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《Re:第1章 第5話 記憶の輪郭》

午前の光が差し込む教室。

桐生ひよりは黒板の前に立ち、ぼんやりと文字を見つめていた。

“記憶は風に、心は桜に”

誰が書いたのか分からないその言葉が、彼女の胸を強く揺らす。


昨日の夜の夢。

そして、ノートに現れた“約束”の文字。

――これはただの幻じゃない。

誰かの想いが、確かに彼女の中で息づいている。


窓の外の桜がざわめき、花弁がひとひら舞い込む。

その花弁が机に落ちた瞬間、ひよりの視界が滲んだ。


放課後。

桜咲学園の裏庭。

ひよりは古桜の前に立ち、ゆっくりと目を閉じる。

風が吹く。

桜の音が聞こえる。


“君が僕を忘れても、桜が覚えているよ。”


その声は、確かに彼のものだった。

目を開けると、桜の根元に淡く光る影。

人の形をしているようで、すぐに霧のように消えた。


ひよりは震える手で指輪を握る。

その瞬間、頭の中にいくつもの景色が流れ込んできた。


見知らぬ学園、涙する少女、そして笑う青年。

――福田朋広。


桜の花弁が降り注ぐ中、ひよりは静かに呟いた。

「あなたの記憶が、私の中に……」


風が応えるように吹き抜けた。

桜が揺れ、世界が一瞬だけ光に包まれた。

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