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俺のフラれる動画がバズったら、他校で有名な美少女たちが殺到しました  作者: 本町かまくら


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第10話 宣戦布告


 ※大沢美琴視点



『雪宮氷莉攫って、例の陰キャ呼び出したわwwそのうちいいモン見れると思うぜ。動画で送ってやるよwwww』


 友達から連絡が届く。

 私はそれを見て、思わずにやけてしまった。


『みこっちゃん? どしたの急に黙って』


「ごめんごめん。ちょっと、ねw」


 今言っちゃったらもったいない気がするし、後でいいタイミングが来たら言うことにしよう。

 きっとみんなもあの二人にイラついてるだろうしww


 現在、私は葉月たち四人とビデオ通話をしていた。

 というのも、停学処分を下されて表立って家から出ることができず。

 でもこのイライラを抱えたまま黙ってはいられず、グループ通話を始めたというわけだ。


『ってかほんと、マジでありえねぇよな。俺様があんな軽い動画上げただけで停学とかよォ……チッ。イライラが収まんねぇよ』


『それは俺も同感だな。……こんなに屈辱を味あわされたのは初めてだよ』


『きぃいいいい!! この苛立ちをどこに発散すればいいんだよ俺たちはさぁ! 理不尽にもほどがあるっしょ! なぁ⁉』


『寛人っちも落ち着いてぇ? 気持ちはわかるし、私だってすっごいムカつくけどさぁ』


『あのクソ陰キャと……白銀の女神。……チッ。あいつらのせいで教師共がひよってよォ……! マジダッセェし信じらんねぇ!』


『っていうか、なんで白銀の女神があんな陰キャのこと庇ったんだろうな! マジで納得いかねー!』


 それに関しては私も同感だ。

 雪宮氷莉は、認めたくないけど他校で有名で、男子の中でもファンが多いと聞く。

 ま、私より可愛くないと思うけどww


 それでもあんなパッとしない、将来一回も女を抱けなさそうなキモイ奴に目をかけるなんて、ぶっちゃけ正気を疑う。

 

『聞いた話によると、あれからも校門前で童貞くん待ち伏せて一緒に帰ってるみたいだよぉ?』


『俺たちを相手にもしなかった雪宮さんが、あいつに……へぇ、なるほどね』


『バグってんだろ頭が。校長室に乗り込んでくるくらいだしよォ。顔はピカイチなんだけどなァ……もったいねぇ』


「それに関しては同感だわwww」


 雪宮氷莉は頭がおかしい。

 だから私がちゃんと教育してあげないと……フフッww


『つか、また拡散されてんだろ? あの動画』


『そうなんだよ! 消したはずなのに動画が出回っててさ! ほんとなんで⁉ って感じなんだけど!』


『誰かが動画を保存して持ってたんだろうね』


「……しょうもな。よっぽど暇なんでしょ、そういう奴ら」


『でもそいつらのせいで未だに叩かれてんじゃん俺ら! マジありえなくね⁉ あの程度のことで俺様のこととやかく言うとか……あぁーイラつく! クソがッ! 俺様の前出てこいやボケッ!!』


 敦也が机を思い切り叩く。


『落ち着いてよ敦也。ネットのゴミ共に怒っても仕方ないよ。そいつらどうせ俺たちを僻んでるだけの、学生時代いい思い出もない陰キャなんだしさ』


「葉月言い過ぎwwま、私もマジでそう思うけど」


 アンチコメントを見るたびに癪に障るけど、どうせ全部私たちへの僻みだ。

 ただの遊びで怒ってる奴らなんて相手にするだけ時間の無駄だって気づけたし、放置でいい。


『でもマジでムカつくよなー! なんで俺たちがこんな目に遭わなきゃなんないんだよ……親にもすげぇ怒られたし、理不尽っしょ!』


『それは私もどうか~ん。ぶっちゃけた話ぃ……雪宮さんと童貞くんには、私たちが味あわされた苦しみ以上の屈辱を味あわせたいよねぇ』


『このままだと俺らだけ嫌な思いしてふびょーどーだしなァ!』


 ……うん、話すなら今かなww


「実はさ、中学の友達にこの話したんだよね」


『この話って?』


「動画が何故か炎上したこととか、雪宮とか水樹のせいで停学食らったこととかwそしたらあっちまでイラついちゃってさ、雪宮攫って陰キャの前で犯すとか言っちゃってw元々雪宮のこと狙ってたらしいし、あいつら」


