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童話『赤ずきん』の世界観が完全にファンタジーだった件。

作者: 烏賊月静

  プロローグ



 俺は、とある商店街の端にある小さな本屋の店主をしている。

 別に本が好きなわけでも、本を買いに来る人が好きなわけでもないけれど、とりあえず今はこれしかやることがないから仕方なくやっているのだ。


 この本屋は元々俺の祖父の店で、数年前、亡くなった時に一時的に潰れたことになっていた。

 しかし本の在庫はあるし、亡くなった祖父が変わった人ながらも遺族のみんなから好かれていたこともあり、このまま潰したくないという声が多かった。

 そこで、丁度四十社近くの会社からお祈りされていた就活生の俺に白羽の矢が立ったのだ。

 祖父のことは小さい頃に会ったことを覚えているだけで、他のことは一切思い出せないが、俺はやっと職が決まると快諾した。


 それから俺は本棚の埃を払い、レジ打ちをするだけの簡単な仕事をしていたのだが、一つだけやっていない仕事があった。

 それは毎週日曜の読み聞かせ会だ。


 祖父の仕事を訊いてみると、毎週日曜日に近所の公園で絵本や紙芝居の読み聞かせをしていたようなのだ。

 基本的に子供たちが集まって来て、一つ話を読むだけの会だったと聞いているが、それが好評だったらしく、売り上げにも影響があったようで俺が経営するようになってからは少し売り上げが少なくなっている。


 子供は好きではないが、売り上げに関わるなら仕方がない。

 明日は日曜日だし、道具を借りてやってみるか。


 俺は仕事が終わった後、店の裏にある祖父の作業部屋に入った。

 初めて入ったそこは使われていなかったせいで埃が積もっていたが、紙芝居の道具――子供たちを座らせるブルーシートと座布団、見やすい位置に固定する台と木枠――は手入れがされていて、使い込まれた木枠が良い色をしていた。


 棚を見ればそこには多くの紙芝居がずらりと並んでいる。

 内容は至って普通のものだが、数が多い。

 聞いたことのない話ばかりだ。


 そこで俺は読み聞かせをするならまずは自分も知っている話が良いな、と棚を調べ始めた。

「アンデルセン」「イソップ」「日本昔話」なんて分類分けがされていて、「ギリシア神話」なんてものもあった。

 神話というのは、大人になっても男として少し興味がある。


 大抵はそんな感じの本か紙芝居であったが、部屋の奥にある一番大きな棚に鍵のかかった箱を見つけた。

 紙芝居が入るサイズの箱で、振ってみると紙が数枚入っていることが分かる。

 しかし、開けようとしても鍵が見当たらない。

 試しに蓋を引っ張ってみたが、脆そうな見た目のわりにしっかりしていて開きそうになかった。


 はぁ、と溜息を吐いて棚に戻そうとした時、目測を誤って棚に箱をぶつけてしまった。

 その揺れのせいだろうか、棚の上から「グリム童話全集」と背表紙に書かれた分厚い本が俺の額めがけて降ってきた。


 突然のことだったせいで反応できず、俺はその重たい本の一撃を喰らってしまう。


「痛っ!」


 打ち所が悪かったら危ない威力だと思ったのと、視界が歪むのはほぼ同時だった。

 あれ、これヤバい?

