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俺のフラれる動画がバズったら、他校で有名な美少女たちが殺到しました  作者: 本町かまくら


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第47話 さよなら、クソビッチ


 ※片瀬由美視点



 男の子たちが由美を見てゲラゲラと笑う。


 その目には悪意がいっぱいになって溢れていて、背筋がゾクッと震えた。


「なんでここにぃ……」


「後をつけてきたんだよww一人で旧体育倉庫に向かってたし? また男とヤんじゃねぇかなって思ってさ」


「っ!!!! ゆ、由美はそんなんじゃぁ……!」


 必死に訴えかけようとすると、またしても笑い出す男の子たち。


「ひっでえ顔だなぁwww」


「人生終わったみたいな顔すんなよwwwま、そういう顔の方がお前の場合はそそられるんだけどさww」


 悪意ある視線が由美に何本も突き刺さる。

 なにこれぇ……由美は水樹を待ってるだけなのにぃ……。


「ま、そんな顔するのも無理ないよなwだってこんな動画、SNSに拡散されちゃったんだしよ」


 由美に向かってスマホを突き出す男の子。

 そこには朝にも見た、由美が葉月っちと敦也っちの三人でシテる動画だった。


「相変わらず、ヤってる最中もすげぇ顔だなwww」


「声もなかなかだろwwwこの喘ぎ声は、自分のこと可愛いと思ってる女しか出さないし」


「それなwww最近ご無沙汰だったけど、変わってなくて安心したわ」


 ガヤガヤと話す男の子たち。

 ふと、由美の頭に一つの可能性がよぎった。

 

 いや、可能性なんかじゃない。

 絶対にそうだ。この感じ、動画を上げたのは水樹じゃなくて……。


「あんたたちが上げたわけぇ? この……動画をぉ」


 由美が言うと、男の子たちは顔を見合わせ、人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら言った。




「そうだよ。俺たちがこの動画を流した犯人だwww」




「っ!!!!!!!」


 体に衝撃が走る。

 水樹じゃなかった。

 由美たちを終わらせたのは、由美のことが大好きなはずの男の子たちだった。


 それがあまりにも信じられない。

 だって、あんなに由美のこと求めてきたくせにぃ……!


「なんで、って思ってる顔だなww」


「それは……そうでしょぉ」


 俯く由美に、男の子は得意げに話し始める。


「実はさ、偶然階段の踊り場でお前と水樹が話してるのを聞いちゃって。あのときは散々言ってくれたよなぁ……俺たちのことしょうもないとか、道具に過ぎないとか」


「っ! そ、それはぁ……」


「しかも最近、変にお前が自分の価値高く思ってんのかわかんないけど、もったいぶって全然ヤラせてくれないし、悪口は言われるし……そしたらお前ら三人がおっぱじめ始めたから、動画で撮って上げたってわけ」


「ほら、片瀬たちも水樹に対してやってただろ? それと同じことだよwwwま、俺たちが映ってないってところは違うけどな」


「っ!!!!」


 同じなんかじゃない。

 由美はあの動画で全部失うんだよぉ! 全部、全部全部ぅ……!!!


「それに、片瀬含めた大沢のグループ、最近イキりすぎだったからなww自分たちがナリ高の一番上かなんかだと勘違いして、変に肩で風切って歩いてたけど……知らなかったのか? お前ら、めちゃくちゃ嫌われてんだぜ?」


「なっ……!!!」


 嫌われてる?

 由美たちが、みんなに……。


 でも、そういえば今日だって誰一人として由美の味方をしてくれる人はいなかった。

 みんなが由美のことを、ゴミでも見るかのような目で見てきた。


「だからせいせいしたわ。これでお前ら全員――おしまいだなwwww」


「っ!!!!!!!!!!!」


 地面に手をつく。

 胸が苦しい。

 何も言い返せない。その気力がない。


 いや、今の由美に何もない。

 何も……。



「………………誰、かぁ」



 由美は無意識のうちに、助けを求めていた。

 由美が本当にお姫様なら、誰かがきっと助けに来てくれる。


 そういえば由美、水樹とここで待ち合わせしてるんだった。

 ……ってことは、今から水樹が来るはずなんだ。

 そうだ。だったら由美を助けてくれるのは水樹しかいない。


 それに水樹が来てくれたら、きっと由美のこと助けてくれる。

 絶対そうだ、絶対……!


 扉をじっと見る。


 水樹、水樹……。


「水樹ぃ……!!!!」


 ――しかし。



「…………」



 そこにいるのは由美を心底嫌っている男の子たちだけ。


「……そん、なぁ」


 水樹が来る気配は一向になかった。

 

「ハッ、誰も来やしねぇよww」


 誰も、来てくれない。

 由美は、ほんとは……。


 男の子がしゃがみ、由美の顎を手で掴む。


「ちゃんと言ってやるよ。お前なんてランクで言ったらCくらいの、ヤラせてくれるくらいしか取り柄がない女だ。そんな奴が自分の価値高く見積もってんじゃねぇよ。お前こそ、男に利用されるだけの道具だ。その程度の人間だ」


 涙がボロボロ溢れてくる。

 鼻水と涙で顔はぐちゃぐちゃだった。


「うぅっ……」


「泣くなよブスが。――いいか?w」


 由美の顔を無理やり自分に向けさせて、ニヤリと笑う男の子。

 醜く泣くことしかできない由美をまっすぐ見つめ、言い放つのだった。





「いい加減認めろよ。自分は翠高の美少女とは格も何もかもが違う、お姫様でもなんでもないただの肉便器だってことをよwwww」






「あぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



 由美の心は、簡単に砕け散った。

 

 もう元には――戻れない。





――――おまけ――――


 昼ご飯を食べ終え、トイレに向かう。


 そういえば朝、片瀬に旧体育倉庫に来るように言われたっけ。


「……ま、いいか」


 きっと面倒なことが待ってるに違いない。

 それに俺が行く義務も義理もない。


 俺はすぐに片瀬に呼び出されたことなんて忘れて、教室に戻るのだった。

 

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