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番外編 とある勇者の物語1

どんだけ番外編やったら気が済むんですか?

「すまん」


「なんでっ…貴方はいなくなってはならない。貴方はこの世界の光であり、その光を失えば私たちはどうすればいいのですか?」


「だからこそだよ。君たちは、この世界は親から旅立ち、はば立たなければ」


「それが他の方々の意思なのですか?…例え私が許しても彼女たちは貴方の死に怒り狂うでしょう。どうかお慈悲を」


「…きっと大丈夫だ。彼女達はそんなに幼くない。私の処刑こそが人類をより高みに連れていく。全ては永遠なる人類の繁栄のために」



 ◇



 声が聞こえた気がした。遥か遠い昔の記憶。僕が逃げた痛々しい記憶。あの時の彼女たちの声が、怒りが、嘆きが、悲しみが、血の匂いが、僕を締め付けてくる。忘れたいのに忘れられない、忘れてはならない記憶。さあ、僕も始めよう。僕の物語を。



 ◇



 どこだろう、ここは。僕は何をしていたんだっけ。僕はしなければならないことがあるんだ。そう、繧ク繝ァ繝シ讒倥r蜉ゥ縺代↑縺代l縺ー縲ゆセ九∴雋エ譁ケ縺ョ諢乗€昴↓騾�i縺」縺ヲ繧りイエ譁ケ縺ッ髢馴&縺」縺ヲ縺�k縲ゅ◎縺ョ縺溘a縺ォ繧�。なんだクソ、思い出せない。頭に靄がかかって。頭がガンガンする。


「大丈夫!?あなた、見ない顔ね。こんなとこで何をしているの?」


「うぇ!?」


 僕は人が嫌いだ。人は己を最優先し、すぐ人を裏切る。そう、あの人も。?誰だっけ…まあ、そんなことはどうでも良い。もういいんだ。


「ちょっと!大丈夫!?こんなとこでボケっとしてたらあっという間に殺されちゃうよ!」


 女の人が話しかけてきている。めんどくさいなぁ。さっさと追い返そう。


「ごめん、心配をかけた。僕は大丈夫だよ」


「はあ!?大丈夫って何?誰のこと?まあいいけどここは本当に危ないのよ。クリーチャーだけでなくアウトレイジっていうやばい奴らが来てるんだから!悪いことは言わないからもう少しで伯爵の兵に来てもらうはずだからその人たちに話をして仕事でも探しなさい」


「分かりました。ありがとうございます」



 ◇



 そう言って彼女と別れた。というか彼女に背を向けて周りが痛まない程度に全力で逃げた。「えっ、ちょ?」とか聞こえたような気がしたけど当然無視だ。

 アウトレイジか。出会ったらめんどくさいことになるだろうな、もう人とは関わりたくない。中央部の大森林にでも行こうかな。

 クリーチャーは好きだ。みんな僕に関わってこない。彼らはずっとただ生きるために生活している。こちらがちょっかいを出さなければ向こうも出してこない。

 自然も好きだ。全てを、そう、人間さえも優しく受け止めてくれる。木から溢れる木漏れ日が、枝の揺れる音が、大地の脈動が、僕の荒んだ心を慰めてくれる。

 と思ってたら人の足跡がする。2人、いや3人だな。一人は足跡が優しくて聞きづらかったが。なんでこんなとこに来るんだろう。アホなのかな、なかなか強いみたいだからここまではクリーチャーも仕掛けてこなかったみたいだけど。


「オラオラ、さっさと吐けよ、どこに他の奴らを隠したかをよ!」


 さっきの女の人が追いつかれてボコされてるな。狩人みたいだし相手が悪かったね。ま、別に僕が知ったこっちゃないし。


「気付いてんだぞ、近くに他の奴がいることも分かってんだぞ!?そいつが殺されたくなけりゃ」


「早く逃げて!」


 そうか、彼らは僕に気づいていたのか。彼女は仲間を逃すため動き続けていたのだ。正義の味方みたいな真似などやりたくもないが、せめて彼女みたいな人は助けたいと思い気づいたら体が動いていた。…違うな、これは未練だ。助けなければならないと思ったんだ。


