第二話「蒼火の処刑人」
第二話です(*'ω'*)
エリス王国南部サドに位置する交易都市ロックヴァレーから離れた場所にあるファール村では、ラトロー盗賊団に現在進行形で襲われている最中だ。
ラトロー盗賊団は主に惨敗兵、傭兵、堕落した魔法使い、荒くれ者で構成されているそこら辺の野蛮な集団だ。
「お前ぇら金よこせぇぇぇ!!」
「女はどこだ?女は?」
「ガキどもを連れてこい!たっぷり可愛がってから奴隷商人に高値で売ってやるよ。」
金品、売り物、高価で販売されそうな人間を見るなり無理やり奪い、襲い、反抗してくれば強姦や嬲り殺したりするなど外道を行っていた。
加えて、丁度この村に違法に税を絞りと取りに来た地方の徴税官やその護衛も巻き沿いに遭った(地方役人は農民や盗賊問わず全てに憎悪を抱かれているため、彼らに関しては仕方がないとしか言いようがない)。
だが、そんな悪行には自分たちの身に返ってくるのがこの世の摂理というもの。
「おい、あれ見てみろよ。」ズボンを履きなおした盗賊の一人が指を指しながら仲間に言った。
凛々しく現れたのはアリエ・フェルナンド。スタイル抜群で女にしては身長は高く、風でなびく顎まである美しい黒髪のボブ、金縁のレンズなしの丸眼鏡の奥に見える盗賊を心底見下すようなサファイアブルーの瞳、整えられた顔立ち、首には不良をほうふつとさせるチョーカーを装着している。指切りの皮グローブもかっこつけるためにつけている。
服装は長袖の白シャツにその上から着用している金のボタン付き紺色ベストで、シャツを黒色のベルト付きミニスカートにインしていないのでへその周りが露出している。シャツのボタンを二、三個を外してるせいで豊富な胸の谷間がちらっと見えている。ミニスカの下から太もも長く伸びる黒の薄手ストッキング、僅かに垂れるガーターと妖艶な生の大腿部、そして黒のピンヒール。
美しさと艶やでまさしく大人の女性の雰囲気をだしているが、あきらきに戦いになるという場面ではかなりそぐわない。
「ちぇっ、まーためんどくさいクズ連中と出会っちまったよ。」と不満を男勝りな口調で漏らす。
「なんだてめぇ、女一人で村を救いに来たのか?笑っちまうぜ!」
他の盗賊たちも下品にあざ笑い、高をくくった。
だが彼らは知らなかった。彼女にとっては自分たちが運動前のストレッチ以下の存在に過ぎないということを―――
「ふーん、そうか。今の内に笑えるだけ笑ってろよソリチンオッサンども。」と口角を吊り上げ笑みを浮かべたが目は冷酷、少量の狂気そのものだった。
小さい脳が過剰反応したのか、男が「舐めんなよこのクソアマがあぁぁぁぁぁ!」と怒りに任せて無謀にも突進してきた。
アリエは鞘からブレードソードを取り出し、疾風のごとく走り出したかと思うと素早く剣を縦に振った。
彼女が剣を鞘に入れると同時に男は真っ二つに分かれ、地面に赤い池が形成された。
「あはっ♡クソ安い挑発ですぐキレれるから早死にするんだよ。」と低音の地声とゴミをみるような目と笑みでないがしろにする。
「この女…!野郎ども!あのアバズレを始末しろ!できたのなら好きにしろ!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
盗賊は略奪中の村よりも新たに現れた欲望に駆られ、脳みそに餓えたアンデットのように群がって襲ってくる。
「さぁて、今日も中年どもを殺しまくるとしますか♡」と重心を低くし蒼炎を纏ったブレードソードを構えながら余裕を持って言った。
まず来た三人の攻撃を軽々と回避し胴体を一気に斬る。次に来た二人を蒼い火炎魔法である《ブルーフレイムボール》で悲鳴を上げさせながら骨まで焼き尽くす。
後ろから不意打ちに来る一人をミニスカ内にある投げナイフを取り出し、脳天に命中させる。
次に来た奴らをストッキングに包まれた美脚のハイキックで、相手の首やあばらを折る。
数矢が飛んで来たが、それらを軽々と回避し、ましてや矢を人間離れした反射神経で直接取ったりそれを持ち主の喉をめがけて投げる。
まるで舞を踊るようにしなやな動きで盗賊団を翻弄していく。
「お願いします…!か、金でもなんでもやるんで、あ、あの、命だけはぁぁ!!」と最後まで生き残ったリーダー格の男は腰を抜かし、手を合わせながら情けなく命乞いをした。
「へぇ~~?テメェらが村人にやったことに対して自分は”助けてください”だぁ?どんな冗談だよ、笑わせんな。」アリエが罵ると、男が恐怖で股間の下に生温かい水たまりができていた。
「うっわ失禁してんじゃん、キモ。そんじゃ、潔く死ね♡」
「ちょ待っ、待ってくれ―――」
グシャァ!!
男が言い切る前にアリエは脚で顔を文字通り破壊し、頭の中身が飛び出した。
「ふぅ…最近の盗賊ってマジで雑魚だしその上タチが悪ぃしつまんねぇんだよな~。でもストレッチ代わりになるしいっか!」と機嫌の悪さと良さが同時に現れた。
盗賊から金になるものを奪って布製の大きめのリュックに詰め込んでいると、隠れていた村人たちがぞろぞろと出てきた。
「お前らを襲ってたクズどもは全員死んだぞ。素直に感謝しな。」そうドヤ顔で言うと、村人たちは厳格な領主にお礼を申すように平伏した。
「あ、ありがとうございます…!我々の村を守って頂き心から感謝します!何度もお礼をしても物足りません。…あの、僅かながらですがどうかこれらを受け取ってください…!」白髭を生やした村長はアリエの前に膝を地面につきながら村の特産物である塩漬けジャガイモを彼女に奉仕した。
「ジャガイモか、まぁうまそうだしありがたく頂くわ。」軽い感謝を述べて特産物を一口食べる。
「…なにこれうっま!村長さんよぉ、めっちゃいいセンスしてんじゃん!マジで感謝だわ~。」と盗賊の亡骸だらけで返り血浴びてるのにその場にそぐわないご機嫌な態度を取った。
「あっ、そういえば今思い出したんだけどさ、アメンド・”クソッタレ”・再臨教団の衣装を着た奴を見なかった?」
口元は微笑んでいるが鮮明な蒼い眼は相手の全ての隠し事を曝け出させるように村長の瞳を見つめた。
「い、いえ…そのような者を見ておりません…。」
「そうか。…んじゃ、バイバイな。」アリエは片手をこめかみに当てながら軽く頭を下げた(エリス王国独自の礼)。老人の場合は彼女よりも深々と頭を下げ感謝を述べた。
そうしてアリエは一直線上に奥へと進んでいき、村を後にした。