 そう思った時には俺の身体は倒れ始めていて、立て直そうにも力が入らなった。


 俺はそのまま落下を続け、一瞬の浮遊感の後、頭を強打した。

 薄れゆく意識の中、隣に落ちた「グリム童話全集」が「赤ずきん」のページを開いているのが見えた。



  1



 目が覚めて、節々が痛む身体を起こすと、気持ちのいい風が頬を撫でた。

 とても爽やかな気分になる。


 周りを見渡すと、間を開けて立ち並ぶ木々がざわざわと揺れ動いていた。


 一瞬の間を置き、爽やかだったはずの心が一気に曇る。

 ここはどこだ。

 まだ寝起きだというのに俺の脳みそはいきなりフル回転し、身体は反射的に立ち上がった。


 俺の記憶が正しければ、俺は祖父の作業部屋にいたはずだ。

 それなのに俺は今、森らしき場所にいる。

 まったくもって何が起こっているのか理解できない。


 ということは……。


「これは、夢か」


 俺はそう結論付ける。


 こういう、理解不能なことが起こるのは決まって夢の中だ。

 それに、頭を打ってからどうなったのかは分からないが、気を失っているのなら寝ているようなものだろう。

 夢を見たって何ら不思議はない。


 別に何を期待したわけではないが、簡単な答えに辿り着いてしまってがっかりする。

 とは言え何が何だか分からないままだったら、不安や焦りに苛まれていたのだろう。

 どっちにしろ、今のところ良いことはなかったな。


 あったとしたら、舞台が森――それも険しい感じの森ではなく、手入れがされていそうな光に満ちた森だったことだ。

 何と言うか、ここにいるだけで心が洗われていくような気がする。

 厳しい現代社会に生きる俺としては、こうやってストレス発散ができるのは嬉しいことでだ。

 まぁ、就活が終わってからは厳しいとか思ったことはないのだけれど。


 そこで俺は足を一歩前に踏み出した。


 いつまでも陰気になっていてはいけない。

 どうせなら、この夢を楽しんでしまおう。

 せっかく夢だと認識できているのだから、ある程度は思い通りにできるだろうしな。


 いきなりの森で方向なんて分かったものではないが、とにかく前に歩くことで、俺は気持ちも前に向けた。

 さしあたっては、何か小動物や人なんかに出会えたらな、なんてことを思う。


 しかし、その歩みは五分も経たないうちに、中断させられてしまう。

 木々の密度が急に薄くなり、開けたところに大きめの小屋を見つけからだ。


 まだ出会えたのは色鮮やかでいかにも毒のありそうなキノコだけだし、もっと長い時間森の散歩を楽しむつもりであったためにタイミングが悪いようにも感じたが、人に会いたいと願ったとたんにこうなったと考えると都合の良い現象なのかもしれない。

 もう少し融通を効かせてくれても良いものだが。

 見つけてしまったからには行ってみるしかない。



 しかし、この行動もまた、阻まれてしまう。

 小屋を挟んだ反対側の木々の隙間から、大きな体躯の獣が出てきたのだ。



  2



 森から出てきた獣は、一目で普通の種ではないと分かる体長三メートルほどの狼だった。

 普通ではないのは大きさだけではないようで、本来狼は四足歩行であるはずだが、俺が今見ている狼は後ろ脚二本だけで立っている。

 イメージとしては、狼男なんかが近いのではないだろうか。


 そして、その狼は何かを手――前足に引っ掛けて引きずっていた。

 狼で隠れて良く見えないが、きっと引きずられているのは人間だ。

 会いたいと願ったが、なぜこんな形なんだ。

 あんな化け物がいたら近付くことはおろか、しばらくは迂闊にここからも動けなくなってしまうではないか。


 夢ならもう覚めてくれ。

 そう念じた時、狼が引きずっていた人間を放り投げ、小屋のドアをガンガンと叩いた。


 そんなに強く叩いたら壊れてしまうのではないかと思われたが、音のわりに力が入っていないのか、あるいはドアがそれに耐え得るほど頑丈なのか、ドアはびくともせず、ひびが入るようなこともなかった。

 十回ほど叩いた頃だろうか、狼は一歩下がり、大きく息を吸い込んだ。

 俺は咄嗟に『三匹の子豚』のある場面を思い出したが、次の瞬間狼が()いたのは息ではなかった。


「おい、ババァ。出て来い。木こりもいるぞ」


 そう、悪態を()いたのである。

 それも、ガラガラにしゃがれた、低くて恐ろしい声で。


 やけに響くその声は、ビリビリと俺の下っ腹を揺らす。

 俺に向けられた声ではないのだが、それでも十分怖かった。


 ふと目線をずらすと、さっきまで倒れていた男――木こりと思われる――が立ち上がり、どこから取り出したのか斧を持って狼に突っ込んで行くのが見えた。

 なんか叫んじゃっているので狼にはモロバレだ。

 狼は当然のようにそれを受け止め、裏拳で吹き飛ばす。

 数回バウンドして止まった木こりは、さっきまでと同じところに倒れたが、今度はピクリとも動かなくなった。


――まさか、死んだりしていないよな……?


 俺はその疑念を、首を振ってなかったことにする。

 木こりは死んでなんかいない。

 ちょっと疲れて寝ているだけだ。


 さすがに無理のある言い聞かせだが、既に正常な精神状態にないためか、すんなりと受け入れられた。


「おい! 木こりがどうなっても良いのか?」


 狼は、倒れた木こりを一瞥すると、再びドアを叩き始めた。

 さっき「ババァ」と言っていたことから、中にいるであろう老婆に用があるのだと予想できる。


 ここまでの出来事を見て、俺は一つのことに気付いた。

 まだ微妙に証拠がそろっていない、というか一番決定的な証拠がないせいで断定はできないが、今まで出てきた登場人物は、童話『赤ずきん』の登場人物である。

 本来の『赤ずきん』では赤ずきんにカメラが向いているためにお婆さんたちがどういう経過を踏んで登場するのかは書かれていないが、このまま話が続くのなら、お婆さんと赤ずきんは狼に丸呑みにされてしまう。

 それでも木こりが助けるのだが、木こりは未だに動かない。

 色々と大丈夫だろうか。


 依然として出てくる気配のない老婆に、狼が苛立ちをあらわにする。

 ぶつぶつと何か呟いているようだが、離れた場所にいる俺はその声を断片的にしか聞くことができない。

 木こりがどうとか言っているようだが、まさかとどめを刺したりしないよな……?


