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第36話 少年の日記

扉を開けて、目の前の椅子に腰をかける。

この時期の夜はとても冷えるので、最近買ってもらった毛布を肩にかけて、引き出しから一冊の紙束を取り出す。

「今日も大変だったな」

静かな部屋に僕の声が響く。イレイスさんはもう寝ているだろうか。シルフは珍しく自分の部屋で寝ている。

「まずは.....」

紙束をめくって、ペンを取り出し書き始める。少し前から日記を書くことにした。クエストの報酬のおかげで買うことができた。見られるのは恥ずかしいからイレイスさんにもシルフにも教えていない。

日記を書いてくうちに記憶が蘇るかもしれない。



最近は、初めてのダンジョン攻略をした。

蜘蛛型の魔物や鎧をきた魔物、ゴーレムなどがいて大変だった。落とし穴に落ちそうになったときは、シルフが咄嗟に助けてくれた。咄嗟の判断はイレイスさんよりシルフの方が早いそうだ。獣人の能力なのだろうか。

ダンジョンボスのゴーレムには僕の剣術は効かなかった。体に剣をぶつけたとき、体がビリビリして痛かったけど、その後シルフが拳で倒していたのを見てびっくりした。シルフによるとイレイスさんならもっと早く倒せるらしい。改めて僕との力の差を感じた。

そういえば、少し前に僕が捕まえた少女と少年に会ってきた。漁港に行ってみると、2人が魚が入った箱を運んでいた。その後、休憩時間になって話してみたが楽しそうで何よりだった。少年の方は僕の一個年下のようだった。自分と近い年齢の男の子と久しぶりに話せて楽しかった。帰る時に魚をくれたので、夜ご飯に焼いてみんなで食べた。


僕の周りには自分より年上の女性しかいないから、少しドキドキするときがある。寝ているときは大体そうだ。僕は寝ているときはイレイスさんとシルフの間で寝ている。どっちを見ても女性がいるから僕は下か上を見るように心がけている。でも優しい匂いが周りからしてきてドキドキしちゃう。1人で寝るときはシルフがいつの間にか布団に入ってきてびっくりしてしまう。それも裸のときが多く、よく注意している。だから最近は服を着ているが薄いため感触が伝わってきて顔が熱くなる。どうすればいいのだろうか。


ペンを紙束に挟んで、引き出しに紙束を入れる。

記憶が戻る気配はまだないが、いつか思い出せるといいな。

「喉乾いたなぁ」

部屋の扉を開けて、飲み物を取りに行くとそこには椅子に座って机に俯いているイレイスさんがいた。

机の上には一冊の本が置いてあった。軽く中を読んでみると、記憶に関することが書いてあった。

僕のためにここまでしてくれるイレイスさんに再度感謝して、僕は羽織っている毛布をイレイスさんにかけた。本当はベットに連れて行きたいけど、僕の力じゃ運べないからしょうがないだろう。

僕はお水を飲んで自分のベットで目を閉じた。

明日も頑張らないとな!



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