貴方が居るだけで良かった
ミリアside
私にとってのカンナ姉さまは『光』だった。
私は産まれたときから周りの羨望や嫉妬や悪意に気づいていた。
それをカンナ姉さまは期待とか好意的に解釈していたみたいだけど...カンナ姉さまは優しすぎる…そこが良いところではあるんだけどね…だから私も姉さまに合わせて何も知らないふりをする。
たまに本性が出て暴走するけど…姉さまは笑って許してくれる。
やはり優しい、私が年上の悪ガキ共にいじめられそうになったときも少しボロボロになりながら「大丈夫?」って言って守ってくれた。
変態に連れ去られそうになったときも、親が居なくて少し寂しかったときもいつでも傍に居てくれた…だから私が勇者になったときには姉さまにもなってもらうつもりだった。
姉さまは戦わなくてもいい、姉さまが隣に居るだけで私は強くなれる。ずっと一緒に居るためにそうしてもらおうとした矢先だった。
姉さまには魔法適性が無いらしい。
それを聞いたときの民衆に殺意が湧いた、手のひらを返し、勝手に期待し、勝手に失望して嘲笑する。
そんな民衆に殺意を振り撒いていたそのときだった。
姉さまが神殿から逃げるように走り出したのだった。子供とは思えないスピードで居なくなる姉さま。
何で?姉さま私を置いていかないで、私は姉さまに魔法適性が無くても何も変わらない!こんなクズ共とは違う!!そんな言葉は届かなかった。
その後、かなりの規模で大捜索が行われた、幸い目撃証言もあったので場所の特定はでき、両親と一緒に行ってみたらそこには
大量の血と姉が着ていた服の一部があった。
魔物に襲われたのだろう、爪で破かれていて、その血の量からも人に助けて貰わない限りは助からないだろうと言われた。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
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嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だァ!
ウソダ
「姉さま、剣術の稽古ですよ!今日は負けません!」
「今日はお母さんがシチューを作ってくれるらしいですよ!!」
「姉さま、大好きです!」
「え?私もって...嬉しいです!」
「姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま
姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま
姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま
姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま
姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま
姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま
姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま
姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま
姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま
姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま姉さま」
「ずっと一緒ですからね!姉さま!」
本当はわかってますよ、姉さまが居ないことなんか。でも、今だけは気づかないふりをさせてください。
貴方は私の『光』なんですから。
『光』が無いと何もできない弱い私を許してください…姉さま...
完全に死んだことにされたカンナ。次くらいで妹の適性が分かります。