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4 それだけは


不思議なのは、レイメ。


どういう訳か、こちらの人がしゃべる言葉は分からなかったが、レイメと呼ばれている一風変わった動物たちの言葉は分かる。


これが非常にありがたい。


口が達者なものもいれば、片言でも頻繁におしゃべりするもの、寡黙なものもいる。

薬園の人々の会話と、それに混じるレイメの声を比べながらヒアリングを続けたせいか、書くのはともかく会話は上達が早かったと思う。


彼らは生身の動物とは違うし、愛玩動物でもない。

レイメというものは相棒やその家族以外は触らないものらしく、好意的に話しかけてくれる事はあっても身を寄せてくる事はない。また、こちらから触れようとする事は失礼にあたると教えられているので手は出さない。


「いいなぁ…」

動物は基本的に歓迎しているため微妙に欲求不満なフェイリーンは、歩く先に猫のようなレイメと共に働くマァチを見つけて手を振った。


「マァチさん、夕方は雨降ります!レイメ言ってます!」

「そうかい、じゃあ雨避けの布張りを手伝っておくれ」

「はい」

『フェイリーン、ここ掘ってよ。ここ』

『…いま?いますぐ?』

『ほら早く!』


レイメが前足でたしたしと叩いたそこを腰に差していたネレ(スコップ)を取って掘り起こす。

言われるがまま堀り進むうちに、これまでの経験からとても嫌な予感がして、その瞬間何かが手元の穴から飛び出してきた。


『ぎゃー!出た!ゴキブリ!!』

『捕まえて!ほらそっち!』

『むりむりむりー!!やだー!!』


わぁわぁと騒いでいる1人と1匹に、マァチが呆れた声を出す。

「またやってんのかい。いい加減に慣れとくれよ、ほれ」

マァチが年齢からは想像できない素早さで、足元を通り過ぎようとした虫を踏み潰す。

それを見たフェイリーンは雷に打たれたように身を震わせた。


「毒も牙もないだろうに、何がダメなんだい」

「それだけは、無理、無理です。だめ、ぜったい戦えない」

「戦うってまた大げさな」


フェイリーンからするとゴキブリにしか見えないそれは、根喰い虫という害虫の一種で、羽がないので飛びはしないが根菜を食べてしまうので畑を持つ者には嫌われている。

この薬園には好物がなくあまり見かけないのだが、森に生息しているらしく時折遭遇してしまうのだ。


「みんな尊敬します…というか、レイメがひどいです…」

しょぼしょぼしながら雨避けの布がしまってある倉庫へ向かうフェイリーンに、マァチが大笑いしてレイメが機嫌よく鳴いた。




私も無理…

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