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《Re:第1章 第7話 桜の旋律が眠る場所》

翌朝。

桐生ひよりは、録音機を手に校門の前に立っていた。

昨日の出来事が夢のように思えて、指先が少し震えていた。


「……ここから、始まるんだね」


彼女の視線の先にあるのは、旧音楽室。

桜の花びらが舞い散る校舎の一角――

そこには、誰も触れてはいけないと噂される古いグランドピアノが置かれている。


ドアを開けると、埃の匂いとともに空気が震えた。

カーテンの隙間から一筋の光が差し込み、

ピアノの上に積もった灰色の粉塵を照らす。


ひよりは静かに録音機を再生した。

昨夜の“桜の旋律”が、部屋中に響き渡る。


その瞬間――ピアノの弦が勝手に鳴った。

まるで、音が音を呼ぶように。

ひよりの瞳に涙が滲む。


「……やっぱり、ここにいるの?」


音の重なりの中、姿を現したのは淡い光の人影。

青年のようであり、霧のようでもあった。

声は風に混じって、かすかに届く。


『継承の音を、聞いたか』


「あなたは……誰?」


『桜魂を記す者。だが、今はただの残響だ』


青年の影がひよりの前に立つ。

彼の右手がピアノの鍵盤に触れるたび、花びらが一枚ずつ舞い落ちる。


『これが“継承”の始まりだ。桐生ひより。

 君の音は、春を超えて鳴る』


その言葉とともに光が弾け、

ひよりの胸元に温かな感触が走った。

そこに――桜色の紋章が刻まれていた。


彼女は息を呑んだ。

もう逃げられない。

この旋律の意味を、最後まで辿らなければならない。


――桜の旋律が眠る場所。

そこに、継承の真実がある。

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