 その悪い予感が当たったのか、狼は木こりが倒れている場所へと歩いて行く。

 殺してしまえば老婆を脅すことができなくなってしまうと分かっているのか、その歩みは遅く、家の方を気にしながらではあるが、それを妨害できる者がこの場にいないせいで着実に木こりとの距離を詰めてしまっている。


 いくら人質を殺してしまっては意味がないとは言え、狼がいつまでも我慢できるとは思えない。

 木こりが人質として機能するのなら、そろそろ老婆には出てきてほしいものである。

 というか誰でもいいからこの状況を打開できる人、出てきてください。


 そう念じたその時、狼の鼻がピクリと動いたかと思うと、その顔が凶悪な笑みに変わっていった。

 何があったのかは分からないが、とりあえずは木こりから興味が逸れたようで安心する。


 しかし、その安心は狼の視線を辿った先で霧散してしまった。

 そう、物語の主役――赤ずきんがいたのだ。


 見たところ十歳前後の少女は、赤ずきんのイメージ通り、森の中で良く目立つ真っ赤な頭巾を被っていて、その下にはディアンドルと呼ばれるエプロンスカートのような服を着ている。

 こっちには赤が使われておらず、大雑把に言うと青地のワンピースに白いエプロンをしているような感じだ。

 所々にフリルがあしらわれており、何とも可愛らしい作りである。

 手には小さなかごを持っていて、これが童話の通りならその中身を老婆に届けに行くのだろう。

 頭巾で隠れてしまっているが、よく見ると、いわゆる金髪碧眼というやつで、まだ十歳程度でありながら十分に美少女だと言える。


 凶悪な上、鼻息を荒げ始めた狼は、明らかに赤ずきんを狙っている。

 だが、狼は意外なことに上手く家を使って赤ずきんから見えないような位置に身を隠した。

 ちなみに、俺からも全く見えなくなっている。

 正面からでも余裕で殺せるだろうし、人質にするのもそう難しくはないはずだが、狼は奇襲でもするつもりなのだろうか。


 そんなことは何も知らない赤ずきんは、無警戒のまま老婆の家へと向かって行く。

 そして、赤ずきんが玄関の前に辿り着いたその時、見えなかった家の裏から一つの人影が現れた。


 赤ずきんが危ない!

 そう思ったが、その人影の正体はそこにいたはずの狼ではなく、腰が曲がっていて、小さな眼鏡をかけた小柄な老婆だった。

 それを見た赤ずきんが駆けて行く。


 出てきたのが狼ではなかったために俺は一瞬ほっとしてしまったが、すぐにまだ安心はできないこと、むしろ危険だということに気付いた。

 ここまで、この夢の流れは粗方本来の『赤ずきん』――原作とでも言おうか――に沿ってきている。

 色々と順番が入れ替わっているような気もするが、恐らく次は変装した狼に赤ずきんが耳がどうの口がどうのと質問をする場面だろう。

 つまり、今見えている老婆は狼が変装した姿であって、本物はまだ家の中にいるはずだ。

 このままでは赤ずきんが食べられてしまう。


 何もできない自分に苛立ちを覚えながら、俺はじっと身を潜める。

 俺の夢なのだし、飛び出て行ってどうにかできないものだろうか。

 もしかしたらそれで解決したのかもしれないが、俺はどうにもならなかった時の恐怖を考えて、結局出て行くことはできなかった。


 俺がうじうじと悩んでいると、赤ずきんに動きがあった。

 何か悪いものを察知したのか、偽老婆から距離を取ったのだ。


「どうしたんだい?」


 そう訊く偽老婆に赤ずきんは、偽老婆の向こう――家に指をさして問う。


「なぜお婆さんは二人もいるの……?」


 指さす先には本物の老婆が、裁ち鋏を持って立っていた。

 偽老婆はガハハと下品に笑うと、老婆姿のまま凶悪な表情で、


「私が、狼だからさ」


 と答え変装を解いた。


 瞬間、白い煙が炸裂し、その煙の中からそこに現れた狼は、こうなったら力で押し切るとでも言いたげな態度で巨体を屈めて構えた。

 こうなってしまっては赤ずきんと老婆の二人でどうにかすることなどできないのではないかと思われたが、老婆は老婆らしからぬ動きと速度で狼との距離を一気に詰め、赤ずきんに至ってはかごの中に入っていた色とりどりで煌びやかな宝石を投げつけて攻撃していた。

