関係の変化
「またこの天井か...」
真っ白な医務室の天井が見えた。この天井を見るのも何度目だろうか。私、気絶しすぎだなこれ。
「起きたかい?」
リーンは先に起きてたみたいだ。回復速すぎない...?
「ボクは君の妹との試合では、全くダメージ受けてないからね」
そういえばそうか、私は泥臭い試合しかしてないからね。
「もう少しで表彰が始まるから行こうか」
そうだ、優勝したんだ。私が、落ちこぼれと自分で思っていた、私が。
「うぅっ...ぐすっ...」
「どうしたんだい!?どこか痛む!?あわわわ...どうしよ...どうしよ...」
「ぐすっ...悲しいわけでも痛いわけでもないの...嬉しくて、嬉しくて、仕方ないんだ」
そう言うと、リーンが目を見開く。驚いたようなその反応は段々喜色を帯びていき、笑顔になった。
「そっか、カンナ良かったね、本当に良かった...」
「うん!」
「そうだ、お祝いもしなきゃね」
「え、いいの?」
「うん、じゃあまずは前払いで」
「ん?どういう...」
そう言ってリーンは私に近づいて、顎を持ち上げ、唇を少しだけ触れさせるようなキスをした。
「!?」
「んっ...(君が起きているときにする)キスはこれがはじめてだね」
「ちょっ!?リーン、何を...」
「だって、言ってくれたじゃないか、ボクのことが好きだって」
「だ、だってあれは友達としてって意味で言ったのかと...」
「え〜、本当に〜?少なくともボクは君のことは友達としても、一人の恋愛対象としても見てるよ。それとも、こんなことされるの嫌だった…?」
ズルい、そんな顔されたら嫌だなんて言えない、元から嫌じゃないけど、何か恥ずかしい。というかいつからリーンは私のことをそんなふうに見てたの?
「はじめから、素敵な女の子だなとは思ってたよ。
もう少し時間を置いてから告白しようとは思っていたんだけど、何か最近危なっかしい感じがするから早めに言って、ボクのそばに居てもらおうかなって」
ド直球過ぎません?リーンさん。いろいろ情報が多すぎて理解が追いつかない、とりあえずほ、保留しよう!
「今言われてもわかんないよ…リーンはずっと友達だと思ってたから...」
「ふーん?そっかー、でもカンナも女の子のほうが好きだよね?」
何故バレてる、どこにバレる要素があった。
「だって、ボクと一緒にお風呂に入ったとき、凄い見てきてたから、興味あるのかなって」
ギクッ、バレてるよ...そうですよ!ガン見してましたよぉ!しょうがないじゃん!めっちゃ綺麗だったし!
「それに、一緒に寝てるときも、横でゴソゴソ...」
「うわぁぁああああん!リーンの馬鹿ぁあぁあ!」
これは許せない、そこまでわかっていたとは。絶対寝てると思ってたのに!
「まあ、ボクも答えを急かすつもりは無いからね、カンナが出した答えなら、何でも受け入れるし」
結局待ってもらった、そんなの、今答え出せるわけ無いからね。しょうがない、しょうがない。
「あ、カンナさん起きましたか」
ツキミちゃんが医務室に入ってきた、飲み物を片手に持っているところを見ると、わざわざ持ってきてくれたようだ。
「これ、果実水です、良ければどうぞ」
「ありがとうね、やっぱりツキミちゃんは気が利くなぁ…」
「むっ...」
「いやぁ、それほどでも...」
リーンが膨れっ面になっているが見ないことにする、ツキミちゃんにヤキモチ妬いてるところなんて見てない見てない。
「もうすぐ表彰も始まる見たいだから、仮面つけないと」
「そうだね、ツキミちゃんとの試合でバッチリ顔バレしたけどね…」
「す、すいません...壊してしまって...」
「別に大丈夫、大丈夫、リーンが直してくれたし」
「えっへん」
「むっ...むむむ...」
今度は何故かツキミちゃんが膨れっ面になった。何だろう、今の会話で何があったんだ。
「じゃあ私はそろそろ表彰されてくるね」
もう少し三人で話していたかったが、もう時間のようだ。行かなくては。
「ああ、行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃいです!」
二人はそう返してくれる、あぁ...なんかいいな、こういうの。まだリーンと恋人になるとかはわかんないけど、この二人とは一緒にいたいと、そう思う。
「うん!」
私はそう返し、会場を目指した。
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「負けませんから...」
「ボクもこれは譲れないね、というかまだ恋愛感情かどうかもわかってないだろう?君は」
「そ、そうですけど...リーンさんの隣にずっと居たいという気持ちに嘘はありません!」
「じゃあライバルだね、ボク達」
「はい!ライバルです!」
ツキミちゃんは可愛いけど、カンナの隣を渡すほどボクは甘くない。
だけど同時に、ツキミちゃんとはライバルとして、友達として、付き合っていきたいとボクは思った。
「これからもよろしくね」
「はい!よろしくです!」
これからどうなるか楽しみだ、願わくば、どんな形でもカンナの隣にいたいと切に願った。




