7 「勇者の仲間北部にて」
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暗闇の中で一人の人間が苦痛に耐えるように声を上げた。
「どうして、どうして誰も私を殺そうとしない!」
声で女性の声だとわかる。
蝋燭の明かりさえない暗闇の中で、かすかな月明かりに当てられて亜麻色の髪がかろうじてわかった。
「恨みで殺されようとしても、失ったものが大き過ぎたのか私に誰も刃を向けなかった。忌々しい異種族について国が不利になるように発言しても、反対する者がいても誰も私の命を狙わない……」
死を懇願するように女が唸る。
だが、女が死を願う理由は誰にもわからない。
「何をどうすれば私はこの体から解放される?」
暗闇の中、本人には見えているのだろう。自身の腕や体を忌々しく睨みつける様に眺めると、一つ舌打ちをする。
「中身もうるさく抵抗をしているし、そろそろこの体も私の器としては限界が訪れようとしている。この器が限界を超えて崩壊するようになれば、私も共に死んでしまう。それでは意味がない! 賭けをしてまでこちらの世界へとやってきたというのに、ただ器が崩壊するというつまらない結末で私は終わりたくはない」
おのれ……と怨嗟を込めた声を上げる。
「アルテサンラ……貴様が、貴様さえいなければ……私がこの様な惨めな思いをすることはなかったのだっ!」
爪を腕に突き立てて、血が出るのも構わず腕を引っかいていく。
ポタポタと両腕から血が流れ、床に血の水溜りが広がっていく。
「聞こえる、聞こえるぞ……鬱陶しいほどに痛い痛いと泣き叫ぶお前の声が! お前の悲鳴が私を少しだけ癒してくれる。普段は鬱陶しい懇願の声も聞いていて心地が良いときもあるが、やはり人間は泣き叫ぶべきだ! そして呪え、世界を、アルテサンラを、憎め、憎悪しろ!」
笑う、嗤う、哂う。
闇の中で、口が裂けてしまうほどに笑う。
「これは復讐だ、アルテサンラよ! お前の子と、私の子、どちらがこの大陸に相応しいか、そしてどちらがこの世界の神に相応しいか、永久の決着を着けようではないか……」
自らの血でできた水溜りを手を入れて、その血をすくう。
そして、数歩離れて女は魔法陣を書き出した。
この大陸では見たこともない陣である。
「―――――――」
どう発音したのかわからない。
だが、この場に考古学の権威が居れば、かろうじて理解ができたかもしれない。
女が発音した単語は、はるか昔に使われていた失われた言葉であったということに。
ストラトス・アディールと、キーア・スリーズ、カーティア・ドレスデンが大陸北部に入って一週間が経った。
「本当に、北部は魔物の数が半端ないっすね……一週間で何度戦ったことやら」
炎を連想させる赤髪をカチューシャで後ろで流した小柄な少年、ストラトスは剣を鞘に収めると、いい加減にして欲しいとため息交じりに呟く。
そう、たった今、一つの戦闘が終わったばかりであった。
「しかし、いくらグールとはいえ、元連合軍の兵士を殺さなければいけないというのは気分が悪いな」
ストラトス同様に剣を鞘に収めカーティアが呟く。
息を切らしているストラトスに対して、カーティアはまだ余裕があることがわかる。息も切れていないし、凛とした容姿には汗一つ浮いていない。
彼女は乱れた金髪をそろえると、戦闘によって付いてしまった土を修道服から払う。
「私は、もう……限界かも……」
そう息も絶え絶えに呟くのはキーア。灰色の髪とローブを纏い、魔術師ならではの杖を持っている。もっとも、その杖も今ではキーア自身を支える道具となってしまっているが。
「そうだな、さすがにここで休憩はできないし、もう少し歩いたら休憩を取ろう」
「はい!」
「はーい」
カーティアの言葉に、ストラトスとキーアが返事をする。
