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第45話 作戦

「ここは.....」

さっきまで森にいたはずなのに...場所が変わってる。

ふと右手を見てみると、そこには魔道具が握りしめられていた。

「よかった!目が覚めたんだな。みんなー」

私の顔を覗くように1人の男が出てきて、みんなに呼びかけた。周りを見てみるとたくさんの冒険者がいる冒険者ギルドだった。

「...ライアさん。なんで私が冒険者ギルドに。それにフェルトさんは...」

周りを覗いたときにフェルトさんの姿が見えなかったのでライアさんに聞いてみると言いにくそうな顔をしていた。

「落ち着いて聞いてくれ。レンナさん、まず君は魔物の攻撃によって瀕死の状態だった。だからその魔道具で避難させた。」

この魔道具は確かフェルトさんに事前にもらっていた緊急避難用の魔道具だ。私の周りには防御魔法はしてあったのに、それを貫通して攻撃されたのか。

「それで、フェルトは....あのまま魔物と戦っている。俺達の準備が整うまで」

「1人でですか!なんでみんなはここにいるんですか!」

「落ち着いてくれ、レンナさん。これはフェルトの要望なんだ。」

「...どういうことですか?」

「あいつは今、魔王軍の配下の1人と戦っている。あそこの中じゃ、レンナさんとあいつぐらいしかまともに戦えない。だからあいつが俺達を逃したんだ」


魔王軍の配下....戦いのときから強大な気配と魔力は感じていたが、まさかそんな奴がいたなんて。ならまずい!今すぐ行かないと。

「なら今からでも行か...あっ」

立ち上がろうとしたとき、思ったように立つことが出来なかった。

「今のレンナさんじゃ無理だ。だから今は落ち着いて」

自分の足を見てみると片方がなくなっており、断面には紫色の紋様が刻まれていた。

「....回復魔法」

欠けた右足に向け回復魔法をかける。流石に欠けた足は治らないけど、血は止まるはずだ。

「あれ、塞がらない」

「それがなさっきから回復魔法が効かないんだ。レンナさんのでも治らないとなると厳しいな」

この紋様は確か、封魔魔法だったはずだ。魔法を無効化する魔法だ。昔見た本に似たような紋様を見たことがある。


「ライアさん。大丈夫よ。回復魔法が効かないのは私の傷口に魔法がかけられているからよ。だからこの魔法を使った奴を倒せば傷は塞がるはず...」

「そうか、それならいいんだかな。でもフェルトの奴は今頃やばいかもしれない」

空を見る限り、戦いが始まってから五時間ほど経っているはずだ。それで意識を失ってからだと.....

「もう一時間以上、フェルトさんが戦っているじゃないですか。今すぐ連れてってください!この体でもいるほうがましです!」

「でもな....今行ったところで、あいつはもう」

「し、失礼します」

この冒険者ギルドにはいない、少年の声が聞こえて扉の方を向くと、見覚えのある少年と獣人が立っていた。

「ほらね、主様。ちゃんといたでしょ」

「すごいです。シルフ」

その2人は最近知り合ったレイちゃんのお仲間さんだった。




僕達はイレイスさんへの薬草を買うために町を歩いていた。もう日が落ち始めており、急いで帰っていた途中、シルフがいきなり僕を止めた。

「主様、イレイス様のお母様の声がこっちから聞こえてきます」

「え?イレイス様のお母さんですか。」

「せっかくなら会いましょう。私の勘が行きなさいと言ってます」

「えっちょ、先に薬草を。てかイレイスさんのお母さんにレシピ知りたいだけでしょ!」

「違います〜」

そんなこんなでシルフに無理矢理連れて行かれて着いた場所は冒険者ギルドだった。

「し、失礼します」

中に入って周りを見てみると大勢の冒険者の人達がいた。その中に布をかけているイレイスさんのお母さんがいた。

「ほらね、主様。ちゃんといたでしょ」

「すごいです。シルフ」

でもどうしてこんな所に。まだ魔物討伐をしているはずだが。


「おい、お前ら。今忙しいんだ。余所者はここから、え、レンナさん?」

イレイスさんのお母さんが男の足を掴んで、話を止めた。そしてその男の人に何かを話して、男に支えられながら立ち上がり、こちらに歩いてきた。

「え、あ、足が」

「ごめんね、シュンちゃん。こんな見苦しい姿を見せちゃって」

「そっそれよりも回復魔法を」

イレイスさんのお母さんの足に回復魔法をしようとすると、止められてしまった。

「ありがたいけど、治らないわ。そんな魔法がかかっているからね」

顔を見上げるとそこには少し悲しそうな顔をしたお母さんがいた。

「.....お母様、少し足を見ていいですか」

「え、いいけど」

シルフがそう言い、イレイスさんのお母さんの足をしばらく見ると口を開いた

「この魔法は、魔王軍配下の内の1人のファリフェンです。昔見たことがある紋様です」

そういえば、確かシルフは元魔王軍の配下の1人だったな。ファリフェンか。確かどっかでシルフに教えてもらった名前だったはず。

「レンナさん、本当にこの少年と獣人があのイレイスちゃんのお仲間さんか?」

イレイスさんのお母さんの隣で支えている男が僕達に指を指して尋ねていた。

「そうよ。最近、実家に戻ってきてね。って、そんなことより早く行かなくちゃ」

「あっ危ないです」

シルフが咄嗟に倒れかけたイレイスさんのお母さんを支えて立ち上がらせた。

「行くってどこに?それにイレイスさんのお父さんは?」

僕がそう言うとさっきよりも周りの雰囲気が静かになった。それにイレイスさんのお母さんも......

「フェルトさんは、今は1人で戦っているんです...」

「!?ファリフェンとですか!」

それを聞くと、シルフがいきなり踵を返して外に出ようとし始めた。

「ちょっと待ってください!シルフ。何をしようとしているんですか?」

「今すぐ、私がお父様の所に行きます。お父様がファリフェンに1人で勝つことは正直難しいです。なので私がすぐに行きます」

「ダメです!シルフ。まずは作戦会議です。」

「ですが、主様」

「僕を信じてください」

「......わかりました。主様」

そう言うとシルフが僕の後ろに立った。この反応ならいきなり行くことはないだろう。

「お母さん!僕達もお父さんを助けに行きます。だから連れてってください」

相手が魔王軍の配下だとしたら、無作為に戦うのは不利だ。イレイスさんならここで行かずに作戦を立てるはずだ。

「.....頼もしいわね。いい仲間を持ったねレイちゃん。それじゃあお願いします」

こうして、イレイスさんのお父さんの救出とファリフェンの討伐を目標に作戦を立てることになった。


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