2 「裏切られた勇者目覚める」
まさかの日刊ランキング4位です! 信じられません。本当に、皆様どうもありがとうございます!
「私は絶対にストラトスは我慢できずに姫様を殺すと思ってたんだけどな」
「残念そうに言うな! 俺だってできるなら殺してやりたかったさ……だけど、兄貴はそういうのは喜ばないと思う」
「うん、どちらかと言えば、よくもやってくれたなこのやろーって自分で復讐するタイプだしね」
ローブを着た灰色の髪の小柄な少女に、赤髪をカチューシャで後ろに流している少年ストラトス・アディールは引きつった笑みを浮かべる。
「俺はそういう意味で言ったんじゃないんだけど、でも間違ってもいないか……」
「うん?」
不思議そうに首を傾げる灰色の髪の少女はキーア・スリーズ。
彼女もまたストラトス同様に、「勇者」の仲間である。
キーアは勇者が死んでしまい、そのショックで呆然としていたのだ。そして、思いついたように身支度を始めた。
――こんな国に居たくない。
それが彼女が最初に思ったことだった。
キーアもストラトスもサンディアル王国の民である。だが、その生まれ育ちは不遇であった。
ストラトスは親に捨てられ、飢えて死ぬか、人を殺して生き延びるかの瀬戸際で勇者と出会い救われた。
キーアは平凡な村の一般家庭で生まれながら、宮廷魔術師を超える程の魔力を持って生まれ、その魔力を扱う才能に恵まれた。しかし、大き過ぎる魔力は感情で暴走し、それゆえに家族から村から恐れられ、孤独だった。
そんな彼女を救ったのも勇者だった。勇者が頼み込み、土下座までしてエルフであるシェイナリウスに初歩的な手ほどきを受けた。そして、魔力を制御し、暴走することはなくなった。それでも、もう村に居場所がなかったキーアが危険だと言われても駄々をこねて着いて来たのだ。
始めは渋りながらも、いざという時は体を張って助けてくれた。それはストラトスの時も同じだった。
なんだかんだと言いながら、勇者は自分たちを守ってくれていた。
「強くならなくっちゃね」
「ああ、そして兄貴を探し出すんだ!」
だからこそ、お荷物であった自分たちが嫌だった。
実践という経験の中で、実力を少しずつ付けていったが、「魔王」を相手にするには……いや、帝国との戦争に参加するには二人は弱過ぎた。
慕っていた勇者が裏切りにあった時、自分たちは何もできなかった。
それが本当に悔しくて悔しくて仕方がなかった。
「ねぇ、本当に生きてるよね?」
「あったりまえだろう! あの兄貴だぜ? あの気難しいエルフの長と仲良く酒飲んで騒ぐくらいの型破りの人だ。今頃、元気に……もしかしたら、魔王と一緒に酒飲んでるかもしれないな」
「うわー。ありそうかも……あの人は魔王と戦っても殺し合いはしたくないって言ってたし、意外と想像できるのが怖い」
でもさ、とストラトスは呟く。
「異種族の友好関係? 俺は学がないからよくわからないけど、シェイナリウス様たちエルフや帝国に暮らす獣人や精霊と仲良くしようってことだろう?」
「うん、まぁ、簡単に言えばそうだよ」
「ならそれの何が駄目なんだろうな? 一年間、一緒に兄貴と旅したけど、人間だって腐ってる奴は腐ってる。あの女がそうだったようにさ。でも、それに種族って関係あるかな? 無いよな?」
「ないと思う」
前に、兄貴が言っていたんだ、とストラトスは思い出す。
「生まれが違うから、人間じゃないから、それは些細なことだって兄貴は言っていたんだ」
「うん」