声だけ聞いても疲れているのは良くわかる。だが、それも無理もないだろうと思う。
相手はグールだった。この一週間ほとんどの相手がグールだ。グールとは死体に寄生虫のような魔物が宿り、食べ物を探してさ迷うものである。
しかし、性質の悪さでは、このグールは嫌悪すら抱くことができる。
グールは魔物である寄生虫を指す。そして、グールはいつも餓えているのだ。ゆえに食事を欲する。では、グールは何を食べるのかというと、肉だ。それも鮮度が高いほどグールは好む。
最初に、グールは死体に寄生する。そして、脳を食らい、そこから侵食して肉体を得る。死体を自らの肉体としたグールはその肉体を使い肉を求めるのだ。そして、もっとも彼等が好む肉は――人間の肉である。
それゆえに、カーティアたちは何度も襲われることとなる。
連合軍が死体の処理を怠ったために、グールにとっての器がたくさん残されていた。グールは死体でなければ寄生できないという弱点を持つ。もう一つの弱点は、一度寄生して肉体を手に入れれば、人間と同様に殺せるということである。
だが、考えてみて欲しい。
死に、腐った肉体だけでも十分に目を背けたくなってしまう相手であるというのに、それが知り合いであったら? そうでなくても、かつて共に戦った兵士たちであったら?
「気分が悪くなるのは当然だな。私はグール討伐は初めてではないし、今更だが……それでも辛いと感じることはある」
ゆえに彼女は祈るように黙祷する。
グールに乗っ取られた死者の魂に安らぎを、と。
教会へ所属して日が浅いカーティアであったが、それでも祈らずにはいられなかった。
そして、三人がしばらく歩くと、小さな川を見つけることができた。足場も悪くなく、ここなら一晩過ごすことも可能だと判断した三人は一晩の休憩を取ることにした。
「じゃあ、俺は魚釣ります!」
と、張り切って竿を持って川に向かったストラトス。
実は、釣りというものは一成から教わったものであった。精神集中ができて、楽しむこともできる、そして食事も確保できるならいいだろう、と竹で作った釣竿をストラトスにくれたのだ。
それからストラトスは兄貴と慕う一成と一緒に釣りをするのが好きだった。
数で勝負したり、ストラトスの方が大きな魚を釣ったりすると一成が悔しがったりと、今でも鮮明に思い出すことができる。
カーティアやキーアから見ても、二人は兄弟のようだった。
「さて、キーアは……もう寝ているか。とはいえ、無理もない」
この一週間、体力が完全に回復しないうちに次の戦いが待っていた。そしてグールに有効なのが魔術である。炎で焼き払うのが一番なのだ。同時に、付加魔術でストラトスの剣に炎を纏わせたりと、キーアの役目は大きかった。
それゆえに、一番の疲労が彼女を襲っているのだ。
そもそも、この三人の中で一番体力が無いのは誰だと問われたら、キーア自身も自分だというだろう。
実際、そうなのだ。
キーアは魔術師としての才能は誰もが羨ましがるほどある。だが、駆け出しもいいところだ。いずれは体力もつけて、高位魔法を使いながら戦場を駆け巡れるようになるまでの実力をつけたいと思っている。
だが、まだ十台半ばの少女にはそれも辛いのだろう。
カーティアは彼女が少しでも休めることを願いつつ、バックから取り出した毛布をキーアに掛ける。
そして、自身は途中拾ってきた枝と乾いた草に火をつけて湯を沸かす。
「では、私は二人のために少しでも体力のつく料理を作るとしよう」
カーティアは現在持っている食材を確認して、シチューを作ることに決めたのだった。
辺りはすっかり薄暗くなっていて、三人は火を囲んで川の近くで食事を取っていた。
グッスリと寝ていたキーアも食事ができるにつれて、臭いに反応したのかムクリと起きてきたので、起こすまでもなかった。
今晩のメニューは、カーティアが作った野菜と干し肉のシチューに、ストラトスが釣ってきた鱒の塩焼きが三匹。
