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しとめ屋!  作者: 暁
1/1

千夜と沖田

初投稿です!

制作期間がまみまみだったので、ぐだぐだかもしれませんが、暖かい目で見てやってください……

ーー光があれば、闇はある。それらの均衡を保つのが我らの勤めであることを忘れてはいかんーー



時は明治時代。

開国して、色々なことが変わった。

妖怪がたまに出てくる街、妖街。その街の6番通りにひっそりとかまえる1件の家に今日もため息が吹く。

「はぁ〜。今日も仕事がなく喜んだ方がいいのか悲しんだ方がいいのか分からねーなぁ。」

気の抜けたため息をこぼすのはこの小説の主人公、千夜である。

「仕事がないってことは、今日も街が平和ってことやね!平和で何よりやねぇー」

と、魔女の箒のようなものを持った童子は言う。

「キミは仕事があって収入安定で何よりですねー。街が平和だったら、こっちは地獄なんっすよ童子ー……今月、稼いだのは数えるくらいかなぁ?貯金がギリギリ……」

机の上に肘をおき通帳をピラピラとひらつかせながら千夜は言った。

「平和を喜べないなんてー怖いわぁー」

冷ややかな視線を向ける童子。

「1回こっちの立場になろうか?給料なくなればどうなるか知ってるわよね?ってか人の話を聞こうか?この関西人が」

顔は笑っているが笑わない目で睨み返す千夜。

「やだわァそれじゃあ、ここ出て行かんとなァ?あと、聞いてますえ?関東人が」

睨みつけ合いながら会話をしていると、

「両者とも、朝からビリビリ合戦やめてもらいません?2日酔いの頭にはきついっス。」

と、寝坊助起きたて沖田くんがやってきた!

「ったく、人のことも少しは考え……」

『何他人事みたいな顔してるんじゃぁぁぁぼけぇぇぇぇぇ!!』

と、2人のダフルキックを食らった沖田くんは地面に叩きつけられ戦闘不能!いよいよ、戦闘が始まるかと思われたその時

<ピンポーン>

と、チャイムがなった。

「童子ぃこの話はお預けや?また今度な?」

「うちはいつでもええでぇ?お好きにどうぞ?」

「いだ」

ビリビリと睨み合い沖田を踏み台にし千夜は玄関へと向かった。

「ああ、凛。お通?ありがとね!ふんふん……」

千夜は文を手にし、玄関へと帰ってきた。

「行ってくるんやねぇ?はよ行かな怒られんちゃう?」

横たわっている沖田を持ち上げながら、童子は言った。

「わーってるよ。おい、沖田行くぞ」

仕事机へと向かいながら、沖田に制服の上着を投げた。

「行くってどこに……?」

「決まってるだろ?仕事だよ。」




妖街5番通り。千夜達はある廃屋に向かっていた。

棒付きキャンディをくわえながら沖田言った。

「ここって6番通りと全く違いますねぇー。向こうは高層ビルやらショッピングモールやらと、でっけぇー建物があるのにこっちときたら家しかなくないですかぃ?」

「まぁね。てかここ初めてだった?」

たこ焼きを食べ歩きながら振り向きもせずに千夜は語りかけた。

「まだ話してなかったね。」

ーー10年前。6番地もここと同じような風景だった。高層ビルおろか、ほすぴたるぅーすらなかった。そんな時、黄泉の国の女王イザナミ様が"恐扉【きょうと】"を開いてしまった。そのせいで、黄泉の国の中にいた妖怪やら妖やらが出てきてしまった。それらは人間に悪さをし、時には人を殺す時もあった。幕府はそれはいかんと判断し、妖怪ばすたぁーならぬ"妖鬼隊"を作り街の外へ追い出すことが出来た。しかしいずれ、妖怪達は人間への復讐してるくだろうと街に結界をかけ入ってこれなくした。ーー

「それがあの、高層ビル。スカイタワーだよ。そこから結界に使うエネルギーを送り込んでいる。もしあれが破壊されたら、結界の力は一定時間は大丈夫だけど、弱くなって最終的には破壊される。」