足を止めて、空を見上げていないと、涙が零れそうになった。
キーアも一緒に空を見上げる。
「俺は不安なんだ……異種族との友好とかを考えてた兄貴だけど、同じ種族の一番仲間だった人間に裏切られたんだ。どこかで悲しんでいるかもしれない、俺たちを憎んでいるかもしれない、もしも再会した時に裏切り者だなんて言われたら」
「そんなことを言う人じゃないよ」
キーアが言葉を遮る。
「それに思われてしまっても、私たちがあの人に伝わるように必死で言葉にすれば絶対にわかってくれるよ。あの人は優しいから」
「そうかな……」
「そうだよ」
ストラトスは鼻を啜って、コートの袖で目元をゴシゴシと拭うと前を向く。
「ありがとう、キーア。俺は兄貴を必ず見つけ出すよ」
「うん。そうしよう。私も一緒に行くから」
二人は歩き出す。
「ストラトス」
「なんだよ?」
「行き先は決めてるの?」
「ああ、もちろん――帝国だ」
そして、勇者を慕う少年と少女は、大陸北部にある帝国を目指したのであった。
一方、シェイナリウス・ウォーカーとレイン・ウォーカーのエルフ姉妹は出身の里へと戻ってきていた。
そして、戻ってきたその足で、すぐに里の長にことの顛末を告げる。
「そうか……まさか聖女と呼ばれたあの姫君がその様な考えの持ち主だったと。私も観察眼が未熟ということか」
里の長であり、ウォーカー姉妹の父親である、ハイアルウス・ウォーカー。外見はシェイナたちによく似ているが、人間でいえば三十代半ばぐらいに見えろうだろうか。程よく鍛えられた体に、エルフ特有の民族衣装を纏う姿は神話に出てくる戦神のようでもある。
その外見や雰囲気通り、魔術を得意とするエルフでありながら、武に精通し、その実力はエルフたちを纏めるのに問題がないほどである。
そんなハイアルウスだが、誇り高く、人間と馴れ合うことをしないエルフとは少し違った変り種である。
その最もたるものが、サンディアル王国と築いた友好関係であった。
無駄な争いを避けるために、これからを生きる皆のために友好を結んだのだ。そして、その友好は上手くいっていると思っていた……先日までは。
「しかし、信じられないな……あのエロ小僧が死んだとは」
「私も死んだとは信じていませんが、アンナ・サンディアルの魔術は未知なるものであり、魔術を苦手とする勇者では……」
「お前ほどの使い手がそこまで言う魔術か……そうなると、私たちも身の振り方を考えないといけないな」
父の言葉に、姉妹は頷く。
確かにこのまま様子見というのは望ましくない。
すでにサンディアル王国ではエルフとの友好関係を切るべきだと言う声が大きい。その声が小さくなることはないだろう、アンナ・サンディアルがいる限り。
そして、知る人は少ないものの、この隠れ里を知っている者はサンディアル王国にいるのだ。いつ、軍がやってくるかわかったものではない。
「実はな、お前たちが帰ってくるよりも少し前に、古い友人から誘いを受けた」
「誘い、ですか?」
「正確には、誘いと警告だ」
警告、という言葉に姉妹は顔つきを厳しくする。
「警告とは穏やかではありませんね……」
「確かに穏やかではない。だが、気付いているだろう? 先代のサンディアル国王は賢王だった、ゆえに私は彼と友好関係を築いた。だが、今の王は悪い王ではないが、先代と比較され、キナ臭いことをしている貴族も多くなったと聞いている」
そんな時に、この騒動だ。
「友人は「帝国」へ身を寄せないかと誘ってきたのだ」