 ただ石を投げるだけなら大したダメージにはならないのかもしれないが、赤ずきんの投げる宝石は着弾した瞬間に小さく爆発するためバカにならない威力を持っている。

 それでいきなり応戦できるなんて、見た目に反して俺なんかよりもずっと勇敢だ。


 距離を詰めた老婆は軽快な足捌きで狼を翻弄し、裁ち鋏による攻撃を試みる。

 当たりはしないが、赤ずきんの投げる宝石で回避行動が制限されるため、見ているより避けるのは大変そうだ。

 このままの流れならすぐに二人が押し切るだろう。

 だが、どう考えてもこのまま狼がやられるとは考え難い。

 まだまだ余力を残しているはずだ。


 それからしばらく――と言っても体感であって実際には三十秒ほど――は一方的な戦闘が続いたが、さすがに老婆の方の体力が続かないようで、一旦距離を取った。

 狼は肩で息をする老婆を追おうとしたが、その間も攻撃の手を緩めなかった赤ずきんに阻まれてしまう。

 すると狼はターゲットを変え、赤ずきんの方へ走って行く。

 当然赤ずきんは宝石で応戦するが、老婆がいたから有効だったその攻撃は全弾避けられ、遂に狼の接近を許してしまう。


 そのタイミングで老婆が再度動き出すが、狼が赤ずきんに一撃入れる方が早かった。

 ただ掌で払っただけの攻撃だったが、近接戦闘は得意でないのか赤ずきんはその一撃さえも避けることができずに吹き飛ばされる。


 追いついた老婆も一対一では狼に敵わず、今度は数秒もかからず平手打ちの餌食となった。


 爪や牙を使ったわけではないので二人とも死んではいないはずだが、ここから見える限りではピクリとも動かなくなっている。

 勝負は決したようだ。

 力量に差がある、というか老婆と子供が三メートルを超える狼に敵うはずがないとは思っていたが、まさか一撃で片付いてしまうとは……。


 俺が狼狽えている間に狼は気を失って動かない二人を抱え、老婆の家に入って行った。



  3



 狼が家のドアを閉めると、場に静寂が流れた。

 森の中を見て回るには静かで良いのかもしれないが、今はざわついた心を紛らわすために、騒音でもささやきでも何でも良いから静かにならないでほしかった。


 少し考え、狼に老婆と赤ずきんが食べられるのは原作通りであることに気付くのだが、だからと言って安心はできない。

 というか目の前で化物にやられた人を見て「こうなることは分かっていたから」と見逃すことなんて誰にもできないのではないだろうか。


 このまま原作通りなら、確かに木こりによって二人は助けられるから気にすることではないのかもしれないし、狼にしても寝ている間に腹に石を詰めて撃退することになる。

 だが、その肝心の木こりが未だに動かない。

 それはもう赤ずきんがその存在に気付いていたか疑問なくらいに。


 狼がとどめを刺していないなら死んでいないと思いたいが、最早俺にそれを信じることはできなかった。

 生きていたとしても動けるかどうかは分からないし、例え予想以上の軽傷だったとしても、もう一度狼と一戦交えるなんてことになってしまったら今度こそ殺されてしまう。


 とにかく、狼が勘付かないことを祈って確認しに行くしかない。


 そこで俺はずっと動けないでいた木陰から出て行き、木こりが倒れている場所に急ぎながらも慎重に走った。


「はぁ……はぁ……はぁ……!!」


 息を潜めるとか、息を殺すとかよく言うが、俺の場合は単に緊張で呼吸が浅くなっているだけで、ただただ苦しいだけだった。


 倒れた木こりの周りには既に大きな血溜まりができていて、そこから立ち昇る血の臭いは鼻血を出したとかそんなのが比べ物にならないくらいに強烈で、思わず鼻と口を押さえてしまうようなものだった。

