二人の日常
ここは深い森の中。
一人二人が暮らすには十分な広さの庭付き一軒家で、私は暮らしている。
「ヨル〜、畑の見回り終わったよ〜」
「イオさん、お疲れ様。ご飯もうできるよ」
「ありがと、今日のメニューは?」
「昨日の残りのスープとパン」
「……それできるっていうかできてたよね?温めたっていうのが正しいよね?美味しいからいいけど〜」
むう、と子供のように頬をふくらませる美人さん。イオさんと呼ばせてもらっている同居人とも、そこそこの付き合いになる。
「ごめんって。その代わり、明日は卵焼きつくるから」
「チーズ、たっくさん入れてくれる?」
「イオさん基準で『沢山』入れたら、チーズ入りの卵焼きじゃなく卵入りのチーズ焼きになるでしょうが……」
「え〜」
「え〜、じゃありません。明後日もチーズ入りにするから」
「ほんと?ならいいよ」
にこ、と頬を緩めた美人さんは今日も眼福だ。
「さて、食べようか」
「うん、イタダキマス」
「いただきます。……うん、一日おいたスープも美味しい」
「このパンも歯ごたえあっていいよね〜」
「イオさんはまたドラゴン基準で……まあ、美味しいならいいや」
「ヨルの料理はほんと美味しいよ。君の魔力がしみこんでるもの」
「私のエキスがしみてますみたいな言い方、やめてくれないかなあ?!」
微妙にズレた竜のイオさんと、魔女の私。
なんだかんだ、楽しく暮らしている。