「そ、それは……」
「いくらなんでも、無理では?」
姉妹が驚くのは当たり前である。
いくらエルフとはいえ、人間と友好を築き、帝国ではなく連合側に着いたのだから。
「正直に言うと、私も無謀だと思った。何かの罠ですらあるかもしれないと思いもした。だが、向こうは本気で言ってきている。そして帝国もそれは承知しているという」
驚きを通り越して、驚愕した。
「聞きなさい。帝国は人間の「連合」という脅威に、我々異種族も一致団結するべきだと考えているそうだ。それに、帝国には人間も暮らしている、それは知っているな?」
二人は頷く。
「人間は時に恐ろしいことをする。同じ人間でありながら、立場の違いで同じ人間を家畜のように扱ったりする者もいる。そしてサンディアル王国の姫もそうだ。そんな扱いに耐えられず、死を覚悟して帝国を目指した人間が優しく迎えられ、守られている。そして、帝国に暮らす人間も決して異種族を裏切らない」
そのことは知っていた。
帝国で自分たちに向かってきた中には武器すら持たない人間も混ざっていたから。
「あまり悠長に考えている時間はないと思う。サンディアル王国がどう動くのか、いつ動くのか、それに怯えるのならば、帝国に行くのも一つの手ではないかと思う。仮に、人間と友好関係を築いていたことで何かがあれば、私たちの首で済ませてもらえるよう懇願するつもりだ」
最悪の場合は一緒に死んでくれと言う父に二人は躊躇わずに頷いた。
そのくらいの覚悟は里を出て、勇者の味方をした時からできている。
「これは希望的なことだが、仮に私たちの首も繋がり、帝国で暮らすことができれば……あの小僧と再会できるかもしれん」
その言葉に、二人はハッと顔色を変える。
考えてみればそうだ。
シェイナリウスとレインは勇者が生きていると信じている。なら、勇者はどこにいる?
答えは帝国だ。
その可能性が一番大きいのだ。
「ふう、今日はこのくらいにしておこう。明日、他の者も集めて最終的な決議を取ろう。今日はゆっくりと休みなさい、休みなしで里へ戻ってきたのだろう?」
目を輝かす二人に苦笑しながら、父は告げる。
すると二人は、忘れていたとばかりに、今更ながらに疲れた顔をする。
「わかりました、父上。今日は休ませて頂きます」
「はい、父上。お言葉に甘えさせていただきます」
そう言って、頭を下げると二人は部屋へと向かう。
残されたハイアルウスは、娘たちが消えたことを確認すると、大きくため息を吐いた。
そして、手を伸ばし半分だけ中身が残っている酒瓶を眺める。
「馬鹿者が……まさか味方に裏切られるとはな、残り半分を一緒に飲むという約束はどうすればいいのだ?」
死んでいないと信じている。だが、もしかするとと思ってしまう自分がいることに気付く。
そして思い出す。
初めて会った時は、礼儀のなっていない小僧だと思った。今でもそう思っているが、少しだけ違う。
礼儀はなっていないが気持ちの良い人間だと思った。自分と友好関係を築いた先代のサンディアル国王とはまた違うタイプであったが、人間を気に入ったのは二人目だった。
少しだけ荒れていた過去を感じさせる雰囲気を持っていたが、あまり気にはならなかった。
父親から見てもどうかと思うほどの娘からの扱きを受けても、必死で耐えて、人間嫌いのシェイナリウスが師匠となった。
それがきっかけで少し酒を飲ませてみたら、年頃だからだろうか、飲みなれていないからだろうか、盛大に酔っ払って、エロ話をはじめて絡んできてたことは一年経った今でも鮮明に覚えている。
