温かい手
いやだっ!!
ハッと覚醒する。
「あ〜、おはようございますぅ。寝覚めは最悪みたいですけどぉ……」
音が聞こえた瞬間。
わたしは、体に掛かっていた布を引っ張り上げて全身を隠す。
震えている。そうだ、どうして。わたしはココにいるのか。
アレの仲間か。わたしは捕まったのか。
だが、アレに捕まったならわたしはこうして存在していないだろう。
「ん〜、大丈夫では無さそうですのでぇ、本当はゆっくりさせてあげたいんですぅ」
バサッと布を取り上げられたわたしは、成す術なく空気に晒される。
ガタガタと震える体を抱きしめながら、どうにか音の発生源を見やる。
「すみませぇん。わたし、あなたを怯えさせたいわけではなくぅ……。説得も無理そうですねぇ?」
音はソレから発せられている様だ。
あぁ、どうして。やはりそれに尽きる。どうして。どうして。
「………もう一度、おやすみなさいですぅ。悪い夢を見ない様におまじない、しておきますねぇ」
ふと、怯えて震えていた体が止まる。強烈に襲い来る眠気に恐怖を覚えながら、額に温もりを感じて。
抗いきれずにまた気を失った。
「これはちょぉっと、骨が折れるですぅ」