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はじめに
闇。
森羅万象、ありとあらゆる場所に差す影であり、光の対となるもの
人は古来より影を恐れ、夜を恐れ、闇を恐れた。
いや…正しくは、其処に住まう者達を、と言った方が良いだろう。
彼等は人が自然と供に暮らし、神を崇めていた頃より昔から居続けている。
魑魅魍魎…妖怪やお化けと呼ばれる彼等は、何時の時代も人に恐れられている。
昨今、都市伝説といった口伝話の流行などから、彼等も数を増していっている。
例を挙げれば、口裂け女や人面犬といった単体のものや、犬鳴村や杉沢村伝説のような土地に纏わるものなど、種類は多岐。
ただ...これだけは頭の片隅に置いていて欲しい。
火の無い所に煙は立たない...古今東西の怪奇譚は、全てが作り話ではないという事を。
その話の起源となる出来事がある事を。
そして…
その話に語られる彼等は、決して偶像ではないということを。