つい、悪ノリをしてしまい、エロ話に男性陣で華を咲かせていたところ、自分が妻に、勇者がシェイナリウスにシバキ倒されたのは、できれば忘れたい思い出である。
「まったく、あのエロ小僧め……たった一年で随分と強くなったと感心していたらこれか」
いっそ残りを一人で飲み干してやろうかと思った。
だが、やめる。
「もう一度一緒に飲みたいな、そしてまた馬鹿な話をしよう……」
必ず勇者は生きている。
そう強く信じて、ハイアルウスは酒瓶をしまう。
そして、その翌日。彼等エルフの部族は、帝国へ亡命することを決めたのだった。
「私の名前はリオーネ・シュメールだ。君の名前は?」
そう問われて、自然と名前を口にしていた。
「……椎名一成」
「椎名一成……それが、君の名前かい?」
頷いた、はずだがあまり首が動いた感じがしなかった。
瞼が重い、いや体中が重い気がする。
そして何よりも、心が痛かった。
「君が目を覚ますのを、この二週間ずっと待っていたよ」
嬉しそうな女性の声、視界は少しぼやけているのではっきりと顔が見えない。
だが、声の心当たりがあった。
「この声……聞いたことがある。アンタ、魔王か?」
特に質問したつもりではなく、思ったことが口に出てしまった。
同時に、女性が息を呑むのがわかる。
そして、もう一人もだ。
椎名一成と名乗った少年は、もう一人誰かがいると理解した。
「気付いてしまったか。しかし、私の声は仮面によってわからないようにしていたんだが……」
そこまで言ってリオーネは気付く。
仮面が割れた後、メイドたちと会話していた時に意識があったのだ。
「……ま、まさか、君は……すべてを知っているのか?」
「……その反応からすると、夢じゃなかったみたいだな。悪い夢であればいいなって思ってたんだけど」
「ッ……すまない」
やめてくれ、と一成は苦笑いを浮かべる。
「アンタが悪いわけじゃないのに、なんで謝ってんだよ?」
おかしな奴だと、言う一成にリオーネは返事ができなかった。
何故なら、一成の瞳から涙が零れていたから。
どう、言葉を掛けて良いのかわからなかった。
「やっぱり本当だったんだな……俺は道具で、囮か……まさかあんなに優しかった姫さんが俺のことを道具としか思っていなかっただなんて、笑えるよ。なぁ、笑えるよな?」
「笑えるものかっ!」
自嘲めいた「元勇者」の言葉に、「魔王」リオーネ・シュメールは怒鳴るようにはっきりと言った。
「笑えるものか……君は道具じゃない。君は怒って良いんだ、憎んだって良い、君が召喚されるきっかけとなったのが「魔王」である私なら私のことを憎んでくれても構わない」
「魔王様!」
魔王の言葉に、思わずメイドが口を挟む。
そんな言葉を掛けて本当に勇者が彼女を憎んだらどうするのだと、今は動けなくてもいずれは動ける。その時になったらどうするのだと。
しかし、魔王の言葉にも、メイドの心配も裏切られることになる。
「なぁ、魔王さ……」
「なんだ?」
――俺を、殺してくれないか?
「ッ……!」
リオーネは強く唇をかみ締めた。
彼が聖女の独白を聞いていたと知ったとき、もしかしたら言われるかもしれないと頭をよぎったりもした。
――だが、実際に言われると辛い。
「何度か、考えたことがあるんだ。死ねば、元の世界に帰れるのかなってさ……ずっと試す勇気がなかったけど、今なら怖くない」
疲れてしまったのか?
もう立ち上がれないのか?
