」

「ええ、私が有名な、超売れっ子のミステリー作家の鬼龍院剛毅こと、平等汎人です」

「鬼龍院剛毅?」

 駐在さんだけでなく、警部補も声を上げて首をかしげた。

「ミステリー小説はよく読むのですが、鬼龍院剛毅というお名前は、存じ上げませんでした」

「私もです」

 そういう二人の地方公務員に、秀美は「ずいぶん前から私が《《必死に》》売り出しているミステリー作家でらっしゃいます」と「必死に」の部分の語気を強めにして返した。


(続く)

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