「美味い、美味いっすよ!」
「もっとゆっくり食べなよ、ストラトス」
ガツガツとシチューを食べるストラトスに、ゆっくりとマイペースで食べているキーアが消化に悪いよ、と注意するが、年頃の少年がそんなことを聞くはずがなく夢中で食べ続けている。
そんな二人を見て、もう一ヶ月以上前のことを思い出してしまう、カーティアだった。
以前も、今と同じように食べるストラトスに、そんな彼を注意するキーアがいた。そして自分もいまと同じように、兄弟のように仲が良い二人を微笑ましく見ていたものだ。
そして、現在はいない、シェイナリウスは夕食時には必ず酒を飲み、妹のレインが飲み過ぎだと怒る。
そんな様子を一成はいつも楽しむように見ていた。
「そういえば……」
カーティアは思い出す。
一成はいつも食事の光景を笑みを浮かべて見ていた。騒ぐストラトスとシェイナリウスを、注意するキーアとレイン。そしてそんな四人を微笑ましく眺めている自分と……アンナ・サンディアルを。
彼はいつも優しそうに、それでいてどこか切なそうに自分たちを見ていたのだと感じていた。
――しかし、それも結局わからないままか……。
それが寂しかった。悔しかった。
「ごちそうさまでしたっ!」
ストラトスの声に、カーティアは考えるのをやめる。
「もういいのか……と聞くまでもないか」
鍋はすっかり空だ。成長期であるストラトスのことを考えて多めに作ったのだが、まさか本当にきれいに完食してしまうとは。あまり食べないカーティアにすれば凄い食欲だと思う。
まぁだが、そのくらいの方が作りがいがあるというものだろう。
「私、もう眠いかも……」
腹が膨れたせいか、まだ疲労も残っているせいも重なってか、ウトウトと船をこぎ始めるキーア。
「おいおい、食ってすぐ寝ると太るぞ?」
「乙女にそういうことを言わないで。それに、私は痩せているから少しくらい太ったほうがいいかも」
キーアの言葉に、ストラトスはそんなことないけどなぁと呟くが、キーアはすでに半分寝ていた。
「ストラトス、毛布を掛けてやってくれ。夜になると一段と冷えるからな」
「はい」
ストラトスは先ほどまでキーアが使っていた毛布を彼女に掛ける。毛布が手に届く範囲にあったのは幸いだった。
既にキーアは横にはならずに、ストラトスに寄りかかるようにして寝息を立てる。できれば余計な動きをして彼女を起こしたくなかったのだ。
パチパチと音を立てる火を囲み、カーティアとストラトスは互いに無言である。
ストラトスはカーティアに聞きたいことがあった。カーティアもストラトスに聞きたいことがあった。
だが、二人ともそれをどう互いに聞いていいのか、タイミングを伺っているのだ。
そして――
「あの、カーティア様……ずっと聞きたかったんですけど、俺たちは――いや、兄貴はどうして「魔王」と戦うことになったんですか? 異世界から勇者として召喚されたってのは知ってますけど、理由がわからないっすよ。俺はずっと、兄貴についていこうって決めてたから、助けてもらったあの時にそう決めたから兄貴の後ろを追いかけてましたけど、今は疑問ばっかりが残ります」
そして、考えないで兄貴任せにしていた悔しさも、とストラトスは唇をかみ締める。
「そうだな。私は最初から共に旅をしていたが、やはり「魔王」を倒すというのは人間と異種族の問題のせいでもあるな」
「問題、ですか?」
「ああ。理由は多々あるが、私が知っているのは――異種族からの報復を恐れているからこそ、帝国を魔王を倒したかったのだ」
「報復か……やっぱり、異種族は人間が嫌いなんですかね?」
さあな、とカーティアは苦笑いをする。
そればかりはわからない。
帝国で人間が暮らしていることは知っている。だからといってその人間が何かをされたという話は聞いたことがない。だが、内心ではどう思っているのだろうか?