『はぁ⁉ 雪宮を犯す⁉』


『それ大丈夫なの? 停学食らってる上にそんなことしたら、さすがに次は退学に……』


「大丈夫大丈夫ww私はただ話しただけで、なんも関係ないしww」


 私は一言もあの二人を襲ってなんてお願いしてない。

 ただちょっと話盛ったり、あいつらが感情的な行動を起こすようにそそのかしはしたけどwww


『な、なら大丈夫か』


「だから、由美が言った通り痛い目見て、やっとわかると思うよ?w私たちに盾突いたことが、どれだけ身の程知らずなことだったのか、さ?www」


 私が言うと、みんなが笑い始める。


『あははっ、マジ美琴っちさいてーww』


『相変わらずやることがえげつないね、美琴』


『それでこそ美琴だけどな!!』


『ってか動画とか撮んねぇの⁉ 俺たちにくれよ、な⁉』


「動画って……あぁー、雪宮が犯されてる?」


『も、もちろん! 普通にせいせいするし? 苛立ちが収まるかもしんないし……い、いいよな⁉』


『……俺様も、頼む』


『男子さいてぇ~www』


「あははっ、しょうがないなぁwww」


 みんなと話してたらワクワクしてきた。

 私たちをこんな目に遭わせて、タダで済むと思ったら大間違いだし。

 私たちが味わった屈辱の倍の苦しみはちゃんと受けてもらわないと……こっちの気が収まらない。


 ちゃんと自分の行いを後悔しなよ、バカなお二人さんwww





     ♦ ♦ ♦





 ※雪宮氷莉視点



 目が覚める。


 しかし、手足が縛られていて動かせなかった。

 視界が鮮明になっていく。


 埃っぽい、薄暗い場所。

 何かわからない荷物が積まれていて、倉庫のようだった。


「ここは……」


「お! やっと目覚めたか!」


「つか、やっぱマジ可愛いーwww」


 私を見下ろす数人の男たち。


「っ!!!」


 全員が下卑た笑みを浮かべて、私の体を舐め回すように見ていた。


「なぁなぁ、まだお預けなのか?」


「男が来てからって約束したろ? そっちの方が断然そそるし、今手出したら快感も薄まんだろ」


「で、でも……俺もう我慢できねぇよ!」


「……ったく、味見程度だからな?w本番はまだ無しだ」


「うひょー!!! マジかよ! よっしゃー!」


 男たちが下卑た笑みを浮かべながら私に近づいてくる。


「っ!!! 近づかないで……!」


「まぁまぁいいじゃん、『白銀の女神』様ぁwwww」


「ちょっと触るだけ……ヒヒッwwwじゃあ……」


「っ!!!!」


 男が私に手を伸ばす。

 嫌だ、嫌だ……!


 触れられるのも初めても、好きになった人って決めてるのに……!


「やめて……!!!」


 そう叫んだ――そのとき。







 ――ガンッ。







 扉が開き、光が差し込んでくる。

 そこには男の子が一人、息も切らさず立っていた。


「あ? なんだお前?」


「例の奴じゃねぇか? クソ陰キャっつー」


「なわけねぇだろwwまだ連絡してから五分も経ってねぇんだぞ? そんなに早く来れるわけがねぇ」


 入り口付近に立っていた男二人が、その人に近づく。

 顔は陰になっていて、よく見えない。

 しかし、私は何故か、あの人だと確信していた。


「ねぇキミ、なんでこんなところ入ってきちゃったのww」


「ダメだよねぇ?ww今俺たちが、楽しもうとしてるところなんだからさ――」


 男二人がその人の肩に手を置こうとした――その時。





「「ッ⁉⁉⁉」」





 男の腕を掴み、地面に叩きつける。

 そしてその流れのまま回し蹴りをもう一人の男の顔面に食らわせた。


 吹っ飛ばされ、積まれた荷物に体を打ちつける男。

 地面にたたきつけられた男も起き上がれないようで、苦しそうに声を漏らすだけだった。


 あまりにも一瞬の出来事に、場が騒然とする。


 その人が一歩、私の方に踏み込んでくる。

 影は消え、その顔が露わになった。



「水樹、さん……」



 いつもの雰囲気と全く違う、鋭利な刃物のような鋭い威圧感。

 男たちは水樹さんを見て、恐怖で体を硬直させた。


「な、なんだお前は……!」


 水樹さんは何も言わず、さらに踏み込んでくる。

 やがて立ち止まると、男たちを見て言った。








「その子を解放しろ。――今すぐに」








「「「「「ッ!!!!!!!!!!」」」」」



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