千夜はたこ焼きを口へと運んでいた手が止まり、スカイタワーを眺めている。

「へぇ。んじゃあ、妖怪は入ってこれないってことっすね!安心っス。」

沖田は2本目の棒付きキャンディをくわえ、ニコニコと笑っている。

「それがそうじゃないんだよ。確かに妖怪は容易には入ってこれない。だけど、たまに結界の中で時空の歪みが起きるんだ。それはこの世界と黄泉の国を繋ぐ橋みたいなもんだ。そこからひょこって出てくることがあるから、私らがいるんだろ?ってか今までなんのためにいたの?私ら……」

千夜は呆れたように沖田を睨む。

「そーすね。考えたことないっすわ。あ、あとさっき凛とかなんとかって言ってなかったすけ?あれは……」

「馬鹿じゃないの?お前今日で1年だろ……なんでそんなこともわかんねぇんだよォ……」

千夜は危うくたこ焼きを落としそうになった。

「すみませんすみません。物覚え悪くて……で、何ですか??」

「あれは通信烏だよ。私らには必須な仲間だろ?私らの中では凛達をただの道具としか考えてないようだがね。」

「ふぅーん。」

千夜は最後の一口を食べたあと、

「さあ、着いたよ。今日の舞台だな。ん?」

いざ入ろうと足を踏み込んだ時、前に2人の子どもが顔を真っ青にして立っていた。

「何してんだ?ねぇ、何してるの?」

千夜は後ろから2人の方をつついた。

「うぇぇ!い、いや俺はダメだって言ったからな!」

そう言うと、1人は向こうへ走り去ってしまった。

「ああ?!なんだあのくそガキ!」

きぃぃぃ!!と怒る千夜に

「ごめんなさい!言葉遣いが悪くて……」

と横から眼鏡をかけた少年がぺこりと頭を下げていた。

「いや、君が謝っても無駄だからね?」

「いや、もっと優しい言い方あったッスよ。なんで八つ当たりしてんすか。」

「んだとぉ?やんのかゴルァ?!」

「あ、あの……」

ビリビリの2人。

「上等っすよ!」

ビリビリビリの2人。

「あ、あの……」

『んだよォ?!うっせーよ首突っ込むんじゃねーーよォ!』

いきなり息ぴったりに怒鳴られたメガネ君は驚き半泣きだ……。

「あ、ごめ。いやー頭に血が上ってたから……泣かなくても……」

「俺もわりいっス。」

「いや、いいんですけど……」

急にしょぼんとした2人を慰めるメガネ君。

「んで?何か言わなきゃならないことがあるんだよね?」

「は、はい。実は、中に友達がいるんです……」

と、メガネ君は例の廃屋を指さした。

「度胸試しで、少しからかったんだ。そうしたら俺、言ってやるって。ここは鬼が出るって噂だったから柊の葉っぱを持って入っていったんだ。でもいくらたっても、帰ってこなくて玄関付近まで行ったんだ。そしたら……柊の葉っぱが……落ちてたんだ……」

そこまで言い終わると、顔がいっそう真っ青になった。

「それは何時のこと?」

「朝だよ。朝なら明るいし大丈夫って思ったんだ。でも来てみると、暗くて……」

千夜は1枚のメモ用紙を取り出した。そこには、依頼内容が書かれており、"オニシュツボツ"と書かれていた。

「今回のと何か関係してるっすね。しかも鬼って……金棒持ってたりして……」

沖田はヒョイっとメモ用紙を覗き込んで、いたずらっぽく言った。メガネ君はガタガタ震え出した……

「アホか。何怖がらしてんだよ。ったく。でも無関係とは思えないね。」

よっこらせと千夜はメガネ君の前にしゃがみこみ、

「名前聞いてなかったね。なんて言うの?」

優しく語りかけた。メガネ君は泣きやみ、

「孝介。」

と言った。

「よし孝介、ここで待ってろよ?もう1人の……あの子が来ても入るなって言ってね。」

「うん。」

千夜は孝介の頭に手を置いて優しく撫でた。

「よし!ってことで、行きますか。まさか怖がってないよね?」

ふんっと起き上がって沖田に語りかけた。

「当たり前じゃないっすか。何年やってると思っているんすか?」

「1年ね。まだ覚えてないの多すぎくんだよね?」

「それはー昔の話でー。」

語り合う2人の背中が、闇の中に消えた。





「昼時ってのにほんとに暗いね。ほんとっ嫌になっちゃう。」

廃屋の玄関。奥には居間。両側には廊下があり、どっちも闇の彼方へ続いてるようだ。

「双鬼、ここのことについて話したっけ?」

キョロキョロしながら千夜は沖田に聞いた。

「いや、聞いてないっす……」

「ごめんごめん、、じゃあここで起きたこと話すね。まずここで、事件が3件起こったんだ。それが偶然のことに、それら全ての事件は同じ状況だったって。事件内容としては家族皆殺しだったようだよ。どの事件にも壁には爪で引っ掻いたような後があったって。その傷は壁の奥深くまで傷いついていて、人間の仕業とは判断できなかったらしい。」