 浅い呼吸が幸いしたのか吐いてしまうようなことにはならなかったが、涙目必至である。


 望みが薄いことは一目瞭然だが、一応生死を確かめるために肩を揺すって声を掛けてみると、ごろんと転がった頭が出血源だということが分かった。


 ――そして、その顔が苦悶に歪んだ表情のまま固定されているのも確認できた。


「――――っ!!」


 俺はその顔を見て、思わず跳び退いてしまう。

 完全に不意打ちだった。

 木こりには悪いが、もう見ようとも触れようとも思えない。

 無造作に転がされた状態のまま放置することになってしまうが、俺はそれを見なかったことにした。


 一旦元いた場所に戻り、俺は考える。

 幸いなことに、あれだけ動いても狼から何かされるということはなかった。

 つまり狼は俺に気付いていないということだろう。

 思い返せば俺より遠くにいた赤ずきんの臭いは察知できるのに、俺のことは全く気にも留めていなかった。

 気付いてすらいないのか、気にしていないだけなのか、どちらかだとしてなぜそうなっているのか、分からないことは多いが今はそれを利用するしかない。


 とりあえずは安全だと分かると、何とも不思議なことに何でもやれそうな気がしてくる。

 木こり亡き今、赤ずきんたちを救えるのは俺だけだ。

 役者は変わるが、俺に代役をやれということだろう。

 原作通り、寝ているところに仕掛けてやろうじゃないか。


 俺はそう決心すると気付かれないのを良いことに家のすぐ近くまで走って行き、窓から中を覗いた。

 二人は既に食べられてしまっているのか、どこにも見当たらない。

 が、狼はすぐそこにおり、膨らんだ腹を上に向けて眠っていた。


 正直なところ眠っていても十分怖い。

 だが、ここまで来たら引き返せない。

 危なくなってもこれは夢だ。

 実際には全く危なくないはずだし、どうにでもできるはずだ。


 そんな言葉で自分を鼓舞し、俺はドアを開ける。

 外からでは分からなかったが、狼は大きないびきをかいている。

 当分起きそうにはないが、自分のいびきで起きたりなんてことがないように祈る。


 ふと、腹の中にいるならそこから破って出てこれないのだろうか、とか、そもそもなんで狼のくせに丸呑みにしているんだ、と疑問が湧いてきたが、今は一旦気にしないでおくことにした。


 どうでも良いことを思考の外に追いやって、どう腹を掻っ捌いてやろうかと考えていると、狼が寝ている横に老婆が使っていた裁ち鋏が落ちているのを見つけた。

 俺はそれを拾い、一度深呼吸をしてから狼に向き直る。

 上手く切れるのか、狼が起きないか、中にいる人を傷つけたりはしないか、など不安は多い。

 だが、俺はそれらを振り切って、遂に狼の腹に鋏を突き立てた。


 固そうな見た目に反して、鋏はぐにゅと沈み込む。

 あまり気持ちの良い感触ではないが、勢いに任せて押し込むと、ゴムボールに針を刺した時のように穴が開いた。

 そうなってしまえば後は簡単だ。

 その穴から鋏を入れ、紙や布を切るのと同じようにチョキチョキと切っていく。

 大量の毛と分厚い筋肉のせいで切りにくいことこの上ないが、それでも閊えることなく切り開けるくらいに老婆の裁ち鋏は鋭い切れ味を持っていた。


 どうにか中に入っていた二人ごと切るようなことにはならなかったようで、切り開かれた腹から血や胃液と一緒ににゅるりと滑り出てきた赤ずきんと老婆は、どちらにも目立った外傷は見当たらなかった。

 気を失っていても呼吸や拍動は止まっていないことから危険な状態ではないとは思うのだが、こういう時はどうするのが正解なのだろうか。

 とりあえず揺すってみると、二人はゆっくりと目を開けた。


「ぅ……こ、ここは……」


 先に言葉を発したのは赤ずきんの方で、さっきまで外にいたはずなのに室内にいることを不思議に思っているのか、しきりに部屋の中を見渡して状況確認をしているようだった。

 そして、腹を切り開かれた狼と裁ち鋏を持ったままの俺を見て固まった。

 なんとなく予想していたリアクションの一つではあるのだが、想定していても実際にやられてみると中々堪えるものがある。

 俺は騒がれる前に事情を説明することにした。


 二人が動きを見せないのを良いことに、狼に食べられていたこと、木こりが死んだこと、開いた腹に石を詰めたいことを早口気味で話すと、赤ずきんが「早い方が良い」と言ってかごの中の宝石を使わせてくれた。

