おなかすいた
遅くなりました(>人<;)
「ですからぁ。ワタシは彼女を拾っただけなのでぇ、国に関係ないですぅ。 たとえ彼女の為って言ったって、認められないのですよぉ」
「国の決定ですよ! 確かにドクターには! 関係ないかも! しれませんが!!」
「はい、関係ありませんのでぇ。諦めませんかぁ?」
……ファンタジーだ。
茶髪で白衣を着た小さい女性が何か言うたびに、ベッドがふわりと浮いて、彼女の前に縦に立ち、盾のように並ぶ。患者がいないとは言え、ベッドを盾にするのは如何なものかと。
相手の人はベッドの枠を掴むと、元あった場所に直している。ただ、直後にまた他の場所からベッドが現れるので、1人で格闘しているようにしか見えないが。
それにしても、ベッドと言うのは重いのではなかろうか。たとえあの甲冑のようなものを着ている人が男であったとしても、あんなに軽々と持ち上げられるとは思えない。身体強化系のスキルとかがあるんだろうか、……あるんだろうなぁ。
「ドクター!! いい加減に、諦めてくれませんか!! 彼女は、ただ眠っていただけでしょう。傷があるわけでもなければ、風邪を引いているようでもない」
「あらぁ、ひどい言い草ですぅ。三日は寝てたのでぇ。国に連れて帰るって言ってましたけどぉ、魔法の使えない道中にぃ彼女が体調崩したらどうするんですかぁ?」
「それは………」
何やら、甲胄の人がモゴモゴしている間に、私に対してのバリケードが出来てしまった。ベッドが複雑に積まれたコレを崩すには時間がかかるだろうと思われる。
彼女はコレがしたかったのだろうか。甲胄の人を私に近付けたくないのだろうか。
彼女たちが話している事は音として認識してはいるものの、まったくもって分からない。故に、彼女がしたい事も鎧の人がしている事も理解できていない。
ファンタジーすげぇ。魔法ヤバイ。
と言うのが、ようやく体に力が入るようになってきた私の得た情報からの感想だ。しょぼい。
異世界転移って言語チートとかあるんじゃないのか。本当にひどい。確かに私はただの人間だけど!
なんて思っていると、ふと女性がこちらをみた。
「あ。放置しててごめんなさぁい。お腹空きましたよねぇ、今用意しますのでぇ、ちょぉっとお待ちくださいねぇ〜」
「ドクター! コレは、一体どういう……」
「強行突破されないようにぃしましたぁ」
すたすたと奥に入っていく女性を目だけで追いかける。
どうしよう、お腹すいた。
・体力的に喋れていない私、長谷川凛 ・何かを喋っている魔法使いの小さめ女性医師
・何かを喋っている甲胄の人 が今のところ凛が認識している者ですね。
次こそは対話してもらいましょう………前置き長くてすみません。