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滅びの始まり

 少年は戦う。

 己の正義のために。

 己の大切な物を守るために。

 しかし少年は知らない。

 その行動が星の寿命を短くしていることを。



 ◇



「うわぁ」


 思わず声が漏れる。なぜかって?それはあんなにでかい城壁を初めて見たからさ!

 オレの名はイェネロス、16歳だ。

 オレは今まで故郷のエクソ村で農作業と剣の修行をしていた。しかし、成人したことで村を出て旅に出ることを許可された。

 もちろん、普通ならば村を出るなどできないのだが、オレは村の大岩に刺されていた勇者の剣《銀河大剣 ガイハート》を抜くことができたのだ。また、それと同時に村に代々伝わる秘宝《龍覇 グレンモルト》の力を使いこなせるようになったのだ。

 だから武者修行と称して村を出ることが叶い、それからそれからいろいろあって現在に至る。


「すごいね、この城壁」


 横にいるアガピが感心している。アガピはオレの許嫁だ。また、彼女も《龍覇 アイラ・フィズ》を使いこなす凄まじい才能の持ち主なのだ。ちなみに剣も呪文も使うことができる魔剣士で彼女の家系に代々伝わる《斬鉄剣 ガイアール・ホーン》を腰に携えている。サイズが合ってないような気がするがこれはこれで彼女のスタイルの良さが強調されてイイ。


 それにしても、この街を守る騎士たちは、どれもオレたちに匹敵する力を持っているのではないか?故郷とはレベルが違うことを思い知らされる。



 ◇



 飯が美味い!ここは飯までもがここまで発展しているのか!ただ肉を焼いているだけのはずなのにこうも味が違うとは!この肉にかかっている汁は何かな?とか思っていると横にいるアガピがジト目で見てくる。やめろ、やめてくれ。そんな目でオレを見るな。そんな顔も可愛いなと思ったのは内緒だ。


「そんなに無駄遣いしてお金なくなったらどうするのよ」


 ごめんと謝っておく。確かに何をして金を稼ぐか決めていなかった。どうしたらいいもんか。

 この街の名は「イアシ」と言うらしい。強固な城壁に囲われた素晴らしい都市だ。カコピオス伯爵領の内の一つの辺境領らしいがこんな都市がいくつもあるのかと自分がいかに井の中の蛙だったか思い知らされる。


 オレが考えていた時突然警鐘が鳴る。何が起きたのだろうか。


「北方面にて《デュアルショック・ドラゴン》を確認!騎士達は直ちに参戦せよ!」


 ある騎士が叫ぶ。彼もなかなか強そうだ。

 ていうかドラゴンを初めて見た。アレも死体か何かに憑依したクリーチャーの一種らしい。

 騎士達は弓や銃、大砲などで攻撃しているもののなかなか当たらない。そもそも矢や鉄砲ではダメージを負わせられないみたいだけどね。

 騎士達では《デュアルショック・ドラゴン》には勝てないようだ。上空からブレスを浴びせられまくっている。これでは負けるのも時間の問題だ。


「どうする?イェネロス」


 アガピが不安そうに聞いてくる。


「オレはあいつを引き寄せるからアガピはオレに呪文をかけてくれ。そうしたらオレがこの《銀河大剣 ガイハート》で攻撃する。周りと連携していれば少なくとも撃退はできるだろう」


 我ながら酷い作戦だ。だって仕方ないだろう?クリーチャーと戦ったことはないんだから。即席の作戦ってこんなもんでしょ?

 こういうのをなんというんだっけ、臨機応変、悪く言えば行き当たりばったりというのかな?

 とかいらんことを考えているとアガピも無言で頷き作戦を実行し始める。


「こっちだ!化け物!」


 《龍覇 グレンモルト》を憑依させ声を張り上げて叫ぶ。不思議と恐怖という感情は出てこない。どちらかと言うと自分の力を試してみたいという気持ちが湧き出てくる。もしかしたらモルトもこの戦闘を楽しみにしているかもしれない。

 後ろを見るとアガピも《龍覇 アイラ・フィズ》を憑依させ、呪文を詠唱してカードを実体化させる。


「呪文!《キリモミ・ヤマアラシ》、《二刀流トレーニング》!」


 ちなみにそのままでも呪文はかけられるらしいがクリーチャーを憑依させて呪文をかけた方が威力が高いらしい。オレはできないのでふーんとしか思えない。これによりオレの力が段違いに強化された。


「グギャオオオ!」


 《デュアルショック・ドラゴン》も咆哮する。

 オレが舐めていると感じたのかブレスを浴びせながら地上に降りてくる。オレをいたぶるつもりなのだろうか。

 それを軽く躱し、《デュアルショック・ドラゴン》に向かって跳躍する。今のオレには《キリモミ・ヤマアラシ》がかかっているため《デュアルショック・ドラゴン》の元へ身を運ぶことができた!

 太刀を浴びせるもののその鱗は《銀河大剣 ガイハート》ですら傷つけてられない。そして怒り狂ったのか《デュアルショック・ドラゴン》はブレスを撒き散らしてくる。

周りからは「何者だ、あの小僧!?」とか「まさか勇者様か!?」とか聞こえてくる。そんな大層なものではないからやめてほしい。

 《デュアルショック・ドラゴン》は接近戦は慣れていなかったようだ。大技しか使ってこず、なんとか躱すことができる。それでもそもそもの力が強いので1撃でもくらったら致命傷だ。

 その時大砲が《デュアルショック・ドラゴン》の頭部にぶち当たる。大きく《デュアルショック・ドラゴン》の動きが弱ったのをオレは見逃さなかった。

渾身の一撃を叩き込むと、《銀河大剣 ガイハート》は竜の鱗を裂き、《デュアルショック・ドラゴン》の血が宙に弧を描いた——それでも奴は倒れない。二の太刀、首筋の急所へ。息を呑む静寂の後、《デュアルショック・ドラゴン》は轟音と共に崩れ落ちた。


 戦いが終わると周りからオレ達は称賛された。老若男女がいろんな事を言ってくる。


「すげーお兄ちゃんかっこいいな!」とか「小僧!内の護衛にならないか?」とか「そんなやつを相手にするな!ぜひウチの護衛に!」とか「爺さんの若い頃にそっくりじゃ」とかが聞こえていた時一人の美青年が声を掛けてきた。女にも見える美しい人だ。


「私はプロスタシア協会のものだ。ぜひ()()も僕達と一緒に民を守らないかい?」


 おや、声的には女性でしたか。ちなみにプロスタシア協会はウチの村にもその名が轟く有名な国直轄の協会だ。主にクリーチャーや盗賊等の対峙や護衛などが仕事だ。

 オレはこれを了承し、オレ達の伝説が幕をあける。

初めて小説を書きました。気に入っていただけると幸いです。

補足ですが憑依とクリーチャー化の違いは主導権が肉体側かクリーチャー側かです。人間が体を乗っ取られることもあります。クリーチャーが宿主を認めるとイェネロスのように友好関係をもてます。

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