 なんでも魔法の石なのだそうで、爆発させる以外にも色々な使い方があると言う。

 俺としてはそこらに転がっている石で良かったのだが、攻撃力が増えるならそれを拒む理由はない。

 ありがたく使わせてもらおう。


 赤ずきんと俺は小さいかごのどこに詰まっていたのか、無尽蔵に出てくる魔法の石を狼の腹に詰め、それを老婆が自慢の裁縫スキルでさっと縫い留めた。

 穴が開いていないことを確認し、今度は赤ずきんが何かをボソボソと何事かを呟いた。

 すると、狼の分厚い肉を透過するほどに強く、狼の腹の中が青く発光し出す。


「おわっ! 何だこれ」


 急なことに驚き、俺は情けない声を出してしまう。

 こんな小さな子の前で恥ずかしい。

 なんて思っていたが、赤ずきんはというと俺の悲鳴なんてものは全く気にせず、だがそれでいて疑問には答えてくれた。


「これだけ爆睡していれば起きることはないだろうと思うけど、念のため催眠魔法を重ねておいたの。これでもう安心ね」


 魔法。

 薄々勘付いてはいたが、やはり赤ずきんは魔法というものが使えるらしい。

 爆発する石や、底なしのかごは魔法による事象だったということだ。

 若干理解が追いついてこないが、そこは夢だからと割り切って無視することにした。


「それで、これをどうするつもりなんじゃ……?」


 あとはこれを川に沈めれば終わりだと解決の兆しが見えてきた時、老婆が訝しげに口を開いた。

 どうするも何も川に沈めるだけだが、言われてみるとこの巨大な体躯をした狼――それも腹の中に石を詰めてしまっている――を川までどう運ぶのかとか、そもそもこの近くに皮はあるのかといった問題がいくつかあった。


「……ええと、これを、どこか水場に沈めるんです。そうすれば腹に詰めた石の重みで上がっては来られないでしょうから、生死はともかく、しばらくは地上に戻ってこれなくなるはずです」


 そうやって問題が出てくると途端に弱気になってしまうもので、この際川じゃなくても水があればどこでも良さそうだとか、水に沈めたくらいじゃ死ななかったらなんて考えが浮かんでくる。

 そのせいで少し口ごもってしまったのがいけなかったのか、老婆はいっそう俺のことを怪しむような眼で見つめてくるが、最終的に俺が嘘を言っていないと判断してくれたのか、協力してくれることになった。


「水場だったね、この巨体が入るような水場って言ったら近くの川くらいじゃろ。そう遠くないから、三人で運ぶぞ」


 いざ協力してくれるとなると、その存在はとても大きく、この場でただ一人周辺の地理情報に明るいというだけでも助かることなのに、恐らく俺よりも力が強い老婆は、狼を運ぶのにも大いに役立った。


 件の川は老婆が言っていた通りにさほど遠くはなく、直線距離で言ったら老婆の家から三百メートル前後であった。

 それでも狼を運んで歩くのにはしんどい距離で、数字上では大した距離ではないように感じても体感的には疲労困憊といった感じだった。


 そんなこんなで息を切らし、腕を振るわせながらも何とか辿り着いた川は、某森と言いつつも村が舞台の喋る動物たちと暮らすゲームのような見た目をしていて、見た目通りにその水深は軽く五メートルは超えていそうだった。

 ここまでくればあとは狼をこの川に放り込むだけ。

 一緒に落ちてしまわないように気を付けてさえいればなんてことない作業だ。


「あとは落とすだけね。重い荷物運びもこれで終わりよ!」

「やっと安心して眠れるわい」


 二人ももう終わった気になっているようで、各々伸びをしたりして完全に気を抜いている。


 そんな様子を見て俺も、これで終わったんだなと安心した。

 だが、安心しているはずなのに、どこか不安が拭いきれないような感覚があった。

 まだ狼をやっつけたわけではないから完全に安心はできないというのはあるだろうが、そうではない、もっと別の理由があるような気がしてならない。


「さ、そろそろ川に落として帰りま――」


 だからこうやって二人を急かそうとしたのだが、その判断をした時には既に遅かった。


――グルァ!!


 俺の言葉を遮るように響いた熊のような咆哮は、紛れもなくすぐそばに転がしておいた狼から発せられたものだった。


「――!! なんで!? 眠らせてたはずなのに!」


 狼が目を覚ましたことを知らせるその咆哮は、魔法を使ってまで眠らせていた赤ずきんに少なくない衝撃を与えたようで、老婆がすぐに距離を取ったのとは対極的に赤ずきんはその場から動けないでいた。

 だが、動けないのは狼も同じようで、足を踏み出しては腹の重みにバランスを崩しその巨体を地面に打ち付けていた。


 その様子を見て老婆が赤ずきんに一旦距離を取るように指示を出し、その間に俺は狼の攻撃が届かないように木の陰に隠れた。

 この世界の木こりならどうにかできたのかもしれないが、生憎俺には戦闘能力なんてものはない。

 せめて武器があれば何かしら行動を起こすだけの勇気を得られたのかもしれないが、武器として機能しそうなものは周辺には落ちていなかった。


 自分の無力さに唇をかみながらも、俺は狼から目を逸らすまいと怖いのを必死で押し込んでその動きを凝視した。

 だが、狼は動きという動きは見せず、ただじっと何かを待っているようだった。

 それを好機と見たのか、老婆は手に裁ち鋏を、赤ずきんはかごから魔法の石を取り出して先制攻撃を行った。


 しかし、二人がある程度狼に接近したその時、狼は息を大きく吸い込むと、さっきの咆哮とは比べ物にならない音量の爆音を発した。


――――!!