「こい、《勝利宣言 鬼丸「覇」》」


「『ハハッおいおい久しぶりだな、待ちくたびれたぜ』」


(ああ、久しぶりだな、僕。すまないが時間がない、力を借りるぞ)


「『へえ、記憶を捨ててまで逃げたのに今更人助けなんてがらでもないことをすんのかい?』」


(否定はしないが、そんなことは関係ない。早く)


「『へいへい、了解』」


 力が湧き出る。大嫌いな力が、あの人を守れなかった無意味な力が。だが、完全な姿は出せないが、今はこれでいい。


「不快だ。消えろ屑が」


 一瞬で移動した俺は2人の男の背中に回り込み頭部を消し飛ばした。

 ガクガクと震え膝から崩れ落ちる。いいことした。掃除はやっぱ気持ちいいね。血がビシャッと周りに飛び散る。きちゃない。やっぱ気持ち悪いわ。

 別にみんな助けようってわけじゃない。それでもせめて自分の目が届く範囲は、良い目をしている人は理不尽にその命を捨ててほしくないと思ったんだ。


「あなたは、なんであの時の人?どうしてこんなところに?いや、そんな場合じゃない。早く逃げて、幹部の奴らが来ているんだ。あなたがこれだけの力を持っていても流石にかないっこない。これはこの村の問題だ」


「いいよ、別に、気まぐれだし。僕に勝てる奴なんて……まあまあいるけど、そんなにいないでしょ」


「何を言って…」


「早く、場所を教えて」


「わ、分かった」


 ちょっろ



 ◇



 俺はシンキニトス。アウトレイジの一応幹部だ。命令で辺境の村を襲っている。気持ちのいいもんじゃない。アウトレイジはもともとこの格差だらけ、不平等だらけの糞のゴミ溜めみたいな社会を作り変えるためにできた組織だ。そのためにも力が必要。だからこうして村を勧誘し、時には襲い、動いていた。だが

(本当にこんなのでいいのかね)

 はっきり言って例えばここのタダノゴミ伯爵のような貴族はゴミでしかない。だが力で押さえつけるような方法でうまくいくのだろうか。

(ま、農民のでの俺たちには分かるわけもない)

 例え腕っぷしにしか自信がなくとも足掻くしかないのだ。


 何やら周りが騒がしい。


「騒がしいな、なんだ?」


「戦士と見られる男と狩人の女の二人組が襲いかかってきました!」


「そうか」


 これが正しいのかそうでないのか俺には分からん。いや、正しいなんて存在しないのかもしれない。それでも

 (足掻くだけだ)

 自分たちは止まるわけにはいかないのだ。



 ◇



「ちょっ、無茶よ!一人でこんな数」


「あーはいはい」


 担いでいる女(途中から一人で行こうとしたらうるさかったから連れてきた)の言うことを無視して目の前に立つ奴らを殺しまくる。


「そこまでだ」


 俺の目の前に盗賊崩れのような見た目の巨漢が立ちはだかる。周りの奴らよりも強そうだ。


「《暴走特急 マルドゥック》」


 巨漢は大木をへし折れそうな拳を放つ。だが、相手が悪い。


「死ね」


 巨漢は俺の拳を腹で受け止め、血を口からぶちまけて死んだ。汚い。


「まだだ!お前が少しでも動けば」


「しつこい」


 確実に殺したと思ったんだけどな。まあいいけど。


「まさか、勝てるとは…」


 増援を呼んできていたらしいさっきの女が話しかけてきた。その女は感動したように胸を振るわせ、深く頭を下げると言った。


「本当にありがとう。あなたのおかげで犠牲者を抑えることができた。できる限りの礼は尽くそう」


「いや、いいよ別に」


 僕はめんどくさくなりそうだから退散しようと思ったのだが


「あら、これは何かな、私たちは火文明王立騎士団だ、説明してもらおうか」


 まだまだ俺の物語は続きそうだ。

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