「嫌い、嫌いではない、それ以前の問題かもしれないな。もともと、異種族の多くは大陸中に暮らしていたんだ。それを時代と共に、人間が追いやり、迫害し、時には奴隷のごとく扱い、そんなことを繰り返していた。特に南大陸が一番酷かったと聞いている」
カーティアの説明に、ストラトスは嫌そうな顔をする。
まだ十台半ばの少年に、こんな話はしたくはないと思うが、これからのことを考えるとそうはいかないとカーティアは続ける。
「南大陸はサンラ信仰が強く、過激な者も多いからな。サンラ信仰の本場といえる聖アドリア皇国などは昔から現在に至るまで、人間第一主義であり異種族は家畜のようなものだ。この国の影響力や軍事力は強く、異種族は西へと追いやられていった。そして、聖アドリア皇国の影響を受けて、連合諸国も異種族との溝を深めていく」
「嫌な話っすね」
「まったくだ。そして、時代は流れ、人間に容姿の近いエルフはまだしも、他の種族は酷ければ魔物扱いされ殺され、よくて住処を奪われ、北部へと逃げる。これで恨まれていない方がおかしい。異種族は確かに力を持つが温厚な種族が多い、だが決して臆病ではない。ゆえに戦争になれば人間など簡単に殺される。それは知っているだろう?」
「はい」
嫌というくらい知っている。
エルフの魔術、弓の技術は人間を凌駕している。精霊族は存在自体が高位魔術を超えている。まとめて獣人とするが、彼等は獣の特性を持ち、人にはない能力を有する。鬼族は人間などとは比べ物にならない膂力を持つ。
人間が勝てるとすれば、数だけだろうとストラトスは思った。
「だから人間は恐れているのさ。自分たちで迫害し、嫌悪しながら、いつか復讐されるのではないかと。それゆえに魔王を倒そうと、連合諸国は動いていたのだ」
「なるほど、それで……」
最初は数人だった一成たちの旅が、最後には連合軍と共にという形になったことを思いだす。
つまり彼等もまた、「勇者」を利用したのだ。保身のために。
「私の許せないことは一つ。復讐を恐れるために相手を倒そうとするのは勝手だ。好きにしろと、冷たいかもしれないがそう思う。だが、その今までのツケを異邦人である一成に払わせようとしたことだ」
もっとも、私も同罪だが、とカーティアは自嘲する。
カーティア自身、魔王を倒せば平和になると思っていた。少なくとも今よりは。
だが、旅をして知った。異種族のせいだとされていたことが魔物であったり、時には人間であったり、見たく無いものも見た。
しかし、それゆえに一成の言っていた異種族との友好関係は必要なのではと思うようにもなった。
「アルテ信仰の教会に身を寄せて私は知った。魔王を殺しても、帝国が崩壊しても、結局のところ……最終的には異種族の報復に遭うのさ、人間は」
「カーティア様……」
「今頃、一成も魔王を倒すことが無意味だと確信しているだろう。きっと倒すべきなのは私たち人間なのだ」
それだけのことをしてきたのだから、とカーティアは言う。
「だけど、兄貴なら人間と異種族が手を取り合っていけるきっかけを作ってくれるんじゃないかって思います」
それはきっと希望だと思うけど、兄貴にとっては押し付けてしまう形になってしまうと思うけど、一年前のあの日に自分を救ってくれたように、このくだらなくてどうにかなっている世の中にきっかけをくれるかもしれないとストラトスは思う。
だからこそ、今度は兄貴の力になりたいと心から思う。
そうじゃなければ、弟分だなんて恥ずかしくて名乗れない。
「そうか、そうだな……お前は強いな、ストラトス」
カーティアは眩しそうにストラトスを見た。
自分は悪い方向に物事を考える癖がたまにある。それがまた出ていた。
一成が生きていると信じて帝国へ向かっているのに、悪い方向に物事を考えてどうする。
自身にそう叱咤して、カーティアは思う。次こそは、次こそ必ず最後まで一成と共にいようと。
「……私は、ストラトスに聞いておきたいことがあった」
「なんでしょうか?」
