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第63話 後悔ない選択

「ふぅふぅ。やっと倒せた......」

僕の目の前には首がなくなり血を流している大きなクマが倒れていた。時間がかかりすぎた。魔力も半分以上使い切ってしまった。少し前に遠くからとんでもない轟音が聞こえてきた。多分イレイスさん達の方で何かあったのだろう。急がないと。

早速光っている花に手を伸ばし抜く。確か抜いてから少し経ったら枯れてしまうはずだ。

「あっ回復しないと。」

体に回復魔法をかけて傷を治して、イレイスさん達の方へと向かう。

「......じ...ま」

ん?遠くから声が聞こえてくる。距離が遠いせいで何を言っているかが分からない。

「あ...じ...さま......あるじさまー!」

主様?僕を主様と呼ぶのは1人しかいない。それにこの声。

「うわぁ。シルフ」

「探しましたよ!その花は?」

「これはエミネルの花です。これがあれば彼女にかかってる魔法を解けます!......あれ。なんでシルフがここに?迎えに来てくれたんですか?シルフ?」

シルフの顔を見ると目には涙をうけべており暗い顔をしていた。

「行きましょう。」

「行く?あっイレイスさんの所にですね。今すぐ...」

「町まで逃げましょう。」

「えっ逃げる?なんで?」

意味が分からない。なんで逃げるんだ。エミネルの花も見つけたのに。

「......一体何があったんですか?」

「想定外のことが起きて、私を庇ってイレイス様が大怪我をしてしまった。だから町に行って助けを求めるために主様を探してた。」

イレイスさんが大怪我だと......。それならイレイスさんこそ逃げないと。

「イレイスさんは逃げだんですよね」

シルフを見ると静かに俯き、首を横に振った。そしてゆっくり口を開いた。

「......イレイス様は私達の逃げる時間を稼ぐために1人で戦っています。」

「なら、今すぐイレイスさんの所に向かいましょう!諦めたらダメです。僕達も一緒に戦えば勝てます」

「しかし......」

「ここで行かないと、イレイスさんに恩返しができません。いいんですか、シルフ?イレイスさんが死んでも」

「嫌ですよ!でも......」

「なら行きましょう!行かないで後悔するより行って後悔した方がマシです」

「......分かりました。乗ってください。」

シルフが大きな狼の姿となって僕の目の前に伏せる。その背中を跨いで上に乗ると、シルフが全速力で進み始めた。

「イレイスさん。どうか生きていてください......」




「はぁ...はぁ...ぐはぁ」

口から勢いよく血が噴き出る。片手じゃまともに攻撃を防げない。もう何十回も体に当たっている。肋骨は間違いなく折れているだろう。内臓も傷ついている。

流石にもう無理か。

足の力が抜けて地面に倒れ込む。視界には綺麗な星空が見えていた。

「きれいだ...なぁ。うっ」

血が止まらない。全身の至る所から血が流れ出る。全身が重い。地面に拘束されてるみたいだ。視界もどんどん狭くなっている。

「にげれた...か...な」

充分時間は稼いだはずだ。今頃、シルフはシュン君を見つけて、町へ向かっているだろう。

「最後に......した...かっ...た...なぁ」

そうして視界が完全に暗くなり、体の感覚が薄れていくのを感じた。





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