「じゃあ、なんで今までこんな家ほっといたんっすか?仮にその事件の犯人が鬼だとすると外に出ると危ないじゃないっすか!」

「お前は本当に何も学んでなかったのか?なんのために妖鬼学校に言ったの?」

「俺は実力勝負でしたから!」

ドヤ顔で言ってくる沖田にグーパンチひとつ。

「ったく……いい?妖怪が結界の中に出てくることが出来るのは、陰の気が溜まったり時空が歪んだりして黄泉の国の空気が漂うとこじゃないとダメなの。一瞬でも陽の気や、太陽に当たると灰になってしまうの。だから、鬼は出ることが出来ない。それに、その事件が鬼の仕業って分かったのは3件目の調査だからどうやっても止められなかったのよ。だから私たちが終わらさなくちゃいけないの。」

千夜の目は真剣そのものだった。その目は徐々に青色から赤色へと変わっていった。

「そうっすね。ここで悲劇を食い止めなくちゃ……」

沖田も、茶色から赤色へと変わった。千夜は両肩から腰にかけ前でクロスする黒帯から刀を取りだした。そして、紐を引くと大きく伸びた。沖田も制服の内ポッケから小刀を取りだした。

「確か、孝介が言うには友達が行ったのは2階か……」

ギシギシいう階段をゆっくりと登っていくと、目の前に扉が1つ。そして右に廊下が続き突き当たりの部屋の扉が少し開いていた。

2人はゴクッと唾を飲み込み顔を見合せ、せーので部屋に飛び込んだ。

バン!!大きな音とともに千夜が叫んだ。

「動くな!!貴様を封印するためにここは来た!大人しく…っ!」

勢いよく飛び込んだ畳部屋には人の死体が幾重にも重なり、壁には血が飛び散っていた。

{何奴だ。我の敷地に踏み込む虫けら共がまた我のため命を捧げに来たか……}

押し入れの高さまである巨大な鬼が金棒をかかえ、立っていた。

あまりの大きさに、2人は足がすくんでしまった。

{そなたらも我の礎となれ!}

そう怒鳴ると大きな金棒を振り下げた。2人はスレスレでよけ両サイドにわかれ鬼を取り囲むように配置についた。

(くっ……!早い。目で追うのがやっとてとこか。それになんてパワーだ。あれを喰らえばいくらの私でも……くそ、、)

恐怖と混乱が体を縛り上手く動かない。だけど、技を出さなければならない。と、その時〈た……すけ………て〉そう鬼の方から聞こえた。

「このままじゃまずいっすね。これでもくらえ!

《侍弐の型ー殺到剣ー》」

沖田の周りに幾つもの小刀がはえ、沖田と共に一斉に鬼めがけて飛んだ。

「ちょっと、まって…………」

千夜の声も届かず、沖田は早いスピードで鬼に近ずいた。

ぐさり…刀は刺さったものの、奥まで貫けずそのまま壁にたたきつけられた。

「ぐはっなんて、硬ぇーんだ……あれじゃあ刀が折れちまう……」

「双鬼!一旦引くぞ!」

千夜がそう叫び、2人は素早く外に出た。そして千夜は、扉に結界を貼り一時的に出てこれなくし、別の部屋に入った。

「ハアハア……っクソ。あの鬼、皮膚が固くて刀通りませんっす。どーするっすか……」

「待って。さっきね、聞こえたんだ。男の子の声が……助けてって。もしかしたら、鬼が男の子に憑依してるかもしれない!そうなると、怪我を負わせるわけにはいけないし……」

バタン!!

