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閑話 師匠との日々1

本当にすみません。ペンギンが修行パートを書き忘れていたので今更開始です。10個ほどを予定しているので書き終わったら全部移しときます。

人は裏切る。人は憎む。人は恨む。人は──。

……自分はいったい何を言っているのだろうか。

人なんて信じるほうが間違っているのだ。





「さて、森に行こう」


朝からこの人はいったい何を言っているんだろう。


「すみません、さすがに朝四時に起こしに来るのはやめてくれませんか?」


まだ起きてもいないどころか、朝ごはんすら用意していない時間に直接来るのはやめてほしい。

アガピも向こうで寝ているのに。


「すまん、言い忘れていたが、早朝は初心者にはやりやすい時間帯なんだ。まあ、そのへんは歩きながら説明してやる。そこの嬢ちゃんはどうする?」


「別の方が呪文を教えてくれるらしくて、しばらくそちらで頑張るみたいです」


「ああ、オモーフィアか。やっぱり、そうなるか……」


なんだか歯切れが悪い。こちらまで不安になる。


「まあいい。さっそく行くぞ」


「森に何か依頼があったんですか?」


「初心者のお前に教えてやろう。まず協会は、すべての文明にある互助組織だ。今では国家が税を取り、その一部が協会に渡されて報酬として支払われる仕組みになっている。

報酬は一年間の協会への貢献度で変わる。貢献度を上げるにはランクを上げたり、依頼をこなす必要がある。

とはいえ、急いでいなければランクは勝手に上がるがな。

ランクはあくまで目安だ。たとえばAランクの俺はAランクの依頼を問題なくこなせる、という具合だ。一個上でも不可能ではないが、無茶をすると怒られる。

依頼は主に三つ。

・期限なしの依頼(今回はこれだ)

・期限が決まっている依頼(村の護衛やクリーチャー討伐など)

・名指しの依頼(Aランク以上だと来ることがある。評価も上がる)」


「師匠は名指しで依頼されたことあるんですか?」


「たまにな」


そんな会話をしながら、プロタヒコスの森へ向かった。


「ついでに近くの村のお使いも受けておいたから、それも片付けるぞ。

ついでにこの国の村について説明しておく。平地には人間の集落や街道があり、それ以外にはクリーチャーが住んでいる。人は弱いが、そのぶん数が圧倒的に多い。数は力だ」


「でも森にもたくさんクリーチャーがいますよね?人より多そうですけど」


「クリーチャーと一括りに言っても、あいつらは別の種族だ。縄張り争いや餌のために、同族ですらやり合う。

だからわざわざ人に喧嘩を売ってはこない。思考は獣そのものだが、侮ればあっけなくやられるぞ。

ただ、早朝はあいつらも気が抜ける。初心者のお前にはちょうどいい」


「なるほど」


「俺たちは斥候じゃない。完璧にとは言わんが、なるべく気取られずにクリーチャーを倒してみろ」


「はい」


森に入った瞬間、空気が変わった。殺気があるわけではない。むしろ、その逆だ。

自然すぎる。薄すぎて、意思の存在を感じさせない。獣だからこそなのかもしれない。

彼らはただ、生きるためだけにそこにいる。

モルトを憑依させたらマナがすぐ切れるが……やるしかない。

──その瞬間、クリーチャーが飛びかかってきた。

え、マナを感知できるの!?





正直、ハラハラしている。

俺一人なら、この森のクリーチャー全員を敵に回しても逃げ切る自信はある。

だが、あんなことするか!?

なんでマナを解放したんだ。

クリーチャーは無意識でマナを操る。さっきまでは見逃されていたが、縄張りの主は別だ。

もし主を倒しても周りが襲ってくる。どうする……。





「《爆流剣術 神速の技》!」


襲いかかる《バルキリー・ドラゴン》に、自分の最速の技を叩き込む。

(まずい、速度特化とはいえ《銀河剣 ガイハート》を弾くなんて……

だが相手は獣。フェイントで──!)


「《爆流剣術 炎熱の技》!」


しかし、また弾かれる。

(なんで!?誘導が──)

ドンッ!

背中が木にぶつかり、木が倒れる音がした。

(なんて威力……完全に格上だ。誘導したつもりが逆に誘われた。

これがクリーチャー……城砦都市の時とは違う。疲れもなく、この森で鍛えられた猛者……。

……でも、今ので分かった。気の使い方の“コツ”が)

《バルキリー・ドラゴン》が爪を振り下ろしてくる。

(気負うな。押し返せ……!相手も俺の間合いに慣れてない。ダメージ覚悟で、倒す!)

振り下ろされた爪は、込めた気に押しとどめられた。


「痛いな……強いなお前は。《爆流剣術 炎熱の技》!」


《銀河剣 ガイハート》が、首元を断ち切った。


しかしもちろんそれだけでは終わらない。周りからクリーチャーが襲いかかってくる。しかも他のクリーチャーに目もくれず、俺が危険だと判断したのか俺に襲いかかってくる。

(やば、終わった)


「《武者ザンゲキ剣》」


師匠はあたりのクリーチャーを切り刻むと


「よくやった! 逃げるぞぉぉぉぉ!」


師匠に担がれ、俺たちは森を駆け抜けた。





本当に驚いた。師匠は俺を担いだまま、木に油を撒いて火をつけ、混乱させて逃げ切ったのだ。


「ありがとうございました。でも驚きましたよ、急に担がれて……それに火までつけるなんて」


「お前、よくその傷でしゃべれるな……俺も焦ったよ。今頃、森は騒ぎになってるだろうな。


ところで、お前クリーチャーがマナを感知できるって知らなかったのか?」


「はい。臨戦態勢のしか見たことなかったので。というか、森は大丈夫なんですか?」


「あれくらいじゃ簡単には燃えない。木も普通の木じゃないんだろうな。

それより、お前は重症だ。近くの教会に寄るぞ」


こうして、俺の初日は終わった。


「……お使いは?」


「……あ」

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