3.始生【後】
見た目が明らかに人間のそれに変化した高位森人の赤子の様子に3人は目を見張る。
「人間になった……」
「人間になりましたねぇ……」
「可愛い……」
赤子のふにふにの頬をつつく白兎の少女を横目に、藍髪の青年と金髪の男はこれからのことについて話し合っていた。
「これは放置できねぇだろ」
「誰に拾われるか分かりませんしね……」
男はしばし考えた後、結論をだした。
「公爵家が引き取ろう。無駄に王家との付き合いも良いしな。ただ、王とラティナ、他本当に信用できる数名にしか、この赤子……いや、アインというのか。アインが高位森人であることは伝えない。人間のアルビノの孤児を養子に引き入れたことにしよう。」
「……それがいいでしょう。人間の、と言っても希少なアルビノであることには変わりませんから、我々が利用されぬよう、自分の身を自分で守れるようになるまで、保護するべきです。」
「魔力を抑えたと言っても、この子の魔力は人間のアルビノより多い量を感じる。人間のアルビノも1人しか会ったことはないがな………。
にしても凄いな、この魔道具の幻術は。額の魔石があった場所も、まるでなかったかのように感触がつるつるしてるぞ」
「えっ、ちょっと、触らせてください。クルル、どきなさい。」
「あっ、赤ちゃん〜〜」
少女を押しのけて、青年と男はさわさわと赤子の額を触る。
「──っ。つるつるもちもちさらさらですね。」
「おい、ニコライ、顔が溶けてるぞ。」
途端に普段、真顔か呆れ顔しか浮かべない従者の表情に男は少し引きつつも、赤子の可愛さには同意をした。
「……こいつ、美人だなぁ。睫毛長ぇし。こんな赤ん坊なのに既に鼻筋通った美形だなんて、エルフすげぇな。エルフはエルフでも、ハイエルフは突出して美形らしいしな」
「これは、将来美女確定ですね!!」
「え〜?この子、男の子だよぉ??」
「「えっ?」」
やけに確信めいた少女の発言に男2人は同時に少女を見つめた。
「……見たのか?」
「きゃー、へんたーい」
「見てませんよぅ!!失礼なっ!!
てゆか、赤子相手に人を痴女扱いしないでくださいよっ!」
そう言って頬を膨らませる少女に何故わかったのかを2人が尋ねる。
「治癒魔法の使い手は、そういう体の状態とかに敏感なんですよぉ!!見直しましたぁ??
ご主人様がぁ、奥様が産後すぐだからってぇ、溜まっ」
スパァァァアアン
少女が最後まで言い終わる前に男が強く頭を叩き、
少女はそのまま白目を剥いて昏倒した。
「……帰るぞ。」
「…………そうですね。(すごくどうでもいい情報を仕入れるところだった)」
男達は腕の中で穏やかな寝息をたてる赤子を抱え、そのまま家路についた。
────兎族の少女は、屈指の危険度を誇る森の中に、そのまま。
後半グダグダに……