「今更なことだが、ずっと聞きたくて聞けなかった。良い機会だから聞いておきたい」
「はい」
「どうして、聖女が嘘を付いていると、勇者を殺したのは聖女だと誰にも言わなかった? 聖女が裏切ったことを考えれば王家はもちろん貴族も同様の考えかもしれないが、民はどうだっただろうか?」
それは……と、言い辛そうにするものの、ストラトスは覚悟を決めるようにして言う。
「俺たちが遅かったんです。俺たちは、あの人が兄貴を裏切ったことで、誰を信じていいのか分かりませんでした。そんな状態で、連合軍に保護……違うな、半分拘束みたいな形で連れて帰らされて、その後も兄貴が死んだって一度は思った俺たちは茫然自失でした。その間に、どこから流れたのかあの人の良いように話はみんなに伝わって、俺みたいなガキの話は誰も聞いてくれない、シェイナリウス様もエルフゆえに相手にされない、そんな状況だったんです」
それに、と続ける。
「これはシェイナリウス様に聞いたんですけど、確かにエルフとサンディアル王国は友好関係を結んでいました。だけど、それは同盟じゃないし、国にとっては良い話でも国民に対してはどうでも良い話だったみたいです。でも確かに、俺はサンディアル王国の民ですけど、エルフの友好の話を知っていても、シェイナリウス様とレインさん以外のエルフは隠れ里に行くまで見たことがありませんでした。つまり、みんなにとって聖女であり英雄であり、王族であるアンナ・サンディアルの言葉は自然と受け入れられてたんです」
悔しそうに、辛そうにストラトスは唇を噛み締める。
「俺だって、知った顔に声を掛けました。兄貴は殺されたって。でも誰も信じない。なら、どうしよう……ってずっと考えて考えて、ふと思ったんです。兄貴が死んだのを確認してないって。よく分からない空間のせいで確認できなかったっていうのもあるけど……でも、可能性はゼロじゃない。そうしたら希望が少しだけ沸いてきました。生きているんじゃないかって思えて、無謀だって分かっていたけど、探しに行こうって思ったんです」
「そうか……」
「結局俺は元は農民です。そんな俺が英雄だ、なんて言われても誰も信じないでしょうし、結局のところあの女だけが英雄だったってことなんでしょうね」
「そうかもしれないな……」
カーティア自身、ストラトスを責めようとは微塵にも思っていない。
自分は死んだと思って、祈りをささげていたのだ。生きていると願ってではなく、もう諦めていたのだから。
それに比べれば、ストラトスとキーアは立派だと心から思う。
「……誰か来た」
そんな時、ぱちりとキーアが目を覚ます。
同時に、ストラトスもカーティアも気付く。
「数人に囲まれているな……いくら話をしていたからといって、ここまで接近を許すとは」
「魔物じゃないってことっすね」
カーティアとストラトスは互いに剣を抜く。
そしてついにこの時が来たかと思った。
囲んでいるのは異種族だ。北部に入って魔物と戦ったが、異種族とは出会っていなかった。それが不幸なのか、幸いなのかはわからない。
だが、ここで異種族と出会ったのなら……
――帝国は遠くない。
ならばここでは決して死ねない。
「気を引き締めろ、二人とも」
カーティアの言葉に、二人は頷く。
互いに背を合わせ、剣を、杖を構える。
すると、一つの足音がゆっくりとだが確実に近づいてきた。カーティアの正面だ。
そして、その足音の主は三人の知っている顔であった。
「久しぶりだな、ストラトス、キーア、そしてカーティア・ドレスデン」
火の明かりに照らされ姿を現したのは、かつての仲間――シェイナリウス・ウォーカーであった。
遅れましたがようやくの更新です。まだ本調子ではないので時間がかかってしまいました。
というわけで、ストラトスたち三人はかつての仲間と再会します。
次回は一成をメインに話が進みます。
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