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推敲と肉体改造(2)

 

 風呂に入りながら対策を考えた。

 老人仕様のままでは人並みなジョギングはできないからだ。

 といって、急に若者仕様にすることもできない。

 無理なくできることを考えて、頭の中でまとめた。

 そしてそれを、肺活量増加対策、太腿の筋肉増強対策、胸板強化対策、腹(へこ)まし対策と名付けて、毎日実行することにした。


 先ず、肺活量の増加のために深呼吸と息止めをすることにした。

 これならどこででも無理なくすることができる。

 毎日続けることも難しくない。


 次は、太腿の筋肉増強対策。

 これは足上げ運動が効果的ではないかと勝手に考えた。

 立ったままで太腿を90度以上上げるのだ。

 これを左右50回以上することにした。


 その次は胸板強化対策。

 腕立て伏せが効果があると思って試したが、10回もできずに撃沈した。

 腕の筋肉も老人仕様になっているようだ。

 二の腕を触るとフニャフニャだし、力こぶを作っても盛り上がりはほんの僅かだった。

 これではいけないと思い、別の対策を考えた。

 そこで思いついた。

 立ったままの腕立て伏せだ。

 足を大きく開いて、壁に両手をついて、腕立て伏せの要領で屈伸するのだ。

 これなら無理なくできそうだ。

 10回をワンクールにして、日に5クールを課すことにした。


 そして最後は腹凹まし対策。

 すぐに頭に浮かんだのは腹筋運動だった。

 しかし、何回もしないうちにきつくなって、続けることができなくなった。


 では、どうする?


 考えたが、単独でやるのは難しい判断し、合わせ技ですることにした。

 椅子に座って両手を胸の前で合わせて力を入れると同時に腹筋にも力を入れるのだ。

 これなら胸板と腹筋の両方に効果がありそうだ。

 息止めも併用できる。

 一石三鳥のような気がして、俄然やる気が出てきた。


 四つの対策運動を日課にし始めて1週間が過ぎると、ほんの少しずつだが走る時間が長くなってきた。

 スピードを出せるレベルに到達するのはまだまだ先のことだが、例え亀のような速度であっても1時間走れるようになりたいと思えるようになった。

 それができるようになったら新しいジョギングシューズを買おうと目標を定めて、挑戦を続けた。


 2週間後には30分以上走れるようになった。

 すると、不思議なことに推敲に取り組みたくなった。

 気分転換ができたせいだろうか、それとも間を置いたのが良かったのだろうか、どちらかはわからないが、推敲に向かう気持ちになったのは嬉しいことだった。


        *


 久々に原稿に向かうと、気持ちがグッと引き締まった。

 背筋を伸ばして顎を引いて、赤いボールペンを持って推敲を始めた。


 誤字脱字を直していると、漢字の使い方が気になり始めた。

 簡単な漢字なのだが、色々な読み方がある漢字だ。

 例えば、『何』

 訓読みで『なに』と『なん』があり、音読みで『か』がある。

 問題は訓読みだ。

(なに)かおかしいと思った。しかし、それが(なん)なのかわからなかった』という場合の『何』の使い方がしっくりこないのだ。

 もちろん、ルビを振れば問題はないのだが、こんな簡単な漢字にルビを振るのはどうかな、と思ってしまうのだ。


 それから、『後』

 訓読みで『のち』『あと』『うし(ろ)』『おく(れる)』があり、音読みで『ご』と『こう』がある。

『その後、1時間ほどかけて一人で公園を散歩した』という場合、『ご』でもいいし『のち』でもよいように思う。

 しかし、作者がどちらの読みで使ったのか読者にはわからない。

『そのご』と読む人もいれば、『そののち』と読む人もいるだろう。

 これもルビを振れば問題ないのだが、それでいいのかといえば、そうとも思えない。

〈勝手に読んでもらったらいいんだよ〉という意見もあるかもしれないが、それはちょっと違うような気がする。


 さて、どうしたものか……、


 しばし沈思黙考した。

 しかし、結論は出なかった。

 何冊か本を調べたが、そんなことを書いているものは見つけられなかった。

 でも、モヤモヤして落ち着かなかった。

 そのままにしておくことはできなかった。

 自己満足になるかもしれないが、ルールを作ることにした。


 先ず『何』

 これは『なに』という読みで使う場合のみ、漢字を使用することにした。

 それ以外はひらがなにするのだ。

『何かおかしいと思った。しかし、それがなん(・・)なのかわからなかった』とした。

 但し、〈何人〉とか〈何十人〉とか〈何か所〉というように一塊(ひとかたまり)になっているものはそのままにした。


 次は『後』

 これは、『ご』の場合だけ漢字にすることにした。

『のち』や『あと』の場合はひらがなにするのだ。

『その後、1時間ほどかけて一人で公園を散歩した』

『そののち(・・)、1時間ほどかけて一人で公園を散歩した』

『そのあと(・・)、1時間ほどかけて一人で公園を散歩した』とすることにした。

 他の読み方に『後ろ』や『後れる』があるが、これは送り仮名がつくのでそのままでいいと思った。

『こう』の場合も、『後頭部』『後期試験』のように他の漢字と一緒になって使われる場合が多いので、そのまま使うことにした。

 これですっきりした。このルールに従って再度推敲することにした。



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