リオーネは心の中で疑問を抱く。しかし、同時に無理もないだろうとも思う。
勇者召喚魔術でこちらの世界へ呼び出され、戦いと旅の一年。きっとあっという間の出来事であり、様々なことが起きただろう。苦労も、死に掛けたことも、悲しみもあっただろう。
それゆえに、彼には仲間は大事だったはずだ。大切だったはずだ。だと言うのに、彼の仲間は――聖女は彼を道具と言った。
彼の気持ちを、彼女は理解できる、とは言わない。
だが、辛くて、心がボロボロになってしまっているだろうとはわかる。いや、そのくらいメイドにだってわかる。
「駄目だ」
はっきりと、彼女は言った。
「勇者」はもう「勇者」ではない。心が折れた、仲間に裏切られ心を折られた弱い少年だ。
辛いだろう、痛いだろう、きっと泣き叫んで暴れたいだろう。
だからと言って……
「死ぬことは絶対に駄目だ」
「……どうしてだよ?」
「わからないのか?」
「……わからねえよ。わからねえに決まってるだろう! 道具だって言われて、簡単に捨てられて、こんな馬鹿みたいに辛いのに、しんどいのに、なんで死んだらいけないんだよ! 殺してくれないなら、勝手に死んでやるよ!」
一成はベッドから起きようとするが、二週間も重症で眠っていたのだ。まともに動けるはずもない。それでも意地だけで、無理やりベッドから降りようとして無様に転ぶ。
「はっははは……笑えよ、笑えるだろ?」
「笑うものか、何もおかしくなどない」
「だったら哀れで見ていられないか?」
「そんなことは思ってもいない」
「じゃあ、どう思っているんだよ!」
ずっと眠っていたせいで視界がぼやけていたのではない。
涙を流しているから、視界がぼやけているのだ。
しかし、一成はそれに気付かない。
リオーネは一成を優しく支えると、ベットに戻るように促す。
そして……
「私は君に生きていて欲しいと思っている。色々な話をしてみたいと思っている。君の故郷の話を聞きたい、君のことを知りたい、私のことを知って欲しい。そう強く思っている」
彼は返事をしない。
「ここで死んでしまったら悲しむ人が本当にいないのかい?」
「……俺は道具だぜ? 誰が、悲しむんだよ?」
自嘲しようとして、もうそれすらできずに顔は涙でグシャグシャだ。
「赤髪の少年剣士は聖女の行いに本気で怒っていた」
「……」
「エルフの女性は君のために怒り、聖女を殴り飛ばしていたよ。魔術師の少女ともう一人のエルフも君のために涙を流して、呆然としていた」
彼女は一成をベッドに座らせて、再度問う。
「本当に、君が死んだら悲しむ人はいないのかい?」
「……」
「聖女は君を道具だと言って裏切った。だけど、君の仲間の内のたった一人だ。全員が君を裏切ったわけではない」
もっともあの状況ではそう感じてしまうのも無理はないと思う。
「裏切られたことは受け入れるべきだ。そこで憎んでも、恨んでも、死んでしまえばそれでお終いだ。そもそも、死んで本当にもとの世界に帰れるのかい? 自暴自棄になるのはやめるんだ」
「……ちくしょう、はっきりと言いたいこと言いやがって」
「す、すまない……私はこういう性格なのだ。だが、君には同情などよりもこのようにはっきりとした態度の方が合っていると私は思った。君はきっと、今を乗り越えられると信じているから」
どうしてわかるんだよ、と一成は問う。
リオーネは笑顔で答えた。
「今まで、「勇者」を名乗る者は何人も見てきた。だが、君ほど力を持っていながら、君ほど私を殺す気が無い「勇者」を私は初めてみたんだ。そして君は、異種族との友好関係を深めたいと思っていることも聞いた。そんな懐の深い「勇者」と初めて出会ったんだ」
だから、と彼女は彼を優しく抱きしめる。
「負けないで欲しい。たった一人、自分だけのことしか考えられないような、偽りの聖女などに負けないで欲しい」
「でも……あの人は、優しかったんだ」
「うん」
「知らない世界で一人ぼっちだった俺はずっと不安だった。いきなり勇者なんて言われて、生き物なんて殺したこともなくて、それをずっと支えてくれたのは姫さんだったんだ」
「うん」
「……ちくしょう、ちくしょう、ちくしょうっ!」
涙がボロボロと零れる。
悔しくて、悲しくて、これでもかというくらい涙が零れてくる。
胸が痛い、心が痛い、張り裂けてしまいそうだ。
「泣くことは恥ずかしいことじゃない。泣いていいんだよ、泣いて、泣いて、心が壊れないように、涙と一緒に辛い気持ちも、痛い感情も流してしまうといいよ」
優しい「魔王」に抱きしめられて、裏切られた「元勇者」は泣き続ける。
死にたかった。死んでしまいたかった。
だけど、本当に少しだけど、彼女の優しさに救われた。
ずっと我慢していた勇者の一年間は、この日終わりを告げたのだった。
今回は、聖女はお休みです。次回、登場しますのでお楽しみにしていてください!
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