Planner~黙示録とポエム~
この物語はガブリエルの日常を淡々と描いたものです。過度な期待はしないでください。
某アニメのパロディはここまでにして、4月より始まる混沌とした世界の中でシリーズ第十弾 警察不信 のプロローグをお楽しみください。
九月三十日午後十一時四十分福岡県のマンションで女は手紙を書いていた。
女の髪型は黒髪のショートボブ。体系はやせている。二重瞼と首にある小さなほくろが特徴の彼女は退屈な天使たちのメンバーだ。
組織内で一二を争う巨乳の持ち主である彼女の役割は犯罪計画を立てること。
そんな彼女のコードネームはガブリエル。神の言葉を伝える天使なので彼女の役割にマッチしている。彼女の作った犯行計画書をもとに劇場型犯罪は実行される。
ガブリエルが現在書いているこの手紙は報告書ではなく黙示録だ。
神無月の間世間を騒がす劇場型犯罪の筋書きは完成している。 ガブリエルは犯行計画書を印刷して封筒に入れる。
インターネットが普及したこのご時世に手紙で犯行計画書を手紙でやり取りするテロ組織はないだろう。手紙にしたのはハッキングによる情報漏えいを防止するためだ。
「七年ぶりだから、恒例のポエムでも書きますか」
ガブリエルは犯行計画書にポエムを同封する。このポエムの内容は黙示録。
ガブリエルは万年筆を握りポエムを書き始めた。
死神が嵐を連れて島を訪れる。正義の顔をした悪魔と対立する正義の味方は死神を奪い合う。死にたくなければ嵐が収まる前に島を出ればいい。だが完全に脱出するまで安心してはいけない。赤く染まった海にも怪物が眠るから。深紅の涙が零れ落ちる前までは島にいた方がいいだろう。絶対に安全な楽園はないけれど。
「これで完成」
切手を貼りポエムを同封すると、ガブリエルの携帯電話が鳴った。携帯電話にはラグエルという文字が表示されている。
「ラグエルですか。今犯行計画書が完成しました」
『まさかポエムも同封しましたか』
「もちろん。それで鬼頭さんはいつ来日しますか」
「十月十日でしょう。彼は喜んでいます。久しぶりにこの日本で大暴れできると」
ガブリエルはくすりと笑う。
「彼らしいです。この暗殺計画が成功したらあなたの願いを叶えてあげますよ」
『ありがとうございます。忘れないでください。この計画が成功したらサラフィエルを返す約束』
「ああ。ゼラキエルと交換でね。でも分からないな。あなたがサラフィエルにこだわる理由が」
ガブリエルは電話をしながらパソコンをシャットダウンさせた。
『すべては東日本と西日本のパワーバランスを整えるためです。サラフィエルは神の祈り。僕の好みのタイプだったという理由もありますが』
「神の癒しより神の祈りの方が好きですか。まさか君がそういうタイプの女性が好きだとは思わなかったな」
『まさか。僕はサラフィエルの能力がほしいだけです。それに僕はシスターみたいな女性より癒し系が好きです。それでは激動の神無月を楽しみましょう』
「こちらも楽しませてもらいますよ。あなたたちの犯行をテレビでね」
ガブリエルが電話を切ったころにはすでに十月一日になっていた。
その後でガブリエルは深夜ドラマを観るためにテレビを付けた。テレビからはシリアスなクラシック音楽が流れる。
『ジェイムズ。逃げて。爆破まで一分もないわ』
『あんたを捨てられるかよ』
まるで刑事ドラマのようなセリフから始まったドラマだったが、実はラブストーリー。最終回から観始めた彼女はこのことをまだ知らない。
一方東京にいるラグエルはガブリエルへの電話の後パソコンでメールを閲覧していた。
「透明人間さん。神無月が終わっても生き残っていたら返信しますね」
この時は誰も知らないだろう。日本犯罪史に残る激動の一か月が始まることを。
原作者山本正純です。Planner~黙示録とポエム~ いかがだったでしょうか。
4月2日からスタートする新作 警察不信の新キャラクターガブリエルを主人公にプロローグを描いた本作。この作品を執筆することになった発
端は某少年漫画雑誌原作のアニメを鑑賞した際、長編小説化した警察不信をテーマにしたポエムを作ろうというアイデアを思いついたからでした。
最初に誕生したのは作中のポエムです。
ただポエムを投稿するだけでは面白くない。犯罪プランナーであるガブリエルが犯罪計画書を作成中にポエムを書いていてもおかしくない。ガブリエルは都合上声のみの出演になってしまったためどんな人物なのかを読者様が理解する術がない。以上の理由で主人公をガブリエルにした短編小説が誕生しました。
ちなみにジャンルを文学にしたのは、事件も発生していないのに推理小説を謳うのはおかしいからです。作中にポエムがあったからという理由もございますが。
それでは4月2日から連載開始する 混沌とした世界の中でシリーズ第十弾 警察不信 を楽しみにしてください。
ガブリエルの本名はすでに決定しているが、まだ明かすことはできない。一つだけヒントを言うなら、イニシャルT