 咄嗟に耳を塞いだが、キーンと耳鳴りがして音が聞こえなくなり、思わず閉じてしまっていた目を開けると、目の前には音による衝撃で飛ばされた老婆と赤ずきんの姿があった。


「――っ! 大丈夫、じゃないよな……!」


 揺れる視界と耳鳴りのせいで詳しい状況は分からなかったが、吹き飛ばされた二人は気を失っているように見えた。

 あれだけの衝撃を近距離で受けたらしょうがないことだが、これでは狼に対する戦力がなくなってしまう。


 どうにかできないのかと思考を巡らせるが、俺が答えに辿り着くより早く、狼が倒れている二人に狙いを付けた。

 焦りと恐怖でまともな思考ができなくなり、同じような考えが頭の中を高速で回る。

 呼吸は浅く不規則になり、身体中から冷や汗が噴き出た。


 こうなったら、逃げるしか……。

 そこで、逃げ切れるかは定かではないが、狼が倒れた二人に興味を示している内に俺だけなら逃げられるのではないかという考えに至る。

 未だに感覚は戻ってきていないし、脚も震えて上手く動かない。

 だが、時間さえあれば……!


 そう思って俺は後ろに一歩踏み出す。

 すると、俺の脚に何かが当たった。


 何かと思って確認すると、それは赤ずきんが持っていた底なしのかごだった。


 この中には、いくら取り出してもなくならないのではと思うくらいに魔法の石が入っている。

 さっきもまだ取り出していたし、これなら俺も扱えるかもしれない。


 俺は衝動的にその中へと手を突っ込み、手に当たるものを掴んだ。

 それは手触りからして完全に木であり、絶対に魔法の石ではなかったが、とりあえず掴んだものは取り出すことにして、一気に引っ張り出す。

 出て来たものは――斧だった。

 柄が木製で先に金属でできた重たい刃が付いている一般的な斧。


 目当ての魔法の石ではないため、一旦放っておいて、再度かごの中に手を入れる。

 だが、いくらかごの中を探しても俺の求める魔法の石は見当たらず、それどころか斧を取り出した以降、かごの中には何も入っていないのではないかと疑うほどに何も手には当たらなかった。


 これでは逃げるのにも遅れてしまう。

 幸い、まだ狼は腹が重いのに慣れていないようで、ほとんど動けていない。

 やけくそになってしまうが、唯一取り出せた斧で、何とかしてやろう。


 俺は震える手で何とか斧の柄を握り、震えを抑えるために何事かを叫びながら木陰から飛び出す。

 棒状のものを両手で持って振り回すなんて動きは、学生時代に箒とペットボトルキャップで野球のような何かをした時以来で、しかも斧というものには今初めて触った。

 見た目通りというか予想以上というか、先の重たいそれを、ふらつきながらも無我夢中で横なぎにするように振り抜いたのだ。


 そんなことをすれば、当然のように斧は冷や汗で濡れた良く滑る俺の手から離れ、どこかへと飛んでいく。

 俺はその反動でバランスを崩し、盛大に転ぶ。

 叫びながら突撃したせいで狼には完全にばれていたようで、倒れながら視界の端に迎撃体勢の狼と狼に向かって飛んでいく斧が映った。


 倒れていては殺される! と俺はすぐに顔を上げる。

 するとどんな奇跡が起きたのか、そこには喉元に斧を食い込ませ、後方――川の方に傾いていく狼の姿があった。


 斧が飛んだから? 俺が転んだから? 狼もバランスを崩した?

 考えられる要因はいくつもあった。

 あるいはそのいくつか、もしかしたら全部が重なったお陰かもしれないが、とにかく俺は狼を川に沈めることに成功したのだった。


 刹那、歓喜と驚愕と安堵と、その他色んな感情がごちゃ混ぜになったような気持ちになり、俺は溢れ出る涙が落ち着くまでずっと倒れたままの体勢でいた。



  4



 どれくらいそのままの状態でいたのかは定かではないが、俺が起き上がった時には老婆と赤ずきんは既に意識を取り戻していた。

 特に鼓膜が破れたとかそういうこともなかったようで、本当に良かったと思う。


「ありがとう。本当に、本当に助かったわ」

「今度こそ、これでやっと安心して眠れるわい。お礼に、うちで何か祝いでもしようか」


 狼という敵を排除し、俺たちは疲労感と達成感に包まれながら老婆の家へと戻った。

 今度は荷物がなかったため、距離相応の楽な移動だった。



 家の前に着くなり、早く中に入れば良いのに赤ずきんが口を開いた。


「ねぇ、これ、記念に私からプレゼント」


 そう言って差し出された手に乗っていたのは、俺が取り出せないと嘆いていた魔法の石だった。

 それも、今までに見た魔法の石と違って、歪な形であるがそれ故に様々な色に光って見えるという何とも幻想的で綺麗な宝石で、後ろが透けて見えるほどの透明感も持ち合わせていた。


