恋情の応え方
「それでは!優勝したカムイ選手の入場です!」
司会者の女の人が声を張り上げる、その言葉を聞き会場の熱気は最高潮に達した。
「大会本部からは優勝のトロフィーと、賞金が送られます!」
おお、トロフィーはともかく賞金は素直に嬉しい。いつまでもリーンに養われてる訳にはいかないからね。
「では、優勝したカムイ選手から一言!」
いきなり話求めてきたなこの人、何を言おうか考えてなかった。
「えっと…みんな凄く強くて...でも勝てて嬉しかったです…」
うわぁ...何か我ながら無難すぎなコメントだな、もっと攻めた方がよかったかな?
「そうですか…ところで何故仮面を?顔が見えてましたけど、凄く可愛かったですよね?」
あ、やべ…こんなことまで聞かれるのか、どうしよっかな。
「あまり詮索しないで貰えると嬉しいです...」
何か私、コミ障みたいな喋り方だな。実はもっと社交的なんだよ!いろいろ聞かれるから緊張してるだけで!
「そうですか…では、質問はこのぐらいで、興奮する試合を見せてくれたカムイ選手に拍手を!」
司会者の人がそう言うと、会場中から溢れんばかりの拍手が降り注いできた。
今まで落ちこぼれだと感じてきたけど、やっと沢山の人に認めてもらえた。
この日のことを私は生涯忘れないだろう。
「改めまして、カムイ選手!おめでとうございます!」
私は会場の人々に礼をした後に会場を出た。
私の目からは何故か汗が出ていた。
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「お待たせ!二人とも!」
「うん、おめでとうカンナ」
「おめでとうございます!」
「ありがとう!」
「じゃあ、無事に武闘大会も終わったことだし、家に帰ってお祝いしようか、もちろんツキミちゃんもね」
「はい!ありがとうございます!」
「やったー!楽しみー!」
「食材を買っていこう、何が食べたい?」
「お肉ー!」
「私もお肉がいいです!」
「ツキミちゃん、牛肉の串焼き食べてなかった?」
「別腹です!」
「ふふ、二人とも元気だね」
「ご馳走だからね!」
「ご馳走ですから!」
ああ...こういうやり取りがずっと続いて欲しい。
リーンが母や姉のように見守ってくれて、ツキミちゃんは一緒に盛り上がって、二人が居ると楽しいから、まだリーンとの関係は変えられない。
でも、いつかはちゃんと答えをだそう。
後悔しないように、この人達と歩んでいこう。
「ん?カンナ、どうしたんだい?そんな難しい顔して」
「何にもないよ!ちょっと晩御飯のこと考えてただけ!」
「そう?何かあったらボクに言いなよ?」
「ありがとう、リーン」
もう少しだけ、もう少しだけ、甘えさせて欲しい。この優しさに、この愛しさに。その感情に応えるまでは。




