最愛の人
「おーいカンナー、ツキミちゃーん」
「あ、リーンさん」
「あ、ツキミちゃん怪我は大丈夫かい?」
「はい、私は獣人なので...」
「そっか、でも無理しないようにね」
「はい!ありがとうございます!」
リーンさんが来てくれました、カンナさんを起こさないと…まるで新妻のようですね…少し照れます。
「ツキミちゃん」
「ひゃい!」
リーンさんが声をかけてきました、な、何か怖いです!目が笑ってません!
「カンナのことを好きになるのはいいけど、一番はボクだからね…ツキミちゃんは友達だから一番以外なら許してあげるよ」
み、見透かされてます!見透かされてます!でもリーンさんの言うことを少し認められない自分がいます。
「い、一番は私です!カンナさんは最高のライバルで、い、今は好きとかわからないですけど...ここは譲れません!」
「ふふん、好きなだけ言うがいいさ、ボクが一番なことは変わらないけどね!」
「んぅ...リーン?」
あ、カンナさんが起きてしまいました、まぁ、はじめからリーンさんが来たら起こすつもりだったので、いいんですけど...何か釈然としません。
「怪我は大丈夫かい?カンナ」
「大丈夫だよ、ちょっと休めばあと一回くらいなら戦えそうだし」
「本当に人間ですか?カンナさん...」
「失礼な」
カンナさんが元気そうでなによりですけど…無茶は良くありませんからね。
「もうすぐ闘技場の修繕が終わりそうだからもし、試合を見に来るなら…」
「行く!」
ぐぬぬ...カンナさんは戦うことと、リーンさんが大好きなんですねえ…大好きなリーンさんが試合をするとなればこんな顔にもなりますか。
「カンナが見に来るなら百人力だよ、頑張るね」
「うん、でも相手は…」
「ボクは本気でやる、そして完膚なきまでに倒す」
「そうだね…頑張って…」
妹さんが相手ですからね…複雑な想いでしょうね、ですがリーンさんも負けられないだろう、最愛の人が見守っているのだ、情けないところは見せられない。
「そういえば」
「どうしたの?」
「この武闘大会が終わったら家族に話をしに行こうと思うんだけど…」
「終わったらボクがミリアちゃんに聞いてくるよ、知り合いになったところだから」
「え!?いいの!?自分で行くのは少し怖いから頼んでもいいかな?」
「全然平気だよ」
「あのさ、ミリアちゃん...私のこと何か言ってなかった?」
「言̀っ̀て̀な̀か̀っ̀た̀よ̀」
「そっかぁ...」
カンナさんが落ち込んでいます、けれど、何故でしょう?何故リーンさんは嘘̀を̀つ̀い̀た̀ん̀で̀し̀ょ̀う̀。まぁここで私が指摘するのも何か嫌な感じです。リーンさんも何かワケありなのでしょう。
「まぁひとまず試合を終わらせないとね…」
「頑張ってね、リーン!」
「うん、カンナの為に頑張るよ...」
「ん?リーン何か言った?」
「何も言ってないよ?」
「今返事のあとに...」
ガチャっとドアが開く音がする。試合の関係者の人だ。
「リーン様、ここにおられましたか。試合が始まります、準備の方よろしくお願いします」
「ああ、わかったよ」
私には聞こえていた、リーンさんの言葉を、悲しそうな、確かな怒りがこもったその言葉を。
意味までは理解出来なかったが、リーンさんの本質を垣間見た気がした。