 咄嗟にこんなもの貰って良いのかと訊きそうになったが、俺はそれを喉から出る寸前で堪えて、「ありがとう」と一言お礼を言ってそれを受け取った。

 すると、


「プレゼントか、ええのぉ。ワシからもこれをやろう」


 老婆も何かを手に握り、俺に差し出して来た。

 その手の上に握っていたのは、切れ味抜群の裁ち鋏だった。


「これって……」


 狼を切りつけていたようなものなのではと老婆のセンスを疑ったが、


「大丈夫じゃ。実はあと十本ほど持っとるんでな。お前さんが一本持って行ったところでどうともならんよ」


 老婆は俺の心配とは見当違いなところで俺の心配を払ってくれた。


 そこまで言われると貰わないわけにもいかないので、俺は老婆にも「ありがとう」と一言お礼を言ってそれを受け取った。


「さて、中に入るかの」


 俺がプレゼントを受け取ったのを確認した老婆のその言葉で、俺たちは老婆の家の中に入る。

 老婆の家は玄関が段差になっている形体の家なのだが、何と鈍くさいことか、俺はその段差に躓いて転んでしまった。

 しかも、その時にどこかに頭をぶつけたみたいで、視界は二重にぼやけ、意識は混濁した。


 あぁ、これどこかで似たようなことあったな……。

 そんなことを思い出した時には、俺はもう意識を手放していた。



  エピローグ



 目を覚ますと、そこは見知らぬ天井であった――が、さっきまでいたはずの老婆の家の天井でもなかった。

 ではどこの天井なのかと身体を起こして周りを見回すと、そこは確かに俺が知っている部屋だった。

 祖父が遺した本屋の作業部屋。

 俺は確かここで読み聞かせ用の紙芝居を探している途中だったはずだ。


「そんで……頭に何かが当たって……」


 段々と何があったのかを思い出し、傍らを見るとそこには『グリム童話全集』が裏表紙をこちらに向けて落ちていた。

 その他にも、鍵のかかった箱やら何やらが落ちていたので、それらを一旦元あった場所に戻す。


 ひとまず部屋の片付けを終え、一息吐くと、作業台の上に光る何かが乗っているのを見つけた。

 近付いて見てみると、それは夢の中で赤ずきんから貰った魔法の石と老婆から貰った裁ち鋏だった。


 俺は困惑しながらもその二つを手に取る。

 魔法の石は相変わらず綺麗だったが、裁ち鋏の方は狼との戦闘のせいか先が曲がってしまっていた。

 こんなものを裁断に使ったら意図していないところまで切れてしまいそうだが……。


……曲がっている?


 俺はその形状を見てあることを閃く。

 そして、それを確認するべく鍵のかかった箱を再び取り出し、そのカギ穴に鋏を突っ込んで捻った。

 すると、いくらこじ開けようとしても開かなかった箱が、簡単にその中身を見せた。


 中に入っていたのは、真っ白な厚紙と、絵の具や色鉛筆、マーカーなどの筆記用具、そして――


「――なるほど。そういうことだったのか……!」


 まだ小さかった頃の記憶を微かに思い出した俺は時計を見て時刻を確認する。

 午前三時過ぎ。

 まだ読み聞かせには間に合う。


 それから俺は一心不乱に絵を描いた。

 絵心がないから上手には描けないが、伝わるような絵が描けるまで何度も描き直した。

 祖父がやっていたように。

 普通とは違う物語を描けるように――。



 結果的に俺の開いた初めての読み聞かせは、失敗に終わった。

 どう失敗したのかと言うと苦情が殺到したのだが、対象が小さい子なのに人が血を流して死ぬような演出を入れたのだからそれは仕方のないことだろう。

 絵も微妙に分かり辛かったらっしい。


 まだまだ改善できる点は多そうだ。


 だが、仕方なくやっていたこの仕事をこれからは楽しくできると思うと心が軽くなる。

 今は未熟も未熟の新米だが、いつかは祖父と同じくらい、いや、それより良い読み聞かせができるようになろう。


 そのためにもまずは絵の描き方から、物語の作り方から、文章の読み方から、いや、そん

な勉強よりも先に――普通でない物語の中に浸っていようか。


童話『赤ずきん』は時代によって異なるストーリーや登場人物が描かれています。

今作では木こりとした人物が猟師であったり、結末がバッドエンドだったり、その差異は多岐にわたります。

もしかしたら、知っている展開とは違うものがベースになっているかもしれませんが、それは仕方のないことであると理解していただけたらと思います。


また、評価や感想もよろしくお願いします。

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