大きな音があの部屋からしたので2人は振り向くと、鬼がたっていた。

{このぐらいの結界なんぞ、すぐに壊せよう。我はステージ4だ。それにお前らは7人目じゃ。妖鬼隊が我を倒そうとするとみんな我が食ってしまう。つまらんのじゃよ……いつも同じ手を使ってくるからのう。}

おぞましく立っている鬼がゆっくりと近ずいてくる。

「あいつ、7人も仲間を…………ん?」

千夜は何かを思いついた。

「どーしたんっすか?」

「切っても刺しても貫けぬ体。何しても無駄ってことはわかった!」

千夜はドヤ顔で当たり前のこと言った。

「そんなのは誰でも知ってるっすよ!なんなんですか?あんたはァ!」

絶体絶命の事態の時に意味がわからないことを言う千夜に沖田は切れた。

「だからさ!直接は無意味ってことでしょ?」

「だからなんなんっすか?!」

いよいよ、怒りを超えて呆れてきた沖田。

「だ、か、ら!間接的に攻撃をすれば!」

「太陽……?」

はっと気づいたようにぱっと顔を上げたがすぐに戻り、

「でも、ただ単に太陽の光を当てても陰の気に囲まれていて意味がなかったような……」

「へーん。そこは覚えてんじゃんか!そんなもん、飛ばせばいいんでしょうが。」

「…………!」

「でも、飛ばすだけじゃまた出てくるから……」

「柊っす!」

全てを理解した沖田に千夜はニヤリと笑った。

「殺れるでしょ?って字間違えたテヘペロ!んじゃフォローよろ!」

「OKす!」

せーので、飛び出し沖田はそのまま鬼の前に立ち、千夜は高く飛んだ。

「《侍肆の型ー破滅の刃ー》」

そう叫ぶと、起きたの周りから風が巻き上がり屋根を突き破った。

「今っす!」

太陽と重なるように千夜は上に回った。

「くたばれ!《鴉壱の型ー桜の舞ー》」

千夜の周りから桜の花びらとともに風が舞い起こった。それは人々を温めるような優しい光と柔らかな風だった。そして手に持っていた柊の葉っぱの周りに陰の気が好きさいこまれていった。

{ぐっ…………この我が………………!なぜ…………だァァァ!}

「テメーが作った小さな世界にずっと居たからさ!世界ってもんはな!」

そこで一息置いて、着物の袖から1つの錆びているが青く輝いた筒を取りだした。

「思ってるほどちいさくはねぇぇぇ!!!」

そして青く輝いた筒を鬼めがけて投げつけた。

{ぐぁぁぁ!!く、そ…………ぉ!ニ……ン…………ゲン……ドモ……ガァァァ!!}

そして鬼は筒の中へと消え、男の子は元の姿に戻った。




「ふぅー。疲れたぁー。もう死ぬ……無理だよ。ここから歩いて帰るのかよ……タクシー………………」

千夜は筒を掴んだまま玄関へと降りてきた。

「ちょ、こっちの方が重いんっすよ。子供とはいえど、男の子ですからね……」

男の子、俊輔を担いだへとへとの沖田は千夜に体当たりをした。

「お、出口だ。」

玄関の光を目にして千夜は安堵の表情を浮かべた。

「お!孝介!!それに逃げたお前!良かった。ちゃんと言ってくれたんだ!」

孝介ともう1人の男の子が待っていた。

「良かった!お姉ちゃん!お兄ちゃん!無事だったんだ!」

孝介は2人によってわーんと泣いた。

「ちゃんとお友達も帰ってきたよ。もう大丈夫。」

千夜は孝介達をぎゅっと抱いてやった。

その後、俊輔は意識を取り戻し友達3人で帰っていった。

「お〜凛〜お仕事終わったって、旦那に言って。ちゃんと報酬を貰ってけるように!」

肩に飛んできた凛の頭を撫で、そのまま依頼書を括りつけて飛ばした。

「あり、その筒は……」

沖田は凛に付けなかった筒を指さし千夜に言った。

「あ、忘れてたーテヘペロ!また渡すよ。それより帰るぞー」

「え、大丈夫なんっすか?って待ってくださいっすよー」

置いていかれそうになったので早足で千夜に追いつこうとした。



「ほう、そうか封印は成功したのか。ならば良い。報酬は凛から受け取れって言っといてくれ。だがな、いつもなら|封印箱【パンドラのはこ】は凛についてるのにな……まあ、封印せず祓ったか……」お猪口を1回まわして言った。



千夜は青黒く輝く洞窟に入った…………













これを見ているということは、全部読んでくれたんだな!(読んでなかったら悲しい……)あとざます!次回も遅くならないように投稿します!感想良かったら書いてね。

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